珠ちゃんと別れてから、すっかり手持ちぶさたになってしまった。周りは知らない顔ばかりだし、私は部活にも入っていないから知り合いも多くないし。
この華やかな空気の中、料理をよそったお皿を手に持ち、壁の花になっているのはちょっとむなしい。早くプレゼント交換でも始まればいいのに。
肩を落としてため息をついたあと、飲み物でも取りに行こうかと前に向き直った瞬間、
「あっ、すまん!」
ドスっという衝撃と共に、ひんやりとした感触を腰に感じた。見ると、ドレスのウエストの部分が見事に赤く染まっている。
私の前には、クランベリージュースのグラスを手に持って頭を下げている男子生徒の姿が。
「あちゃー、アカン、染みになってもうた。自分、大丈夫か? ホント、すまんなあ……どうしたらええやろ」
長身で色黒の切れ長の瞳をした男子生徒は、流暢な関西弁で話しかけながら、ひたすら頭を下げていた。どうやらぶつかった瞬間にグラスの中身がかかってしまったらしい。
「クリーニング代言うても……月末で今手持ちないしなあ」
「えっと、大丈夫だよ。とりあえずトイレで軽く洗ってきてみるから」
「そうか? んじゃー俺もお供します〜!」
「いや、女子トイレだから大丈夫だよ」
「……ギャグやったんだけど。アカン、はずしてもうた」
何この人、面白い。こんな状況なのに笑いがこみ上げてきて、思わずぷっと吹き出してしまった。
「お、やっと笑ってくれたな。俺、一年の姫条まどか。戻ってきたら声かけてや」
「うん。私は小波奈美子」
「奈美子ちゃんな。こんなかわい子ちゃんに知り合えるなんてラッキー! バイト休み取って参加して良かったわ〜。……おっと、不謹慎やったな」
「ううん」
ノリが良くて気さくな男の子だし、外見も整っていてすごくモテそうな雰囲気。こんな男の子と知り合えるなんて、私もラッキーだったのかな。なんだっけこういうの、怪我の功名?
この華やかな空気の中、料理をよそったお皿を手に持ち、壁の花になっているのはちょっとむなしい。早くプレゼント交換でも始まればいいのに。
肩を落としてため息をついたあと、飲み物でも取りに行こうかと前に向き直った瞬間、
「あっ、すまん!」
ドスっという衝撃と共に、ひんやりとした感触を腰に感じた。見ると、ドレスのウエストの部分が見事に赤く染まっている。
私の前には、クランベリージュースのグラスを手に持って頭を下げている男子生徒の姿が。
「あちゃー、アカン、染みになってもうた。自分、大丈夫か? ホント、すまんなあ……どうしたらええやろ」
長身で色黒の切れ長の瞳をした男子生徒は、流暢な関西弁で話しかけながら、ひたすら頭を下げていた。どうやらぶつかった瞬間にグラスの中身がかかってしまったらしい。
「クリーニング代言うても……月末で今手持ちないしなあ」
「えっと、大丈夫だよ。とりあえずトイレで軽く洗ってきてみるから」
「そうか? んじゃー俺もお供します〜!」
「いや、女子トイレだから大丈夫だよ」
「……ギャグやったんだけど。アカン、はずしてもうた」
何この人、面白い。こんな状況なのに笑いがこみ上げてきて、思わずぷっと吹き出してしまった。
「お、やっと笑ってくれたな。俺、一年の姫条まどか。戻ってきたら声かけてや」
「うん。私は小波奈美子」
「奈美子ちゃんな。こんなかわい子ちゃんに知り合えるなんてラッキー! バイト休み取って参加して良かったわ〜。……おっと、不謹慎やったな」
「ううん」
ノリが良くて気さくな男の子だし、外見も整っていてすごくモテそうな雰囲気。こんな男の子と知り合えるなんて、私もラッキーだったのかな。なんだっけこういうの、怪我の功名?