きみの名前を呼ぶ度に
written by 綺月深穏
きみの名前を呼ぶ度に
あたしの知っているきみがひとつひとつ
増えていく気がする
きみの名前を呼ぶ度に
この気持ちがきみに
伝わってしまう気がする
晴れた朝の拙い挨拶は
前の晩に膨張した不安を拭い去る
全て薄く恋の色をかぶっている
今朝は何を食べたのだろう
きみの名前を呼ぶ度に
あたしの知っているきみがひとつひとつ
増えていく気がする
きみの名前を呼ぶ度に
この気持ちがきみに
伝わってしまう気がする
ふとした瞬間に目が合うと
1時間の60分の3600秒の
たった一瞬が重なったのだと
拡大解釈してしまう
仕草を言葉を表情を
記憶の隅 引っ張り出した雑誌の1ページに
照らし合わせ読み取ろうとするけれど
結局わからなくて 惑う
きみの名前を呼ぶ度に
あたしの知っているきみがひとつひとつ
増えていく気がする
きみの名前を呼ぶ度に
この気持ちがきみに
伝わってしまう気がする
きみの名前を呼ぶ度に
あたしの名前も呼んでほしいと
ひっそり願っている
category : Poem
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