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01

結婚して、何年も経つ。
いて当たり前の存在だけど、空気のように当たり前になりすぎることはない。


アイラブユー、マイハニー!


平日の昼過ぎ。
俺は珍しく自宅の前にいた。
外交官という仕事に就いてから、朝は早く、夜は遅いという生活のため、平日、しかも昼過ぎに自宅付近にいられることなんて滅多にない。
今日は何ヶ月もかけてこなしていた仕事がひと段落したこともあって、上司から帰宅の許可が下りた。

少し緊張しながら、家へと足を向けた。
知らない男とか連れ込んでたらどうしようかなー。
んなわけねぇか、と一人で突っ込む。

「ただいまー。」

そう声をかけたが返答はない。
いつもなら、急ぎ足で「おかえり」と言ってくれるあの声がかからないのは少し寂しい。

どっか出掛けてんのか。
驚かせてやろうと思ったのに。
そう思いながら、着替えるために寝室へと向かった。

寝室に併設されているウォークインクローゼットへ入ろうとした時、ベッドの上に見慣れた姿を見つけた。
すやすやと眠る純の姿だった。
ついうたた寝してしまうくらい、家事や育児をこなしてくれてんだな。
なぜだかとても安心した。

起こさないようにゆっくりクローゼットへと足を運び、私服に着替える。
そして、ベッドの元へと足を進めた。

ベッドに近付いた時、純がなにかを抱きかかえていることに気が付いた。
ちらり、と見えるあの柄は俺の枕。

それが分かると、なにかが込み上げてきた。
うまく言い表せないけれど、目の前にいる純がとてつもなく愛おしい。
冗談でも男連れ込んでたらどうしよう、なんて思ってごめん。

俺ってば、こんなに愛されてる。
起こさないようにそっと純の頬にキスをした。


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