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▼ ティファニーで朝食を

「…んっ…」

カーテンから射し込む朝日に目を覚ます。

気づくと何だかいつもより身体が重い。
てゆーか、何かに押さえつけられてる…?

ふと横を見ると…

「!?」

キラキラと輝く色素の薄い髪の毛、
優しそうな微笑みを浮かべて私を抱き締めて眠っているのは…

「玄!?何でいんの!?」

同期の玄が何故か一緒にベッドで寝ていた。
カッターシャツにスーツのパンツのまま、布団の中にいるこの人を慌てて起こす。

「…ん?あぁ、真帆おはよ」

寝起きで少し気怠そうな彼はそれでも左頬にえくぼを作ってみせた。

「何でここに!?どうやって入ったの!?」

そう、女子の独り暮らしだから戸締まりと防犯には気を使っているのに。
こんなにやすやすと侵入されてはたまったもんじゃない。

「累が真帆の家の合鍵持ってたんだよ」

彼は爽やかに衝撃的な事実を告げた。

「えっ!?累もいるの!?」

「うん。多分…ってちょっと!!」

玄の話の途中で、ベッドを飛び出す。
すると、バスルームが開く音がしたので、そちらへ振り返った。

「おい、真帆!シャンプーなくなったぞ」

そこに、シャワーを浴びた直後の玄が現れた。

「!?」

あまりに意外な場所からの登場にびっくりして腰を抜かす。
彼がパンツを穿いてた事が唯一の救いだ。

累と玄は同じ会社の同期。
御曹司である累は部署も一緒だけど、彼は企画部長というポストにいて上司という複雑な関係。
玄は、営業で他の会社の女子社員にも人気があり、王子様なんて呼ばれているらしい。


「で、何で合鍵持ってんのよ?」

リビングで我が物顔でソファに座って風呂上りに勝手に取り出した牛乳を飲んでいる累に問いかける。

「この間、お前が貸してくれただろ?宅飲みする時に。そのまま借りてんだよ」

リビングにはビールの缶やワインボトル、おつまみの残骸が散らばっていた。
どうやら、夜中に2人で勝手に飲んだらしい。

「いや〜、ごめんね真帆」

玄は一応謝ってくれているけれど、その口許は笑ったままで申し訳なさは全く伝わってこない。
とりあえず、彼と2人でせっせと片付けを進めた。

「そういえば、2人共昨日は合コンだったんじゃないの?
何でここにきたのよ?」

「う〜ん。何か今イチだったんだよね。 一緒に飲んでても楽しめなかったんだ。
だから2人で飲み直したんだよ」

「アイツら俺達に媚びてるのがバレバレ。 嫌いなんだよ、そ〜ゆ〜の。
で、やっぱ俺の美しさに敵う奴はいなかったし」

素朴な疑問を口にすると、玄は困ったように笑い、一方、鼻で笑う累は悪魔の様。

「…あぁ、そう」

呆れた返事しか出てこない。

確かに、コイツらは黙っていればカッコいいとは思う。
玄は物腰はもちろん、出で立ちも王子様みたいにキラキラしているし、累は口も性格も悪いけれど、女性みたいな中世的な美貌を持っている。
2人が並ぶだけで、雑誌のモデルみたいに絵になる。
ただ、新入社員の時から何年も一緒にいるし、累に至っては大学からの知り合いで本性を知り尽くしててもはやそんな風には思えない。


「ちょっと、玄!手伝うふりしてつまみ食いするのやめてよ!」

「バレちゃったかぁ」

結局、掃除後に3人分の朝食を作っている私。
玄は手伝ってくれているが、累はいつの間にかスウェットに着替えて、ソファで寝転がってケータイを弄っている。
(しかも、私の家に勝手に自分のスウェットを置いていた)

「できたよ」

コーンスープとトースト、目玉焼きとソーセージを3人分テーブルに並べる。
いただきますと手を合わせて朝食タイムが始まった。

「真帆美味しい!」

「ん、まぁまぁだな。次から目玉焼きは半熟にしろ」

玄は素直に褒めてくれるのに、
累は何故かいつも一言多い。
さっき、私の目玉焼きを半分、勝手にお皿から取り上げた癖によく言うよ。
根っからのお坊ちゃま体質の累には何言っても聞かないし、もう慣れたものだから別に喧嘩もしないけど、素直じゃないなぁとは思う。
そのまま、最近の皆の状況を報告しながら、全員完食した。


「何だよこれ!? おい!玄!」

食後にコーヒーを飲みながら玄と雑談していると、累の叫び声が響く。
私達はびっくりして声の方向を見ると、ヤツは勝手に私のパソコンを使っていた。

「ちょっと!!勝手に見ないでよ!?」

私の抗議は見事に無視され、画面を覗きこんだ玄の笑顔が凍り付く。

「真帆!何これ!?どーゆー事!?」

そう、画面に映っていたのは…


最近出来た彼氏とのツーショット写真。

ヤバイ!!ーーーーー


「俺達に何の報告もないってどーゆー事だ?」

「ちゃんと恋愛相談しろって言ったよね?」

2人が迫り来る。

「何よ!あんた達だって私に黙って彼女に作ったりしてるじゃない!!」

「「それとこれとは話は別!!」」

もっともらしい事を言って必死に反抗を試みるも、一蹴されてしまった。
(ちなみに私はこの二人に彼女がいようがいまいがどうでもいい)

「さ、真帆、ゆっくり話聞かせて」

玄が逃げ道を塞ぐ様に後ろから私の両肩を抱く。
笑顔が怖い…

「企画部長命令だ。吐け」

ここでまさかの上司の権限を使ってくるとは…!プライベートな事なのに…!

正面には、パソコンを手にした累が不機嫌な顔で待ち受けている。
まさに、あだ名のとおりの氷の女王の様な
逆らうと生きては帰れないと言わんばかりのおどろおどろしい雰囲気で私を威圧する。
反論が出来るはずもなく、ただうなだれる私。

まさか、こんな風にバレるとは…

この2人に恋愛相談するとろくなことはない。
過去、何度も彼氏を作るのを邪魔されてきた。
今回はバレないように頑張ってたのに!!

…結局、2人に詰め寄られ、全て白状させられ説教までされた。

「ごめんなさい。これからはちゃんと報告します…」

もう私は白目を剥きそうな状態。

「わかればいいんだよ」

「俺達は真帆の事が心配なだけなんだ」

累と玄は何だか満足げだった。

こうして、私の休日は勝手に家に上がり込んだ2人の男達によって無駄に消費されてしまったのだった。

2016.3.8
加筆修正 2016.11.6
天野屋 遥か




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