今日もカウンターに座って本を読む。外は雨。いつもよりも集中して本が読めそうだ。外を見る必要がないのだから。

ちなみに、今回の図書委員はじゃんけんに負けてなった人が多く、曜日制のカウンター当番をまともにする人など滅多にいない。だから、一応図書委員長の肩書きを持つ私がほぼ毎日当番をしている。まあ、好きでやっているから構わないのだけれど。


(そろそろだろうか、彼が来るのは)


彼というのは柳蓮二。かの有名なテニス部の中でも三強と呼ばれるほど強いらしい人物だ。テニスには詳しくないのであまり分からないが。

彼は読書が趣味らしく、よくここへ訪れる。普段は昼休みに来ることがほとんどだが、今日のように雨が降った日は部活のミーティング終了後必ず立ち寄る。

3年に上がってしばらく経った頃だろうか、この場所で本を読んでいたときに話しかけられたのだ。


「みょうじなまえ。先日配布された図書便り、あれの原稿を書いたのはお前か」

「え、はい。そうですけど、なにか?」

「いや、本を紹介するコーナーに書かれていたみょうじの紹介文が興味深かったので早速読んで見たのだが、みょうじとは違う感想を持ったので、改めてどのような解釈をしたのか聞こうと思ってな」

「はあ」

「よし。ではまず主人公が…」

「ちょ、ちょっとまってください!?」


あのときの私はまぬけ面だったんだろうな。あれから、なんやかんやあり、なにかと本の感想を言いあう仲になった。今思えば、窓の外を見るようになったのも柳くんの影響があるのかもしれない。すぐに興味は女子に移ったけど。


(あ、もう、こんな時間。そろそろ閉めなきゃ。

今日は来なかったな。柳くん)


なんてことを考えながら支度をしていると聞こえた誰かの足音。小走りでこっちに向かって来るのが分かる。


(柳くん?いや、柳くんが小走りでここまでって…ないな。誰だろう)


ガラッと、勢い良く開けられたドア。そこにいたのは


(え、なんで)


「ふぅ、セーフ。あ、悪い。まだ返却できる?」


赤い髪の彼だった。


どうしてこんなところで?
(ここに来たとこなんて見たことないのに)
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