▼ first night 前編2
「あっ…やっ…!ダメ…!」
弱いところを探るように舌を色んな角度から入れる環に粘膜を舐め回される。
鈍く、けれども執拗に与えられる甘い刺激に奥から蜜が滴り始めるのが自分でも分かった。
「…環、お前えらく焦らすな」
「だって、しのぶがどうやって感じるか、じっくり見たいじゃん」
舌を抜いた彼が身体を起こして相方に向かってそんな事を言いながら、唇に付着している私の蜜を舌で舐め取っていた。
「やっ…」
「かわいい」
あまりの恥ずかしさに顔を背ければ、環は満足気に微笑む。
「変態だな。お前」
背後から徹の悪魔の様な嗤い声が響き渡る。
「徹には言われたくないよ」
心外だと言う環は、再び私を嬲り始める。
今度は指を滑り込ませてきた。
潤み始めた粘膜を擦り上げながら蕾に吸い付く。
「ほら、コイツがお前のナカいじってるとこしっかり見ろよ」
徹に無理矢理、顔を下へと向けさせられる。丁度、環が私の膣内を弄んでいる光景が全て見られる様に。
自分の身体越しに射抜く様な眼差しで私を見つめているこの人との視線が絡み合う。
「はぁっ…!あっ…」
この淫らな光景に背筋にぞくりと戦慄が走り、粘膜が指に一層密着した。
「しのぶ、もっと感じてみせろよ」
揶揄する様に徹も胸を鷲掴みにしながら、先端に絶え間なく刺激を与えてくる。中を這い回る指の動きが激しくなると、ピチャピチャと大きくなった水音も耳を犯す。
段々と腰が浮いて、強い快感と引き換えに感覚が失われていく。
「やぁっ…!!」
とうとう、身体を大きく跳ねさせて達してしまった。
環の指を締め付けたまま、その余韻でピクピクと身体が痙攣する。そこでやっと徹から解放されて、そのままベッドへと身体を沈めた。
これは罰だ。
遠い昔のおとぎ話のお姫様とは違い、差し出されたのは毒林檎だと知りながら口にした私はその罰を受けなければならない。
無垢な彼女は最後には幸せを手に入れたけれど、謀った私はきっとそんな事はあり得ないだろう。
こんな風に王子のふりをした悪魔に食い物にされるのがお似合いなんだ。
そんな事がぼんやりとした意識の中で浮かんできた。
肉体はもう開いてしまっているし、達したばかりで頭の中もふわふわしている。
けれども、どこか冷静な自分がいる理由は明白。
彼等を愛していないから―――
いくら、この二人が特別であったとしても、そこは数少ない今まで付き合ってきた男性達と何も変わらない。
恋愛感情というものを心の奥底に沈めてしまった私は、身体と心を支配されても彼等を愛する事は絶対にないだろう。
友情が愛情に進化を遂げる事はない。
「しのぶ、ほんと可愛い。しかも、すごく感じやすいのもたまらない」
そう甘い声で語りかける環に頬へ何度もキスをされる。
「環…」
優しくて蕩けそうなキスへ答える様に名前を呼んだけれども、その後に続く言葉が思いつかなかった。
愛してもいないのに、甘える様な歯の浮く様な台詞なんてあまりに陳腐すぎて言えたものじゃない。
「しのぶ、どうしたの…?」
そのまま黙りこんでしまった私を、不思議そうに覗きこむ環。
「じゃあ、そろそろ俺に代われよ」
すると、そんな状況に徹が割って入ってきた。
「えー!?」
「お前、散々やっといてなんだよ。次は俺だろ?」
「うーん、わかったよ」
環が唇を尖らせながら、渋々私から離れる。
そして、パジャマを脱いだ徹が正面に現れた。
漆黒の髪の毛がその白く綺麗な肌に映える。
鍛えられている訳ではないが、無駄のない美しい体型をしていた。
2015.12.20
天野屋 遥か
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