堕ちた先の世界 [ 1 ]

これは、数年後にフェアリーテイルで起きた悲しいお話。

色々なことを教えてくれて、育ててくれた、"イグニール"という名の火の竜を父に持つ少年は、
突然いなくなってしまったその父を探し続けていた。

何年も何年も探し続けていた。

色々な出会いや別れを繰り返し、楽しいことが沢山あってもずっと忘れなかった。

もう一度会いたくて、強くなった自分を見せたくて、褒めてほしくて。
沢山話をしたい、また笑い合いたい…でも、


ずっと、考えていた。

何故突然いなくなったのか。


誰かに襲われた?大切な用事があった?………自分は、捨てられた?
…いや人間といたほうがいいと思ってくれて、わざといなくなったのかもしれない…。

不安と自分よがりな願望を胸に隠し、少年は毎日生きてきた。
会いたくて、聞きたいことがあって、ずっとずっと、探してきた。

そして、少年はやっと見つけた。





火の竜は、少年を見た。そして悲しい言葉を少年に突きつけた。


―― 何しに来た。 ――

―― お前には会いたくなかった。 ――

―― 二度と私を探すな。 ――


その言葉だけを残し、火の竜は飛び立つ。
少年から離れ、遠く、遠くへ。

少年は追わない。追えない。
少年は、涙を流さなかった。

誰も、少年が持つ心の痛みを本当にわかることはできない。
その心の痛みは少年のものであって、誰のものにもならない。

でも、少年には仲間がいる。相棒がいる。
仲間も相棒も皆、その心の痛みを時間と共に和らげることならできると思っていた。

青い猫の相棒は、毎日少年を楽しませようとがんばった。
何日も、何日も、少年の傍にいてがんばった。





でも、青い猫は突然いなくなる。少年に悲しい言葉を残して。


―― もう、ナツの傍には、いられないんだ。 ――

―― フェアリーテイルもやめる。 ――

―― これからは、一緒にいれない。 ――


その言葉だけを残し、青い猫は飛び立つ。
少年から離れ、遠く、遠くへ。

少年は動けなかった。
何一つ動かすことはできなかった。

誰も、少年が持つ心の痛みを本当にわかることはできない。
やさしい言葉も、厳しい言葉も、少年には届かない。
かまえばかまうほど、少年の神経を逆撫でた。

でも、少年の仲間は皆、信じていた。
時間と共に和らげることならできると。
またいつか…あの笑顔を見せてくれると。

そして少年の仲間は皆、青い猫を探す。
何日も、何日も、必死に探し続けた。

少年は、そんな皆を見ていた。そして皆に悲しい言葉を突きつける。


―― ここから出てく。 ――

―― フェアリーテイルもやめる。 ――


その言葉だけを残し、少年は去っていく。
少年の仲間は、必死に止めた。
しかし、泣いても、怒っても、力ずくでも、少年の心は変えられない。
かまえばかまうほど、少年の神経を逆撫でた。


そして少年は、大きな炎を纏い、たくさんの仲間を傷つけた。



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