「もっとマトモなコスチュームにする気はないのか」
開口一番、そう呟いたのは相澤消太三十歳。雄英高校ヒーロー科一年A組の担任教師だ。抹消ヒーロー《イレイザーヘッド》として活動する傍ら教師業、いや拘束時間で言えば逆か。教師業の傍らでヒーロー活動もこなす同僚の物言いが直球で変わらんねコイツと思う。多感で繊細な年頃の少年少女を相手にする時も俺に冷たい一瞥をくれる時も病める時も健やかなる時も表情と声のトーンは変わらない。何せ過去の通算除籍指導回数は雄英でぶっちぎりトップの百五十四回。除籍だぜ?除籍って、教師が持つ最高位の権限。最後の手段。秘密兵器といって差し支えないモンで、それをこの両手の指にも満たない年月の間に百を超えるって!去年の一年なんか見るも無残語るも無残な除籍劇だった……。
「まともなコスチュームとは?」
消太の言葉にも態度にも笑顔を崩さない鉄壁の心で対峙するのは奴の教え子、A組の轟燐子だ。人目を惹くド派手な容姿と、子供らしさを全面に押し出した性格が売りのヒーローの卵。
「そして、まともじゃないコスチュームとは?」
「その、ヒラヒラしたやつのことだよ」
「かわいいでしょう?」白くてフワフワした生地のワンピース。確かにキュートで雑誌にでも載ってそうな服だが動き辛そうだ。恐らく誰もがそう思っている。
「その靴も」
「乙女の味方、ハイヒールです。七センチ最強説を推しますよわたしは」ヒールに関しては攻撃力が高そうではある。が、轟お得意のアクロバットな足技を繰り広げるにはヒールは不安定で動き辛いし一歩間違えれば自損事故にも繋がる。これも、誰もがそう思っている。
「動き辛いだろうが」
「動き辛いですけど」
動き辛いのかよ!と思わず俺までツッコんでしまった。
本人もそう感じているのなら、何故そんな恰好を続けるのか。
「でも、スカートの方がかわいいじゃないですか」
話が通じないことがしばしば。
ああ、消太が溜息吐いちまった。
「わたし髪が赤いので、やっぱり白か黒が最強に映えますよね。少しばかりお転婆なところがありますが、でも年頃の女の子なので脚の細見えと足長見えの裾丈とヒールは欠かせません」
「私服でやれ」
「あっでも個性を使うたびに焼け落ちたりしないように、特殊素材を使用したワンピです」
「それでただのペラッペラな布だったら、とっくに除籍にしてる」
「わぁ!ニアミスですねニアミス。危ないところだった」
今も結構危ないところに立ってると思うのは俺だけか?
「うふふ。男性方はご存じないかもしれませんが、女の子は衣服によって無限のパワーが引き出されるようになっているのですよ」形のいい目をくっと細め、楽しそうに笑う姿にこれは折れないと諦めたらしい。再び大きく息を吐くと米神を揉む。
「勿体無い」

運動場γ。
建造物が複雑に入り組み工業地帯を模した訓練施設。建物の多くは鉄骨や鋼製の金物を使用しているだろうし、実際に稼働してはいないものの機械やガス等の危険物を扱う場所でもあるから、轟妹の炎の個性とは相性が悪いだろうが、オールマイト主催の救救助訓練レースでは身体能力を駆使し大健闘だったらしい。それも、明らかに他の生徒よりも動き辛そうな恰好をした上で。特にハイヒールなんかは気が狂ってるとしか思えない。しかも七センチ。轟妹が異様にリスペクトしているミッドナイトだって履物に関しちゃ似たようなモンだが、アレだって別に大立ち回りをするワケじゃないからこそ出来る格好だ。
「はい三分経ちました。休憩は終わりです。いってきまーす!」
くるっと身を翻して、あっという間に駆けていく轟妹の背中を見送った後、くたびれた様子で入口前に戻って来た。俺を目に入れると、ゲッという表情を作る。
「よぅ、イレイザー!」
「何でいるんだお前」
「手が空いたから、様子見に来てやったんだYO!!」
「また五月蠅いのを相手に……」失礼な男だった。
「生徒一人に時間かけるお前は珍しいからなァ」
「一度受け入れたからにはな」と流すが、俺は流されないナイスガイな男。コイツが結構面倒見がいいヤツだってのも当然知っている。
「職場体験の説明通りだ。興味がなくなれば切り捨てる。それまでは、所謂サイドキック候補だよ」
サイドキック!
馴れ合いを好まない一匹狼がそう言うのか!
お座敷前に設置された巨大モニターには相変わらずの超スピードで移動していく轟妹が映っている。走駆、跳躍、回転、登頂。よくもまぁあの体躯であんな動きができるモンだ。演習の映像は俺もたまに覗くが、轟兄とは全く違う身体の使い方をする。多分俺が地面を全速力で走っても追いつけないだろう。元々得意でも何でもないが。
「お前、アレより速く動ける?」
「どうだかな。無駄な動きも多いが、軽さと速さ、あとバランスとるのが妙に上手い」
「雑技団かな?」
宙返りしながら跳躍し、着地する姿がタイミングよく映る。
一瞬も立ち止まることなく、勢いを殺さないまま、むしろ加速して次の建物へ移動していく。
「あと判断力な。躊躇しねーし、この間まで中学生だった子供とは思えんね俺は」
「お前朝飴やってなかったか」
「時と場合によるさ!タイムイズマネー!」
「精神年齢はお前、同学年ぐらいだな」
「ワッドゥユミーン!?」
建物から建物へ。
段差や凹凸を使用し、純粋な身体能力だけではない重力や遠心力なんかをうまく利用している。
障害物としての建物が、そのまま足場としてうまく利用されている。
恐らくはこういったトレーニングが反射神経や回避能力の高さに繋がっているのだろう。生まれ持った個性を利用して、それに近い動きを習得する生徒は他にもいるが――
「パルクールって、中学生が独学で習得できるモンじゃないダロ」
特殊工作員でも目指してんのかねぇ。
「中学の時に敵絡んでるからなアイツは」
色々と思うところがあったんだろう、と消太。
「あー。同級生の親がマフィアで摘発に一役買ったってアレな」思い出すのは、記憶の片隅にあった轟妹の情報。
入試テストそのものはつつがなく通過していたらしく(俺がいた会場とは別だった)特に話題に上ることもなかったが、クラス振り分けの時に議題に上がってたっけか。呼吸を乱す様子もなく、流れるように身一つで高所を跳躍していく。壁へ跳躍して足場に、宙返りしながら着地をする。方向転換までやってのける。
「どういう心境なンかね。轟妹も雲隠も」
「さぁな。仲は良いらしいが」
「女は怖いモンだぜ消太君。特に可愛い女と可愛い女が一旦敵対しちまうと、それはもう恐ろしい泥沼、いや骨肉の争いに」
「芸能界で何を見てきたんだよ」
せんせー見てますかぁ?とでも聞こえてきそうなモニター目線とカメラポーズ。
非常にサマになっている。どこぞのアイドルみたいだ。
「手こずってんじゃんイレイザーよ!」
「……三時間追加だな」
「エ」
恐ろしく低い声だった。

「あ!マイク先生だぁ」
訓練帰りだろう、轟妹と廊下でバッタリ会った。夏が近づくにつれ日はかなり長くなったというのに、外はすっかり暗くなってしまっている。
「よォ、轟リスナー!お勤めご苦労さん!」
「えぇ〜?いやぁ先生方の激務に比べたら!まだまだですよ!授業と訓練しかしてないし」
あっけらかんと返す様子に疲れが見えない。本当に三時間動き回っていただろうに。体力は充分バケモンレベルだな……。
さすがに夜。時間を確認するともう八時半を過ぎている。制服に着替え直しているところを見るに、もう帰宅(というか下校)するのだろう。職場体験以降、日中演習アリの授業受けて、放課後から夜も半ばまでイレイザー及び教員の手伝いや訓練を週六で行っている轟妹。
「そんなファイターのリスナーには『体力オバケ』の称号をプレゼントだ!」
「やったー!」
「マジ元気だな……どっから来んの?その元気」
「逆にマイク先生はお疲れのご様子」
「そりゃあな〜夜だぜ夜。三十路にはクるのよ労働がさァ」
「そうですか……それはお気の毒に……」
憐れまれてしまった!
グサリと心臓に突き刺さる何かに気付かなかったフリをして道中を共にする。
「毎日こんなに遅いん?」
「いぃえぇ〜。いつもはもう十五分ほど早いんですよ〜」
「十五分」
「ガンマくんで特訓してたんですけど、あまりに楽しかったんでつい。ハイになっちゃって」
「ハイに」あんな動き回っててハイになれるらしい。
「決してふざけているわけではないんですけどねぇ……ザワ先生は少しおカタいところがあります」
「アイツにそんなこと言える生徒はリスナーくらいだゼ」
「いやいやそれほどでも」
褒めたワケじゃないんだがな。
と肩をすくめたのが、つい先週の話だ。


「失礼しまーす!轟です!先生、轟燐子が来ましたよ!」
「叫ばなくても聞こえる」
「休み時間にお呼び出しとは珍しい。何かご用ですか?疲れ目ですか?肩こりですか?寝不足ですか?わたしでよければ、枕になりますよ!」
「コレだ。期限は今日中。書いて提出しろ」
「なんですか?これ」
「レポートだ」
「レポート!!!」大絶叫が、職員室中に響き渡る。
受け持っている授業を終えてちょうど職員室へ戻って来たところだった。最近はもう朝夕と入り浸っている轟妹と、その担任で同期の相澤・イレイザーヘッド・消太のやりとりを見やる。「あら。おかえり山田」ミッドナイトの出迎えを受けて着席してからも首は向こうを向いたままだ。理由は簡単。とても、気になる。
「レポートって、一体何の!?しかも今日中!?」
「授業参観のレポートだ。昨日の実習内に起きた事件とヒーロー候補生二十名の人質救出に向けた挙動……その考察・問題点・解決法を具体的に示せ。五千字以上だ」
「それ、昨日渡されましたけど?そして朝HRで提出しましたけど……字数制限ありましたっけ?あと反省点書けって話でしたよね?」
「書き直しだ」
「書き直し!?」
オヤオヤ珍しい、轟妹が劣勢だ。ミッドナイトもセメントスも何だろうという表情でなりゆきを見守っている。
「当然だろう。適当ばっか書きやがって」
「えぇ〜?ちゃんとマジメに書きましたよぅ」
「どこが真面目だ。お前参加してなかっただろうが。何当事者目線で語ってんだ」
授業参観と言えばアレだ。この前、ここでもその内容で随分と盛り上がった、敵事件を模した演習のことか。職業柄、自分の個性は悪事に利用する目的で話し合ったことなんかなかったから、新鮮で面白かった。昨日のその演習に、参加しなかったとはどういうことだ?具合でも悪かったのか。風邪だって裸足で逃げ出すような元気っ子の轟妹が?話の内容を気にしてる連中と、顔を見合わせる。
「書き直し。提出期限を延ばすから、内容と字数は追加だ」
「えー……注文が多い」
「授業をサボったツケだと思え」
「わかりましたぁ〜今度からは、芝居だって気づいた時点でみんなに言って、授業を白けさせることにしますぅ」
あぁ何だ気付いて静観してたのか。「確かにそういうコトあの子気付きそうよねェ」ミッドナイトが溜息交じりに零す。いやアンタもそういうカン鋭そうだけど。不満げな轟妹は消太から渡された原稿用紙の束をウンザリとした表情で見下ろす。メッチャ嫌そうな顔だ。珍しい。消太は嫌味の入った言葉をスルーして轟妹からPCへ向き直った。もう用はないと言わんばかりの所作だ。そんな対応をするモンだから、すっかり機嫌を損ねたらしい。頬をプクッと膨らませた。
「わたしにも気づかれたくないなら、今後は八木先生に敵役なんかさせないことですねっ。人選ミスにも程があります!まだパワロダ先生が喋ってた方が臨場感ありますよ!」
「あら。そんなにベタ踏んでたの彼?」横からミッドナイトが口を挟む。お気に入りのリスナーにちょっかいを出したくなったのだろう。それより俺は、今オールマイトがいないことに大いに安堵してるトコなんだが……。不動の人気No.1ヒーローが、こんな少女に、随分な言われようだ。
「ベタもベタベタですよ。茶番に茶番を重ねた茶番ですよ。わたしはずっと、吹き出しそうになるのをこらえていて、忙しかったんです!」
「ん〜……まァ根っからの善人だからねあの人も」
「敵意も殺気もなく人を騙そうなんて、なめられたものです。人質だってちゃんと演技してたけど、本気で怯えてるようには見えませんでしたし。相澤先生の指導力の賜物ですね!」
まぁ感動の再会シーンだけは、ウルッと来ましたよ。わたし涙もろいんです!そこまでを元気よく言い切ったところで、予鈴が鳴って轟妹は教室へ戻っていった。途中からすっかり無視をキメ込んでキーボードを叩いていた消太が、大きく息を吐いた。
「ったく……わめくだけわめいて帰りやがって」
「提出期限が明日だったら、もうちょっと素直だったんじゃない?」心にもないことを言うミッドナイトだった。楽しそうだ。Sッ気たっぷりの顔で言われても、消太はマゾではないので横目で見ても肩をすくめるだけだ。
「他の生徒は全員騙せたんダロ?スゲー洞察力だな」
「保護者がまとめられた檻見つけた段階で集団から後ろに逸れて、クラスメイトが犯人の声明を聞いてる時にはもう隠れてた俺を探しにかかってた」
「WOW!!」
「教師泣かせねぇ……いけない子」
「BUT!アイツらしいような気もするなァ」
「敵意だの殺気だの……アレが、十五やそこらの子供が言うことですよ。かと思えばガキくささ全開で拗ねるわ膨れるわ、面倒臭い代表みたいなヤツだ」
「あら、かわいいじゃない。それに何だかんだ、あなたに懐いてるわよ彼女」
「……USJ襲撃後の救助訓練では大人しくしてたモンですが、さっきの言いようだとあっちも気付いてるんでしょうね。厄介この上ない」眉間に深いシワを刻み込んだまま、そう告げる消太の様子を眺める。コイツのクラスの生徒、随分とアクの強いのが揃ってるからなぁ……。しょっちゅう自分の身体を破壊するクレイジーパワーボーイ緑谷に、導火線が極端に短い爆豪、あのおっかないNo.2ヒーローの期待を背負う轟焦凍に、エロに忠実な下僕の峰田。あと性格上消太と噛み合いそうにない元気な奴らが数人。それに今の轟燐子だ。轟妹に関しては、座学・実技の成績や生活態度とは違う部分で悩まされていることが多いように思う。子供らしい無邪気と冷酷が同居してるようなヤツだ。教師としてはやり辛いだろう。
「消太クンの面倒見の良さが発揮されるゼ!」
「人の性格を捏造すんな」
「イデッ」拳を入れられた。おーコワ。これ以上かまうと本格的な攻撃が待っていそうなのでとりあえず自分のデスクへ戻ることにする。ミッドナイトもやれやれと肩をすくめていた。本当にやれやれだ。設備確認から戻って来た13号がただならない消太の様子にビクッとしていた。セメントスが淹れてくれたジャパニーズティーをいただく。若干まったりした空気が出てきたものの、険しい表情でガリガリと何かを書き連ねている隣の様子は変わらない。授業参観も終わっていよいよ、期末試験が近くなってきた。担任クラスをもっている消太やブラキンは準備が大変そうだなァと思いました。俺もそろそろ問題作らないとな。

昼休みが開始して五分。
「はい先生、レポートです」
今日も今日とて味気のないゼリー飲料を胃に流し込むという全く食事になっていない食事をとりながらPCと向き合っていた消太のところにやってきた轟・イモウト・燐子。末尾にハートマークが付いていそうなくらいキラキラした笑顔で差し出しているのは、午前中消太が押し付けていた原稿用紙の束だ。端の方をクリップで留められている。アレ、あんなに枚数あったっけ?
「…………」無言で受け取ってからパラパラと捲っていく消太。
「どうですか先生。お望みのレポートですよ」
「……何枚あるんだコレ」
「五十一枚ですね」
「一枚五百字だろ」
「五百字詰めって書いていますね」
「俺が渡したのは十一枚だ」
「保健室でPCを借りて、追加の原稿用紙を印刷しました」
「五千字でいいと言っただろう」
「五千字以上でとおっしゃいましたね」
「…………」
「上から見ても下から見ても相澤先生お望みのレポートですよ。どうぞご査収ください」
五百字×五十一枚、イコールおおよそ二万五千字余り。ウワァやっぱり拗ねてる!時間は有限と豪語する消太の時間を全力で消費しにかかってきたな。消太の嫌がりそうなところを、ルール内で突いてくる。コレは嫌な生徒だ。嫌がらせだ。遠回しな報復とも言える。そしてそれを隙のない笑顔でやってのけるところがコワイ。ゲ、こっち向いた!
「マイク先生、わたしの顔に何かついてます?」
「ノー!ナッシング!!」
「ふふ。ではわたしはこれで」にこやかに。かつ静かに去っていく背中を見送る。完全に見えなくなってから、大きくため息を吐く親友の肩にそっと手を乗せた。
「アレと毎日向き合ってんのね……。オツカレさん」
もちろん、すぐに払われた。

「あ!マイク先生こんにちは〜」
放課後。
体操服の轟妹に廊下で遭遇した。その隣には消太が立っている。オヤ、オヤ。
「何だリスナー、和解したのかィ」
「ふふ。お昼休み、ああいうカオが見れたのでひとまず留飲は下がったというところでしょうか」
「ドSだなァオイ!」
「それに今日は訓練を多めにしてくださるそうで」
「OK.OK.賄賂ってヤツね」
「そうそう。示談というやつです」
「人聞き悪すぎるだろ」ツッコミが入るが気にしない。
「ほら、そのうち期末試験があるじゃないですか。さすがに準備期間ほかは職員室に足しげく通うというのもまずいですしね。先生が相手をしてくれている今のうちに、対人の戦闘経験を積んでおきたくて」
「ヘ〜。意外とマジメなのね」
「心外!わたしのまじめは年中無休ですよ?」
「親友の不始末は俺の不始末、ってコトで、俺も参加してやりたいトコなんだがなァ」
「不始末ではないだろ」茶々が入るが気にしない。
「多忙なスケジュールが憎い!」
「それは残念。マイク先生やミッナイ先生とは恐らく相性が悪いので、経験値的な意味合いでは是非ともお手合わせ願いたいところなのですが」
「プロヒーローの時間ってのは安くねェのさ、ドMガール」
「ふふ。ではじきに、買えるようにしておきますよ」なんとも意味深な言葉を遺して消太と共に通り過ぎて行った。実際に手合わせしたことはないが、消太との訓練をこの目で確認している。女子には珍しい、バリバリの近距離格闘タイプだ。個性使ったトコはあんまり見かけないが、炎熱の個性である以上、遠距離にも対応できるハズ。正直あんまりやり合いたくはないタイプだ。教師相手にはまず手加減なんかしないだろう轟妹と手合わせなんざしてみようモンなら、ナイスガイな俺の尊厳にかかわる。
「Ah――……問題作ろう」
ああ忙しい忙しい。

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