※ヤってるだけ。ソンギュとソンジョンが兄弟設定。
なんだか妙なことになったなぁ。
耳元に掛かる吐息を感じながら、そんなことをぼんやりと思う。
いつものホテルに呼び出されて行けば、ソンギュ兄と何故か彼の弟であるソンジョンが居て。
首を傾げるおれにソンギュ兄が放った言葉は、ソンジョンの相手をしてやって欲しい、だった。
あのソンギュ兄の弟とは思えないくらい、ソンジョンは穢れを知らない綺麗な瞳をしていた。
そんな彼の“ハジメテ”を、半強制的におれが貰うことになった訳なのだけれど。
おどおどしているソンジョンの手を引いてベッドに押し倒したのは、他でもないおれだ。
これはまた妙なシチュエーションだなぁ、とは思ったけれど、ソンギュ兄に見られているという状況に興奮したのも事実で。
「ん…、そんじょな、上手」
「ミョンス、兄…」
不安気に揺れる綺麗な瞳を覗きこんでやると、恥ずかしそうに伏せられるそれ。
いつもの癖でキスを甘受している間にソンジョンの上着を脱がしてしまったのだけれど、まだ未熟な彼はキスで手一杯だったようだ。
既に着崩れたソンジョンと、未だほぼそのままの状態でいるおれ。
そんな不釣り合いな状況が可笑しくて、ついくすくすと声を立てて笑ってしまった。
「ソンジョナ、おれの服も脱がせて?」
「っ…、うん」
おれの服に掛けられる、ソンジョンの震えた手。
それが何だかとても愛おしく感じで、目の前の柔らかい髪をそっと掬う。
慣れない手つきで一つずつ外されてゆくボタンを見ていると、ふと視線を感じて顔を横に向ける。
そうすれば、こちらを眺めていたソンギュ兄と視線が絡んだ。
いつもと同じ、何の感情も汲み取れない表情。
だけどそんなことにはもう慣れた。
冷たい彼の態度にも、そのくせ酷く激しい行為にも。
「ミョンス兄…?」
か細い声に顔を元に戻すと、ソンジョンが眉尻を下げておれを見下ろしていた。
ごめんね、と誤魔化すように小さく笑って、きめ細かな彼の頬にするりと手を這わす。
そのまま首筋を通って鎖骨を辿ると、びくん、と目の前の細い身体が震えた。
「ソンジョナ、ここ、触って…?」
ソンジョンの胸をゆっくりと撫でると、そこがどくん、どくん、と早鐘を打っているのがわかった。
可愛いなぁ、と思いながら彼の片手を掴んで、おれの胸元へ導く。
ちらちらとこちらの様子を窺いながらたどたどしく触れてくるソンジョンに、堪らず笑みがこぼれた。
「んっ…そう、そこ」
「みょ、ミョンス兄…」
長くて繊細で、綺麗な指。
こういうところはソンギュ兄に似てるんだなぁ。なんてどうでもいいことを考えながら、徐々に自我を持って動き始めたソンジョンの指に喘ぐ。
「ぁっ…、ん…」
きゅ、と胸の突起を摘ままれて声を上げると、ソンジョンが熱っぽい息を吐いたのがわかった。
断続的に与えられる刺激に身を捩ると、腰に感じる熱。
ふとソンジョンを見上げると、至極恥ずかしそうに腰を引いた。
「…一回出しておこうか」
「え?」
「ソンジョナ、ベッドの端に座って?」
「えっ、あ、うん…」
体を起こして彼の手を引くと、戸惑いながらもおれの言う通りにする。
そんなソンジョンの足の間で膝立ちになり、ベルトに手を掛けた。
「ちょっ、ヒョン?!」
慌てふためくソンジョンを見上げ、視線で牽制する。
かちゃかちゃと音を立ててバックルを外すと、ジーンズのファスナーをぱくりと口で咥え、そのままゆっくりと下げた。
「…っ、」
息を詰める音に目だけを上へ動かすと、ソンジョンがこれ以上ないくらいに顔を真っ赤にさせ、口元を手の甲で覆っていた。
恥ずかしいのはまだまだこれからなのに、と初々しい反応に気分を良くさせながら、今度は下着を口唇で挟む。
軽く歯を立てて下に引っ張ると、首を擡げたソレが勢いよく顔を覗かせた。
「ふふ、かわい」
思わずそう口にしながら笑えば、ソンジョンが困ったように眉を下げる。
「ヒョン…」
やめようよ、とでも言いだしそうなソンジョンを見上げたまま、ちろ、と舌先で先端を舐めてやる。
すると、ぴくん、と震えたソレに小さくキスを落として、ゆっくりと見せつけるように口内へ導いた。
「んっ…」
初めてだから、感覚的にも、視覚的にもかなりクるのだろう。
堪らない、といった様子で眉をひそめるソンジョンのソレから一旦口を離す。
もう既に蜜を溢れさせ始めた先端を、ちゅっ、と軽く吸い上げてから、上から下へと竿に舌を這わす。
辿り着いた先の袋にも舌を這わせて舐め上げた。
「あっ、…みょんす、ひょん…っ」
「んっ…ん…」
そこを口に含んだり舐めたりを繰り返せば、ソンジョンのソレが痛い程に腫れあがる。
早くイかせてあげようと、もう一度竿を伝って先端を口に含む。
舌先を尖らせて尿道をぐりぐりと刺激してやれば、ソンジョンが耐えられないというようにおれの髪を掴んだ。
「んあっ…、ひょ、んっ…」
「イキそ…?」
はむはむと咥えながらそう問いかけると、ソンジョンが何度も小さく頷いた。
じゅっ、と音が鳴る程きつく吸い上げながら口を離し、ソンジョンの片手を掴んで彼自身を持たせる。
快感に飲まれたソンジョンは、恥ずかしさなど忘れ、体を支配する熱を吐き出すためにおれの唾液でべたべたになったそこを扱いた。
「んっ、…みょんす、ひょん…っ!」
出る、という小さな声が上がり、おれは目を閉じて口を開けた。
「ぅ、あっ…!」
「…っ、…」
数回に分けて熱い飛沫が顔中に飛び散った。
まぶたの上に吐き出された白濁を指で救って、閉じていた目を開ける。
はぁはぁと忙しなく息を吐いているソンジョンをわざと見つめながら、白濁の乗った指を口の中へ含む。
それを何度も繰り返すと、ソンジョンのソレがまた大きくなってきた。
「ふふ、やっぱり若いっていいね」
「…僕とあんまり変わらないくせに…」
余裕が出てきた様子のソンジョンをベッドの上に誘って、おれも体を横たわらせる。
自分で履いていたボトムと下着を脱いで放り投げ、ソンジョンの目の前で四つん這いになった。
右手の指2本を軽く舐めてから後穴に這わす。
くちゅ、と音をさせながらそこを横に広げると、背後でソンジョンが息を飲む気配がした。
「そんじょな、挿れて…?」
「っでも…」
「だいじょうぶだから、…」
ね?と誘うようにソンジョンを見上げれば、ごくりと動く喉。
確認しなくともわかる。
ソンジョンのソレは、また硬さを取り戻して肥大しているのだろう。
今から訪れるであろう快楽にほくそ笑む。
「ね、そんじょな、お願い…」
仕上げに熱っぽい目でソンジョンを見上げれば、もう限界だ、と硬いソレを後ろに宛がわれた。
「ヒョン、行くよ…」
「ん、…あっ…」
ずぶり、と一気に入ってきたソレに身体を震わせる。
前戯など一切しないソンギュ兄に抱かれる日は、いつも事前に自分で慣らしている。
そのお蔭で痛みなど皆無に等しかったけれど、兄とは違って心優しいはずの弟には、きちんと前戯の仕方を教えておけばよかったかな、とほんの少しだけ後悔した。
「はっ、ぁ…」
胎内でびくびくと脈打つソンジョン自身をきゅっと締め付けてやれば、はぁ、と熱い吐息が背中に掛かる。
それが何とも心地よかったけれど、やっぱり物足りない。
「そんじょな…動いて…?」
呟いた途端、がっちりと掴まれる腰。
あ、と一息つく暇もなく最奥まで突き上げられて、予想外に声を上げてしまった。
「んあぁっ…!」
ぱんぱん、と急速に肌がぶつかり合う音と、卑猥な水音が耳を犯す。
初めてにしては巧い腰使いと激しい行為に、やっぱりソンギュ兄の弟だな、と感心する。
「ぁっう、んっ…」
がくがくと体を揺さぶられていると、ベッドから少し離れたソファに座って静かに見物していたソンギュ兄が腰を上げるのが視界に入った。
だけど、そちらに視線をやる余裕もあまりなくて。
「ずいぶんイイ顔してんな、ミョンス」
「あっ…」
近づいてきたソンギュ兄に髪を掴まれて、ぐい、と顔を上げさせられる。
それに連動して少し上がった腰に、ナカのソンジョンの角度が変わってイイ所を擦られた。
「んあっ、あ…!」
「うっ…、」
とろ、と先走りが溢れる感覚。
それに感じ入っていると、髪を掴んでいたソンギュ兄の手が離れ、代わりに、いつの間に取り出したのか、見慣れた彼のモノを咥内に突き立てられた。
「んぐっ…」
まだあまり硬度を持っていないソレを一生懸命舌でなぶると、また思い切り髪の毛を引っ張り上げられる。
「お前のイキ顔は俺のものだろ?」
痛みに耐えながら視線を絡めると、ソンギュ兄が厭らしく口角を上げた。
◇
いつもの所で。
そう打ちこんだ文面を送信して、受付で部屋のカードキーを受け取る。
一人で乗ったエレベーターの壁に背中を預けて大きく息を吐く。
思わぬ才能を発揮した弟と、人を人だと思っていない鬼畜兄に散々弄ばれた体が悲鳴を上げていたけれど、あのまま帰るのは何だか惜しかった。
とろ…、と溢れだして来たものに小さく笑みをこぼしながら、受け取ったルームキーでドアを開けて室内に入る。
そっとベッドに腰かけてしばらくの間窓の外を眺めていれば、がちゃりと扉が開いた。
「ミョンス、」
入ってきた彼に近づき、彼の首に両腕を回す。
甘えるように首筋に顔を埋めると、おれの嫌いな甘ったるい香りが鼻を掠めた。
「待ってたよ、ウヒョン兄」
デモーニッシュの罠