Blue
written by 綺月深穏


呟いた言葉を
聴き逃さないように
耳をそばだてた
あなたの人差し指と中指を
ぎゅっと握る
波の音(ね)が 今は痛い
頬を掠める潮風が
声をさらっていってしまうから
あなたの左側に座ったの

今日が永遠なら
ふたりはずっと手を繋いで
叶わない夢の話をするんだろう
ふたりの隙間を流れる風は
一段と温度を下げる


いつからだろうね
「あの頃は」「あの時は」
思い出ばかりを
現在(いま)に引っ張ってつなごうとした
「来年も」「いつか」
未来ばかりを語った
肝心なのはこの一秒
肩が触れない絶妙な距離
砂の絡まる涙の雫

力を入れすぎた
奥歯がしびれる 零れ落ちる
言うなら早く言ってよ 壊れそう
ぼやける水平線に託した
ぶれた声が鳴り始める


添う風すり抜ければ
大泣きのあたしと
すすり泣きのあなた
白波が引き返してゆく


未来が望みなら
ふたりはもっと手を握って
叶えたい夢の話をしたのかな
余計な修正を施し続け
海は濁ってしまった

呟いた言葉は
聴きたくない言葉だった


category : Lyric

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