片思い厨と相互愛至上主義[1/2]
俺は、片思いを愛している。
寂しい奴だと罵る人間もいることだろう。
だが俺の気持ちは揺らぐことはない。
なぜならと説明すれば結局全ては愛に通じる。
陳腐で胡散臭い言葉に頼るが、俺が片思いへ向ける愛は『真実の愛』としか形容出来ないのだ。
まあ愛は一つしか存在しないし、愛には定形がないのだから形容なんて表現は間違えているのだけれども。

俺は、真剣に片思いを愛している。
人を愛したところで、幸せになれるとは限らない。
どちらかが死んでしまうかもしれないし、その時、相手を愛していれば一生悲しみに囚われ苦しむことになる。
だけど片思いは俺を独りにはしない。
俺が愛を注ぐ分だけ片思いは俺に幸福をくれる。
素晴らしいことだ。だからこそ愛してやまない。

俺は、真摯に片思いを愛している。
片思いを愛する日々は幸せだ。
けれど俺は今片思いを愛していない。
つまり不幸せだ。幸せになりたい。だが今は幸せになれない。
片思いを愛するためには片思いをしなければいけないから。
誰かしら相手を定めて片思いに注ぐ愛を詰め込むのだ。
そうすることで俺は片思いを愛することができ、幸せになれる。

俺は、どこまでも片思いを愛している。
俺は、いつまでも片思いを愛している。
俺は、________。





「相席、大丈夫ですか?」

思考の坩堝に終止符を打たれ顔を上げる。
不幸せな俺は、愛に飢えた俺は、無意識にも願望を吐き出した。

「片思いさせてくれるならどうぞ」





next
back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -