烏との迎合
「改めまして。忠くんがお世話になってます!姉の愛です」


そういってぺこりとお辞儀をした彼女に驚きを隠せない部員たちだが、それぞれ簡単な自己紹介を終える。


「おい、山口!お前姉ちゃんいるなら最初に言えよ!」

「そうだぞ!なんで黙ってたんだよ!」

「えっ!?」


バシバシと背中を田中西谷コンビに叩かれる山口。そこに日向も加わり騒がしいことになっている。そんな彼らを姉はにこにこと見つめていた。


「なんか、楽しそうな部活みたいで良かったです」


残っていた3年トリオに話しかける。その表情は本当に弟を大切にしていることが伝わってくる。


「うちの部員は元気な奴らばかりだからな。そうだ、同じ年らしいし敬語は無しにしないか?」

「そうそう。かたっくるしいのはやめるべ!」


澤村の言葉に賛同する菅原。東峰も笑顔で頷いている。


「ほんと?じゃあ、そうさせてもらおっかな」


なんか変な感じ。と笑う彼女は見てて癒される雰囲気をしており、思わず3人の頬も緩む。


「でもよー、2人ともあんま似てねえんだな!」


しかし、雰囲気は一転して、その田中の言葉に一気にむすっとした顔になってしまった愛。あーあ、それ禁句です。と今まで騒ぎを傍観していた月島がつぶやく。山口もあちゃーという顔だ。


「私と忠くんはちょっとわかりにくいだけでちゃんと似てるんです!」


ほら、よく見て!とグイグイと田中の近くによっていく愛に田中はいろいろと焦っている。


「どうしたの愛ちゃん」

「姉さん、俺が言うのもあれですけど結構ブラコンで。似てないって言われると怒っちゃうんです」


その光景を指を指して菅原が問えば少し疲れた顔で答える山口。今までいろいろ苦労してきたのだろう。あれ、収めるの大変なんですよね。と頭を抱えている。しかし、意外と早く終わりは来た。


「え?でも、俺山口のお姉さんって聞いて納得しましたけど?」


誰かに似てるなーと思ってたんで。と、さらっと言った日向の言葉に怒っていた愛の表情はまたもや笑顔に切り替わった。


「ほんと!?そうだよね!似てるよね!いやー、日向くんだっけ?君はいい子だねー」


先ほどまで言いよっていた田中には見向きもせず、よほど嬉しかったのか日向の手を握り、上下にぶんぶん振りまくっている。日向も日向でありがとうございます!と嫌がっている様子は全くない。


「………単純すぎるデショ」


相変わらず…あの人は。という月島のつぶやきにみんなが頷いた。

「もう、日向くん帰りにアイス奢ったげる!」

「まじすか!ありがとうございます!」

「……何、愛ちゃん西谷属性なの?」

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