君にぞっこんらぶ!(飛段)

 
※飛段夢なのに飛段はほぼ出てきません。ほぼ会話文。そして少し変わった(大分頭のおかしい)性格の夢主がいます。ご注意を。



「なぁ……飛段のどこがいいんだよ、うん?」

昼下がり。暁のアジトで寛ぎながら雑誌を片手に茶を啜っていると、向かいに座っていたデイダラが真剣な表情を浮かべながら唐突にそんな事を聞いてきた。あまりに突然の問いかけに驚き、思わず啜ったお茶を吹き出すところだった。危ない危ない。

「けほっ……い、いきなり何の質問よ?」
「いや、素朴な疑問ってやつだ。なんだってあんな変な宗教にのめり込んだマゾヒストなんか好きになったんだ?もっと他にマシな男なんてたくさんいるだろうによ、うん」
「それ!それがいいんじゃない!」

読んでいた雑誌を閉じて乱雑にテーブルに置き、威勢よく言い放てば若干引いた様子を見せるデイダラ。

「それって……マゾヒストなところか?うん?」
「それもあるけどジャシン教を一途に信仰してるところとか、いつも明るい爽やかなあの笑顔とか、いつも綺麗にセットされたオールバックとか、少しばかり頭の悪いところなんかも引っくるめて飛段の全てが大好きなの!」
「(それもあるのか)いつも明るい……?爽やか……?綺麗なオールバック……?」
「とーにーかーく!誰が何と言おうと飛段は誰よりもかっこいいし最高なの!あの祈りを捧げる時間とかもう最高よ?何時間でも付き合えちゃうんだから!」
「……うん、多分いくら聞いても一生理解してやれなそうだからもういいや、うん」
「ちょっと!自分から聞いておいてなんて事言うのよ!まだまだあるんだけど!」
「なっ、まだあるのかよ、うん!?」
「当たり前じゃない!あとはエッチが上手いところでしょ?飛段はあの性格の通り、なかなか情熱的に抱いてくれるの。でもエッチの時は意外とドSなんだよねぇ、そのギャップがまた堪らないというか……でも乳首を抓ったりしたら耐えきれずに声を出しちゃうくらい喜ぶ辺り、やっぱりマゾ「だーーー!!やめろやめろ!飛段の性癖なんか聞きたくもねぇ!うん!」

これ以上そんな話を聞かされては溜まったもんじゃないと言わんばかりに、両手で耳を塞ぎながら私の言葉を遮り、怒鳴るように叫ぶデイダラ。確かにこれ以上飛段のいい所を聞かせてデイダラが飛段に惚れてしまっては大変困る。私はようやく黙り込んだ。

「ま……椿が飛段の事が好きだっつーのは痛い程よくわかった、うん」
「それなら良かった。……はっ、ダメだからね!?飛段は私のなんだから奪おうったってそうはいかないんだからね!?」
「頼まれたっていらねーよ!うん!」
「まぁデイダラよりも問題は角都よね……アイツが一番の恋敵。マゾヒストな飛段と相性のいいサディスト具合に飛段はいつも悦んでるし、(コンビを組んでるから)あの二人が離れる事は滅多にないし私よりも飛段と一緒にいる時間が長いのよ……!?これはもう浮気されてるとしか思えないわ」
「それ大分誤解を生むな!?それじゃまるでアイツらがつきあっててSMプレイしてるみたいじゃねーか!うん!」
「え、そうでしょ?」
「ちげーだろ!うん!飛段とつきあってるのは椿だろ?つーかさっきから変な心配ばっかしてねぇでその不安は全て飛段にぶつけろよ、うん」
「そんな事簡単に出来たら苦労しないって。大体飛段っていつどんな時も基本あのテンションよ?こんな真剣な話をするタイミングを見つける方が困難なわけよ」
「ま……そりゃそうだろうな、うん」
「あ、儀式中とかは唯一真剣なんだけどそんな時にこんな話しても煙たがるだろうしねぇ」
「まぁ、そうだな」
「私がこんなに飛段の事愛してて大好きだなんて、飛段には全然伝わってないんだろうなぁ。どうしたら伝わるんだろう?というかもういっそジャシン様になりたいんだけど。そしたら一生私しか見えなくなるし、飛段に崇拝されて私だけを愛してもらえるよね?ね?」
「うん、なんか物凄く歪んだ愛情に感じるからやめておけ?うん?」

デイダラは呆れたようにため息を吐きながら私の案を制止し、私は不貞腐れたように文句を垂れた。そんな私に呆れながらも見捨てずに相手をしてくれるデイダラは何だかんだで優しい。飛段の好きなところを再び語り出せば「あーもういいっつの、うん!」なんて言いつつ渋々聞いてくれるのだった。




「ンだよ椿の奴……照れるじゃねーかよ……」

任務から帰還し、物陰に隠れていた飛段がこの会話を聞いて頬を赤らめていたなんて、私は気づきもしなかった。


fin




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