ナナメ上を向いて行こう! | ナノ



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小鳥遊side


門田さんが復帰してからしばらく経ったけど。

「あ、ぽぷら、それ重いでしょ。私がやっとくからそこ置いときな」

「八千代ちゃん。12番卓のお客様に少し時間かかるって伝えといてくれる?」


気が利くし仕事出来るし、ワグナリアで初めてまともな人を見た気がする……


「ど、どうしたのかたなし君。目が潤んでるけど…」

「先輩。いえ、なんか門田さんが神様の様に思えて….」

「京さん?でも、本当に優しいよねー。たまに遊びに連れて行ったりもしてくれるんだー」


えへへっと笑う先輩かわいいっっ


「店長にもうまく対応してますし、あんなに穏やかな人だと嫌いな人とかいなさそうですよね」


そう話しながらキッチンの方を見るとちょうど相馬さんが出勤してきたところだった。そういえばこの2人の絡み見たことないな。

まあ、門田さんのことだ。うまく交わすんだろうなー。そもそも弱味なんてなさそうだし。


「おはよう京香ちゃん!バイト復帰おめでとう!!」

「あ"あ"?」


なんか、あそこだけ一気に氷点下に!?
漫画やアニメならヒュオオオってな感じで冷気がただようような……

てか、何あの門田さん、キャラ違いすぎんだろ!!後ろに鬼が見える。


「相変わらず酷いなー京香ちゃんは。俺傷ついたー」

「思ってもいないことを言うな。ていうか、名前で呼ぶなっていつも言ってんだろ」


しくしくと、もはや口に出して嘆く相馬さんに相変わらず門田さんは鋭い視線を投げかけている。


「ちょっと、二人とも!喧嘩は良くないよ!」

「あ、先輩、勇者すぎますよ!」

「大丈夫だよぽぷら。これは喧嘩じゃない」


無謀にも止めに入った先輩に、一転してにこりと何時ものように笑う門田さん。

「へ、そうなの??」

「そうだよ、ぽぷら。喧嘩っていうのは、元々仲の良かった人たちがすれ違って仲違いすることをいうの。私と相馬は今まで一度も仲の良かった時間なんてないから、これは喧嘩じゃないんだよ」

「へー。そうなんだ!」

……………


「いや、微妙に違いますからね、先輩」

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