「はぁっ…うあっ…」

暗闇の中で結ばれ蠢く二つの人影。
彼女の吐息が漏れる。

「嫌がってた癖に、ココは嬉しそうに僕を喰わえてるよ?」

隙間なんて絶対に作らない。
アキの肩を壁に張り付けたまま、彼女の股に腰を密着させて、身体を揺さぶる。

「やぁっ…あぁっ…」

僕が腰を動かす度にされるがままに喘ぎ声を上げるアキ。眉をしかめて、辛そうに与えられる刺激に必死に耐えていた。

その表情に心が何処か焦げ付く。

「アキ…」

意識を繋ぎ止める様にその名前を呼び、律動を続けて刺激を与え続ける。
そんな僕と彼女の繋ぎ目は、互いの体液が混じり合った液体で泡立っていた。
 
「うぁ…?」

突き上げながら、彼女の顔を覗き込む。
強い刺激を与えられて、最早、理性が殆ど残ってないのだろう。
朧気なその瞳は僕みたいに暗く澱んでいた。

アイドルの僕しか知らなかった君は想像した事もないだろうね。

僕がどんな気持ちでTVに出ているのか…
どんな気持ちで作り笑いをしているのか…

「はぁっ…あぁっ…」

「僕は君に近づくべきじゃなかった…」

アキなら、自分の事をわかってくれそうな気がした。
アイドルじゃないただの僕を認めてくれるんじゃないかと淡い期待をしていた。
もう、期待を抱く事や夢を見て傷つく事に疲れていた僕がそれでも、それに縋りたいと思っていた。


「この世界にいる奴等は皆尽きない欲望を抱えてる…」

金、性欲、地位や名声…

それらの為に手段を選ばない。
    
…芸能界なんてイメージだけが空売りされる虚しくて儚い世界。

本物なんて滅多に存在しない。

そして、其処は欲望が鬱蒼と広がり
飢えた獣達が獲物を求めて徘徊している。

「君が行きたいと望んでいる世界の正体なんてそんなものなんだよ…!」

一見華やかで夢に溢れている様に見えるけど
強く光を浴びる分、足許に落ちる影のは比べるものがない位に暗い。

夢がない世界で、けれども辞める事を許されない僕はその世界にいるしかないんだ。


「はぁ…んっ…!」

その細い腰を抱え込むと、彼女の足は浮いてしまう。
僕の先端が奥深くに食い込む様に体重をかけてやった。
そうして、最も奥に僕自身を突き立てる。
ぐっと力を加えて子宮口を抉じ開けてやると絡みついてくる肉襞。

「ひゃあっ!ダメぇ…!はぁっ…」

止めを刺さんばかりに、一気に貫いた。
その衝撃に反応した、膣肉はひくひくと痙攣を起こして僕に吸い付く。

「あぁっ…!」

「君みたいに純粋で無力な子は
    僕達みたいな最低な奴等の喰いものにされるんだよ。」

絶頂を迎えた彼女は身体をしならせたかと思うと、僕の方へ倒れてくる。その膣壁は激しく僕を締め付けていた。

「絶対に来ちゃダメ」

繋がったまま、彼女の身体を抱き締める。
温かくて小さくて震えているそんな君は、無力な存在。
別の誰かに汚されるなんて許せなかった。


「もぉ…ムリ…おねがいだから…」

力なく彼女が呟く。
アキの身体からは力が抜けていてずっと痙攣は治まっていない。
彼女の愛液はもはや粘度が失われ太股を滴り落ちている。

君をとことん汚してやりたい自分と守りたい自分がせめぎあって引き裂かれそう。

「…やだぁ…もぉ…」

自分の中の苦しさを振り切ろうと、一層激しく腰を動かして彼女の膣内を抉り尽くしてやる。
すると、濡れそぼった肉襞は再び僕を求めて締め付けてきた。

「くっ…」

散々彼女を嬲った僕にも限界が訪れる。
血液が僕の中心に集まってきて、ぞわりと背中を快感が走り抜ける。
アキを自分自身で汚してしまった興奮と背徳感が絡み合い、そして解放された。

彼女の薄桃色の入口からは、白い液体が一筋の線を描いていた。

「君はTVの中の僕に夢を見てるだけでよかったんだ…」

彼女の中で果てた僕は、その唇に哀しい位に優しい口付けを落とした。

 
2015.5.16
天野屋 遥か


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