木春
2013/01/15 22:57





君を好きで良かったと、素直に感謝できるくらいに俺は大人になった。


でも同時に、無邪気で愛おしい、あの頃にはもう戻れないんだと寂しさを覚えるようにもなった。
ずっとそばに居たわけじゃない。離れている日々のほうがきっと長かった。だけど俺もお前も、何度季節が巡っても、どれだけ変わっても。揺るがない想いをひとつ、小さな胸にずっと抱えていた。


この気持ちは恋だと、気づいたのはいつだったんだろう。
もう忘れた。思い出せない。ただ音無が好きだ。大好きだ。呼吸するみたいに、自然にそう思う。俺にとってもはや当たり前の事なんだ。多分音無も、きっと同じ。


重ねた年月のぶんだけ俺達は大人になって、嘘も上手くなったし世の中の事だって多少は偉そうに語れる。でも自分の気持ちを素直に言葉に出来ないのは今も昔も同じで、もしかしたら今のほうがずっと性質が悪いのかもしれない。


「木暮くん、飲みに行こっ」

「・・・えー、やだよ音無せんせ酔い方めんどくせぇし」

「何よその言い方!自分だって愚痴言うでしょー?」

「それこそお前だって言うだろ」


デートしよう、その一言が上手く言えない。そんな大人になってしまった俺達を、あの頃の俺達はどんな風に思うだろうか。切ないほどに眩しかった過去にはもう戻れない。だけど、


「ほら木暮くん、行きましょ」

「わかったから引っ張るなっての」


たとえば馬鹿みたいにいつでも楽しそうな音無の笑顔とか、相変わらず直らない俺のイタズラ癖とか。今でも変わらないものは、結構あるのかもしれない。



*****************


今年初の雰囲気文な木春です(゜▽゜)
書いてる桜兎自身も眠たすぎて何書いてるのか意味不明です(笑)
大人になった木春も相変わらず仲良しで微笑ましいです///

comment (0)


prev | next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -