私の彼氏は独占欲が強めです(サソリ)

 

「サソリー!」
「何だ。俺は今メンテナンス中だ。見ればわかるだろうが」
「そうだけど……じゃあ、側にいたらダメ?邪魔しないからさ、ねっ?」
「……仕方ねえな、勝手にしろ」
「へへ、サソリ大好き!」

真昼間の暁のアジトのロビーで、私は彼氏であるサソリに絡んでいた。以前サソリが変な薬品を誤飲したとかで、一時的におかしくなった経緯があるのだが、今ではすっかり元通りだ。あの一件からサソリへの愛おしさが増しに増しており、以前よりべったりな私。サソリは相変わらずだけど、決して邪険にしたりする事もない。そんな幸せな時を過ごしていると、どこからか冷ややかな視線を感じた。

「おい椿。旦那とイチャつくんなら、自分らの部屋でしてくんねえかな、うん」
「不愉快極まりないな。金になるなら話は別だが」
「オイオイ、そこでも金かよぉ。俺は別にお前らがイチャつくのは歓迎だぜ?何なら、おっぱじめちまっても構わねえけどな、ゲハハ!」

心底迷惑そうな顔をこちらに向けてくるのは、デイダラ、角都、そして品のない声で高笑いする飛段である。私としてはサソリとイチャラブしているところを他メンバーに見られるのはまるで抵抗はないのだが、一部メンバーは不快らしい。飛段のような例外もいるけど。そういえば小南からもよく煙たがられるんだよね。少しくらい微笑ましく見守ってくれてもいいのに。不快感を露わにするって失礼じゃない?そんなに不愉快か、私とサソリのイチャラブは!
そんな気持ちを込めて鋭い目つきで睨めば、一瞬怯む外野。

「何よ!私とサソリのイチャイチャがそんなに不愉快だって言うの!?ほんっと酷いんだから!」
「そ、そんなに怒る事ないだろ、うん」
「そうだぜ、椿。ただでさえ酷いのにもっと不細工になってるぜ?」
「おいコラ!火に油注いでんじゃねえぞ、うん!」
「フン……やはり馬鹿だな、コイツは」

飛段の一言で怒りは最高潮に達し、飛段に詰め寄ればその勢いで胸倉を掴んだ。隣でデイダラが怯えているように「ひっ」と小さく声を上げていた。

「飛段?誰が不細工だって?私はっきり聞こえなかったなぁ、もういっぺん言ってみなさいよ。ね!?」
「わ、悪かったって椿ちゃん……そんな怒る事ねえだろ?わかってんじゃねーか、美人じゃねえことくらいよォ。……あ」
「……お前は馬鹿か」
「……そう。美人じゃない、ねぇ。どうやら口が過ぎたみたいね。覚悟なさいよ、飛段!」
「ゆ、許してくれよ、椿ちゃん〜!」
「おい。よせ、椿」

今にも飛段をぶん殴ろうとした私を制したのは、先程まで黙っていたサソリだった。サソリに名を呼ばれた瞬間、怒りがピタリと収まり飛段の胸倉を離した。

「ンなくだらねえ時間過ごしてる暇があるなら、俺の相手をしろ。こんな奴らばっか相手にしてんじゃねえ」
「さ、サソリ……!ごめんね無駄な時間使っちゃって。飛段を殴る暇があったらサソリに愛を伝える方がずっとずっといいよね。ああ何て無駄なことしてたんだろう、私……!」

サソリに抱きつけば、後方から「旦那に愛を伝えるのは無駄じゃねえのか?有意義とは思えないんだが……うん」とデイダラらしき声が聞こえたが、聞こえないふりをしてあげた。

「フン、わかればいい」
「私が好きなのはサソリだけだもん。これからもサソリの為に時間を使うね?」
「そうだ、お前は俺のだからな。当然の事だ」

「……なぁ、結局イチャイチャ見せつけられてんだけど、うん」
「つーか椿のあの変わりようはなんだ、さっきまで鬼の形相してたんだぜ?サソリちゃんが近づいたらコロッと変わりやがってよ……!」
「お前とサソリの違いからして当然だろう。それに事の発端は余計なことを言ったお前にある」
「そうだぞ。火に油注ぐ馬鹿がいるかよ、うん」
「馬鹿だと!?」
「馬鹿以外何がある」

三人が小さな言い争いをしている傍ら、私とサソリは愛を語り合ったり伝えたり、とても有意義で幸せな時間を過ごせていた。サソリが壊れたあの一件から、以前よりほんの少し甘い言葉を囁いてくれるようになった気がする。

「サソリも私の事好きでいてくれてる?」
「あ?当然だろ。俺は一度好きになったらずっと好きだぜ」
「へへ、嬉しいな。私もずっと大好きだよ」

再び抱きつけば、やんわり頭を撫でてくれるサソリ。幸せで堪らなくて、そんな幸せを噛み締めるのだった。



fin





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