20180401
(MUGI companyに入社した***。上司や先輩は変わった人たちばかりのようです。)

緊張しながらもオフィスのドアを3回ノック。けれどその音がかき消されるほど中は騒々しかった。

「よっ、おれは課長のルフィ!堅苦しいことは考えねーで楽しくやろうぜ!毎週金曜日は宴があるから来てくれよな!」
よかった、怖そうな課長じゃない。
安堵しつつも飲みニケーションが多そうなことに少したじろいだ。

「ちょっと課長!前も言いましたが毎週金曜の宴は禁止です!なんでもかんでも経費で落ちると思わないでください!」
ルフィ課長に物怖じせず叱る綺麗な女性。「だってよー」と課長が不満を口にしているのも気にせずこちらを振り返った。
「ああ、変なところ見せちゃってごめんなさいね。私は経理のナミ。これからよろしく」
にっこり笑った顔が素敵だ。きっと仕事もバリバリこなすんだろうな。
ナミ先輩の美貌に見とれていたところで廊下からガヤガヤした声が聞こえてきた。

「…ったく、なんでいつも外回りがぐる眉と一緒なんだよ」
「おめぇが迷子になるからだろうがマリモ!世話焼かせんじゃねーよ!」
「迷子になんかなってねーよ、あいつらが迷子になってんだろーが!」
「取引先が会社ごと迷子になるわけねーだろ!脳まで筋肉なのかおめぇは!」
言い争いをしながら入ってきた男性二人は、私の姿を捉えるとすぐに静かになった。
「おっと、ご挨拶が遅れて失礼しましたマドモアゼル。おれは営業のサンジ。分からないことがあったら何でも訊いてください」
「…けっ、格好つけやがって。おれも同じく営業のゾロ。よろしくな」
やっぱり営業はルックスが大事ですね。緊張のあまり「よ、よろしくお願いします…」という声が消え入りそうになってしまった。

「おっ、お前が新人の***か!おれは産業医のチョッパーだ!定期検診もやるし健康相談もいつでも受け付けるぞ!」
今度はなんとも可愛らしいお医者さんが現れた。
「わあ、福利厚生がしっかりしてるんですね!」と感嘆の声を挙げると「ほ、褒められても嬉しくねーぞコノヤロー!」と相好を崩した。

「はー疲れた…っと、新人か。おれは副課長のウソップだ。8000人のお得意先がいるから困ったときはぜひ頼ってくれ」
オフィスに入ってきたウソップ副課長が挨拶をしてくれたところで「嘘つくんじゃねー!」というサンジ先輩の突っ込みが飛んできた。え、嘘?
「***ちゃん誤解しないでくれ、こいつは平社員だ。おれがこいつの部下だと思われるのは心外だ」
「なんだよ!外回りの飛び込み先の狙いを定めているのはおれだぞ!おかげで楽に契約取れてるだろうが!」
「へいへい感謝してますよ」
どうやら仲は普通に良さそうで安心した。

「あら、もう***さんいらしてたのね。私は総務のロビンよ。よろしくね」
この会社、女子力高すぎじゃありませんか…。
ナミ先輩に続いてロビン先輩の美貌に見とれていたら、隣にいたワイルドな男性が突然叫んだ。
「アーウ!さっき***のエントリーシート見てたけどよお!志望動機が熱く書かれていてスーパー泣けるぜ〜!それほどまで我らMUGI companyのことを考えてくれるなんて…!」
えぐえぐ泣き出した姿に呆気に取られていたら、ロビン先輩が代わりに「こちらはビル管理担当のフランキーよ」と教えてくれた。

「はいコレ"写し"ですね。いや…そんな事よりあなたが***さんですか。私はブルックと申します。ヨホホホホ…」
なにやら社員たちに書類をガサッと渡した先輩が私のほうに向き直って笑い声を挙げた。
「ラ…ライバル社の機密情報ーーー!?!?」
ナミ先輩達の叫び声に紛れてブルック先輩は「ところでパンツ見せてもらってよろしいですか?」と訊いてきた。
セクハラ!?機密情報入手!?この会社、突っ込みどころが多すぎるよ…!

どうやら社員はこれで全員らしく、ルフィ課長がみんなを注目させた。
「お前ら***をよろしくな!今日の夜は歓迎会やっていいよな、ナミ?」
ナミ先輩は「もちろんよ。歓迎会の経費はちゃんと用意してあるわ」とあっさりOKしてくれた。
すかさずサンジ先輩が「じゃあナミさんが用意してくれた経費で材料買ってきます!おれの手料理で***ちゃんを歓迎しようぜ!というわけで午後休もらいま〜す!」と言い終わるや否や外へ猛ダッシュしていった。

「サンジの手料理だー!」「テーブルを並べておきましょうか」と再び騒がしくなるオフィス。
毎日なにが起きるか分からない新生活が始まりました。


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