▼ first night 後編1
「環に散々いい思いさせてもらったんだから、次はお前の番だ」
自身も一糸纏わぬ姿になった徹は、ぐったりとしている私に半ば立ち上がった中心を突き出してくる。
「しっかり舐めろよ」
髪の毛を掴んで私の口許へと自身を擦り付けた。
あの契約書にサインをした以上、逃れる事なんて出来ない。
心を決めて、恐る恐る舌を伸ばす。
触れた部分に苦みが走るけれど、我慢してそのまま唇の中に先を含んだ。
「そこ…もっとだ…」
指示に従って口を動かし、時折反応を伺う為に顔を上げれば、徹は頬を紅くさせてその美しい顔を少し歪めていた。
慣れない行為だけれども、懸命に奉仕をする。
自分の口から漏れる水音に混じって、聞こえてくる吐息の音が段々と荒いものになってくるのに気付く。
そこでもっと良くなって貰おうと、最も反応した部分を集中的に舐める。ところが、鈴口から零れる苦い味が濃くなってきた所で、おもむろに彼は自身を抜き去った。
「しのぶ、お前、そこで俺に尻向けて四つん這いになれ」
その命令通りにベッドの上で四つん這いになれば、彼は昂った雄を後ろから花びらの中へと侵入させてきた。
「っ…どうだ?」
律動を始めた徹が吐息混じりに背後から耳許で囁く。
「あっ…!?」
その耳触りの良い艶のある低い声にもたらされた甘い痺れに、思わず身体を跳ねさせてしまう。
「お前、耳敏感なのか?こっちはどうだ?」
指先で背筋をそっとなぞられれば、ぞくぞくと快感が身体を駆け巡った。
普段みたいに、からかった時の私の反応を更に持て囃す様に、悪戯を仕掛けてくる様だ。
「あぁっ!」
されるがまま鳴き声をあげれば、不意に徹の肌の熱さを背中で直に感じる事になる。
「そんなにイイのか?」
うっとりと、蕩ける様でいてスパイスの様に意地の悪さを含ませた問いかけ。
その甘い声…
白くて長い指…
細身で均整の取れた身体…
まるで、あの人に抱かれている様なそんな錯覚を起こさせる。
此処にいない、ましてや一度も抱かれた事すらない筈の"彼"を思い描いて、興奮は高まっていく。
しかも、子宮を裏から擦られる感触に悦ぶ身体は徹を求めて吸い付いていた。
「お前…すげぇな…」
感嘆の声を漏らした彼は嬉しそうに腰を激しく打ち付ける。快感に崩れ落ちそうになる身体をシーツをぎゅっと握り締めて支えていた。
「しのぶ、エロすぎでしょ」
すると、不意に環が私の前に立て膝をつく。
彼の直下たった雄が目の前へと突き付けられた。
「もう無理。俺も気持ちよくして?」
「んん"っ!?」
いきなり口の中に自身を捩じ込まれる。
「ちょっ!環!お前ずりぃぞ!俺の番だろーが!」
「だって、こんなの見せつけられたら我慢出来る訳ないじゃん」
徹が身体を起こして環に反論しても、子供っぽく唇を尖らせるだけ。
「そう。気持ちいい…しのぶ…」
お構い無しに左手で私の顔を固定して腰を動かしながら、右手で優しく頭を撫でる。
柔らかく撫でる癖に、喉の奥まで自身を捩じ込んでくる環。
「んんっ…んっ…!」
背後から貫いてくる徹に与えられる快感に、声を上げようとしても口の中一杯に雄を食わえ込まされている為、声を上げる事が出来ない。鼻からの呼吸だけでは補い切れない酸素を求め、苦しさから逃れようと舌を動かせば、口の中で雄が更に硬さを増す。
「お前、環の咥えこんだ途端に余計に締まりが良くなりやがって…!」
暗に淫乱な女だと蔑む言葉を伝える徹の声には楽しさが滲んでいた。
「…も…出る…」
環がそう呟いたかと思えば、熱と共に青臭い匂いが口の中へと広がる。喉の奥で彼の欲望を受け止めさせられたのだった。
「ちゃんと飲んで?ね?」
顔を上に向かされたまま固定され、自身を引き抜いた環が清々しい笑顔で私を見下ろす。私の喉元をじっと見つめる視線に逆らう事も出来ず、熱い液体を自分の深みへと流し込む。喉を動かし、嚥下した様子を確認していた。
「おい、もういいだろ?」
奪われたお気に入りの玩具を取り返す子供みたいに、徹が腕を引っ張って私を抱き寄せて今度は座った自分の上に私を跨がらせた。
「徹…激しすぎ…!」
「るせぇよ…!黙ってお前は感じてりゃいいんだ」
止めて欲しいと懇願する様に下を向いても、私なんかよりもよっぽど綺麗な顔のその眉を顰めて睨みを利かせる。そして、先程口にした言葉とは裏腹に、見上げるその強すぎる視線に感じた事のない快感が身体を駆け抜けた。
細い身体の何処にそんな力があるんだろうという位の強い力で力任せに私の身体を揺さぶる。
「やっ…!駄目…!」
子宮の口にぐりぐりと先端を押し付けられて、強い快感を与えられる。堪え切れずに両腕を彼の首へと回して、縋りついた。
「嘘つくな。腰揺れてる癖に」
ところが、この性格の悪い男はニヤリと歯を見せて、更に揺さぶりをかけてくる。身体の力が抜けて沈んでしまった腰の奥を、深く貫いてきたのだ。
「あぁっ…!」
そのまま、押し寄せる快感に溺れて、そのまま達してしまった。
「っ…やっべ…」
チッという舌打ちと共に腰の中で徹自身が大きく跳ねて、じわりと胎内に熱が広がるのを感じた。
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