「夏ですねぇ」
「なんだ突然」
「そういう回なのです」
「よく分からんが、回した仕事は出来てるんだろうな?」
「ふふ。できているからおしゃべりをしているんじゃないですかぁ」
「その無駄口を減らせば、もっと効率上がるんじゃないか」
「しゃべれない燐子ちゃんなんて魅力が半減ですよ」
「俺の苦労も半減する」
「酷いことをおっしゃる」
「正当な評価だよ」
「ミッドナイト先生、聞いてました?今の。酷いんですよ先生が」
「駄目よ相澤くん。女の子の心は繊細なんだから」
「ほらあ」
「何がほらあだ」
「いたたたたたた。……まったく。先生は気に入らないことがあるとすぐに捕縛する」
「癇癪持ちみたいに言うな」
「先生は捕縛趣味」
「どっちかと言うと、それはこの人だろ」
「ちょっと。それは偏見ってものよ。人をコスチュームで判断するのは良くないわ」
「人となりがデザインに出るのがコスチュームでしょう」
「それは一理あるけどね。でも私は緊縛そのものよりも嫌がって喚く相手を屈服させることに重きを置いているから」
「ヒュー!ミッドナイト先生カッコいい!ヒーローの鑑!」
「ヒーローの鑑ではないだろ……」
「先生は否定ばかりする。悲しい」
「あらあら」
「お前がおかしなことばかり言うからだろうが。朝から晩まで毎日、ペラペラペラペラ。よくそんなにも口が回るな。何だ?お前は。実はおしゃべりの個性か?」
「わたしがおしゃべりの個性なら、先生は惰眠の個性ですね」
「そんな個性になってみたいもんだな」
「やめてくださいよ。そんな個性になっちゃったら、今でさえ暇さえあれば寝ようとしているのに、こうしてわたしと楽しくおしゃべりできないじゃないですか」
「そんな個性に、なってみたいもんだな」
「しみじみ言わないでください!」
「婉曲な言い回しが逆に効いているのね」
「十代の少女の心は、繊細なんです!ガラスのハートですよ!?」
「そんな十代の少女がどこにいるんだ」
「先生の!目の前に!胸を抑えているそう、轟燐子です!」
「元気そうだから、違うな」
「その決めつけがのちに悲劇を生むんですよ。教育現場にはよくある話です」
「どの立場からの発言だ」
「あっ先生いいなーそれ。ゼリー飲料。今日もお昼それですか?」
「そうだが、急になんだ」
「最近暑くなってきましたからねぇ。冷え冷え飲料がうらやましいんですよぅ」
「……冷蔵庫にいくつかいれてある。欲しいなら飲め」
「えっいいんですか?自販機へ行けとか言わないんですか?」
「行きたいなら行けばいい」
「えっ行きませんけど。もらっちゃっていいんですか?本当に?」
「まあ、無給で働いてる分の駄賃とでも思え」
「キュン…………」
「気色悪い効果音を出すな」
「吹出くんの個性だったらどんな具現物出るかなぁ」
「何だ。仲良いのか」
「特別よくはないですけど。ポニーちゃんが吹出くんと仲いいし〜」
「B組と付き合いある奴がいたとはな」
「えぇ?まぁ一部ちょっとA組に対してアレな人はいますけど……。ケンドーちゃんとかよく暴漢からA組を守ってくれますからね。手刀で。話くらいは普通にしますよ〜」
「暴漢」
「B組全体の約5%を占める割合の、アレです」
「お前も人を嫌うことがあるんだな」
「いやいや、アレはアレで希少な人種というか何というか。色々とあけすけなアレで、あの奇行もB組のことを慮ってのアレなので」
「爆豪にしてるみたいに煽ってんじゃないだろうな?」
「バクゴーくん?バクゴーくんはお友達ですよ?煽ったりするわけないじゃないですかぁ」
「…………」
「何故無言で目頭を揉むのか。疲れ目?疲れ目ですか?」
「色々と、疲れることが多い」
「それはいけませんね。疲れには休養。特に目にくる疲れには温めましょう疲れ目を!」
「何だそれ」
「アイマスクです。温めて使うんですけど、中に小豆が入っていて、適度な重みが目にフィットするし、血行とかも促進してくれるらしいんですよ。温めますから、五分くらい乗せてみてください」
「……温いな」
「気持ちいいでしょう。たたらちゃんの力作ですよ」
「誰だそれは?」
「サポート科の女の子です。あと、コンテンツは経営科の日立ちゃんが考えてくれました」
「人脈づくりでもしてるのか」
「合縁奇縁。めぐり合わせの妙ですよ。ヒバリちゃんともそんな感じですね」
「……だとしたら」
「はい?」
「…………いや、何でもない」
「変な先生。……あれ?先生?おーい」
「あら。相澤くん寝ちゃったの?」
「……寝顔が見れないのが難点ですね。改良してもらおう」

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