※前作の続き。最初から最後までヤってます。
くちゅ…、と濡れた音が部屋に響く。
手も足も全て彼のそれと絡め合わせ、躰を深く沈めたベッドの上で縺れ合う。
ウヒョン兄とのキスは好きだ。
ゆっくりと優しい。
だけど確実に吐息を奪われ、徐々に浸食されていくような、そんなキス。
まるで、自ら望んで支配されているような感覚。
「…んっ、ふ…」
嗚呼、呼吸困難ですぐにでもイってしまいそうだ。
ソンギュ兄とする、何もかもを奪われるようなキスも大好きだけれど、彼の官能的なキスはいつもおれを満たしてくれる。
ぐり、と右膝でウヒョン兄自身を刺激すると、はぁっ、と彼の口から熱い吐息が零れた。
「…相変わらず積極的だな、ミョンスは」
「ん…だって、はやく欲しい…」
誘うように口唇を舐めて見せると、ウヒョン兄は困ったように笑った。
彼はいつだって、こんな風に優しいふりをする。
「ねぇヒョン、はやく…」
ウヒョン兄の服を脱がせて、自分のものも脱がせやすいように腰を上げる。
「こら、あんまり急かさないの」
早く、早く。
前戯なんて要らない。
本当の優しさも、優しいふりも必要ない。
だけど、愛されてると錯覚させてほしいから。
だから今日、敢えて2番目に彼を選んだのだ。
「…ミョンス、これはどういうこと?」
ようやく衣服に手を掛け引き下げたウヒョン兄が、後穴からだらしなく白濁を溢すそこを見つめて強い口調で問うてきた。
目の奥で燻り始めた狂気に、堪らず口角が上がる。
「ミョンス、」
「なんだと思う?」
「…」
さあ、今すぐおれに見せて。
優しい兄さんの醜く歪んだ姿を。
「…合意だったら、許さない」
「じゃあ、合意」
にやり。
わざと厭らしく微笑んでやれば、ウヒョン兄の瞳が鋭く光った。
「…ミョンスはMだから、慣らされるのが嫌いなんだよね」
じゃあ、ぐずぐずになるまで解してやるよ。
ウヒョン兄の厚い口唇がそう告げた瞬間、無防備に晒されていたそこに指を突き立てられていた。
「あああっ…!」
ずぶ、と嫌な音がする。
痛みこそなかったけれど、一気に3本も指を挿れられたらしいそこは、急激な刺激に対応しきれなかったみたいだ。
ぐっぐっ、と押し広げられる感覚に、中がきつく収縮した。
「あっぅ、ん…っ」
「慣らされるの、嫌なんじゃなかった?すごい喜んでるように見えるんだけど」
「っふ、んぁ…あ…」
「なぁ、ミョンス」
指が入る限界まで奥に突き立てられて、3本の指をバラバラに動かされる。
着実に高められているというのに、やっぱりどこかもどかしい。
だけどそれ以上に、初めて目にする彼の表情に酷く興奮した。
「…あっ!」
「俺と会う前に誰とヤって来たの?」
「っあ、ん…は、ぁ…」
「答えろよ」
とろ…、と中の白濁が掻き出される。
太ももに伝っていたものは既に乾き始めていて、ウヒョン兄がイラ付いた様子でおれの足を引っ掻いた。
「あ゛あぁ…!」
がり、と白濁ごと肉を削られる。
その痛みに耐えようと歯を食いしばっていると、愉しそうに笑ったウヒョン兄がおれの足を掴み上げ、血を流すそこをぺろりと舐めた。
「っ!いた、い…っ」
ぢゅっ、とおれの血を啜るウヒョン兄がまるで吸血鬼のようで、背筋がぞくりと震える。
だけどそれを、どこか冷静に見ている自分も居て。
「…ミョンス、何考えてんの?」
「ぁっ、うぐっ…、ひょん、の、ことっ…」
「ふふ。ミョンスは嘘が上手いね」
貴方もね。
そう口内で呟いて、涙を溜めた目でウヒョン兄を見上げる。
そうすれば彼はにこりと微笑んで、おれの中に入っていた指で腹側にあるしこりを強く擦った。
「んああっ…!」
「もうイキそうなくらい蜜が出てきてるよ、ミョンス」
じゅぶじゅぶと泡が立ちそうな程掻き回されて、ウヒョン兄に抱えられている足がガクガクと笑う。
それでも、もっと強い刺激が欲しくて甘く痺れる腰を揺らすと、彼が軽蔑するようにおれを見下げた。
「淫乱」
「ひっぁ、あ…」
突き刺さる冷たい視線がたまらなく気持ちいい。
思わず喘ぎながら笑みを漏らすと、ウヒョン兄の顔が綺麗に歪んだ。
「…むかつく」
ずるり。
勢いよく指を引き抜かれて、喪失感が躰を襲う。
パンツと下着をずらしたウヒョン兄に両足を掴まれて、胸に届きそうな程折り曲げられた。
「ああ、あっ…!」
「っく…」
酷く熱い欲の塊が一気に体内に突き刺さる。
奥まで挿れられたところで、ぐっ、と更に腰を押し付けられた。
吐き気がしそうな程の圧迫感と快感に耐えながら繋がった場所に視線を落とせば、そこは歓喜に震えながらウヒョン兄を飲み込んでいた。
「ぁ…、」
「ふふ。嬉しい?ミョンス」
その問いに、うん、と頷いて見せると、ウヒョン兄はいつものように優しく微笑んでおれの首筋に顔をうずめた。
「い゛っ…?!」
噛み千切られたのではないかと思う程の激痛。
いきなりのことに思わず彼の髪を掴むと、噛まれたところをゆっくりと舐められた。
「あぅ…、ひょ、ん…」
「まだ許してないからね」
にこり。
微笑む彼の口唇を、おれの血がほんの少しだけ赤く染めている。
やっぱり噛み千切られたのか、とぼんやり考えていると、止まっていた腰を再び動かさられた。
「んあっ…!」
ぎりぎりまで引き抜き、最奥まで沈め込む。
それを何度も繰り返されて、強すぎる快楽に小さく悲鳴が上がる。
「あっあっ、ひょ、ん…っ」
「っは、…」
がつがつと痛いくらい打ちつけてくる逞しい腰。
いつもの優しい腰使いを思い出して、心の奥底でほくそ笑んだ。
だってこれが、おれの見たかったウヒョン兄の姿だから。
「ぁぐっ…ん、あっ…」
「っ、ミョンス、こっちだけでもイけるんだろ?」
「ああっ…」
ぐり、と一番感じる場所を先端で引っかかれて躰が仰け反る。
急激に競り上がる吐精感に、目の前のウヒョン兄の首に両腕を回した。
「何?甘えてんの?」
「っあ、ひょ、ん…ひょん…」
「何、ミョンス」
ちゃんと言いな、と求められている間も、激しい行為は止むことを知らない。
口付けと同じ浸食されてゆく感覚に、涙が出そうだった。
「はぅっ…ん、…も、イかせ、てっ…」
「だめ」
「っや、だ…、おねが、ひょん…」
「淫乱は口の利き方もなってないんだね」
「あああ…!」
イきたいと訴えるソレをきつく掴まれて、這い上がって来ていたものが体内でぐるぐると暴れ回る。
そのあまりの快感に涙を流しながら、ウヒョン兄を見つめて懇願した。
「おねが、します…イかせて、ください…っ」
「…うーん、まあ、今日は合格にしといてあげる」
「んあぁ…っ」
ずぶずぶと厭らしい水音を立てながら、これ以上ないくらい激しくピストンされる。
折り曲げられたままの両足と腰が悲鳴を上げたけれど、それさえも快楽が飲み込んでいった。
「あっあっ、あっん…」
「っは、中に出すよ、ミョンス…っ…」
「んっ、ぁ、出してっ…うひょに、ひょん…っ」
「、…っ」
「ぁ、あああっ…!」
「…っく、ぁ…!」
じわじわと中が温かいもので満たされて、おれ自身も自分の腹を汚した。
上がった息を整えながら見つめてくるウヒョン兄の頭を抱き寄せて、そっとキスをする。
「ん…ひょん、きもちかった…」
「…淫乱」
今度他の誰かとヤったら殺すからね。
そう言っておれの首を締める真似をするウヒョン兄に微笑んで、おれはゆっくりと眠りに就いた。
錆び付いた夜に
(だけどやっぱり、足りないんだ)