片思い厨と相互愛至上主義[2/2]
愛しているから愛されたい。
当たり前の欲求だ。
別に、街中で見かけるカップルのように人目を憚らずにイチャつきたいというわけではない。
そもそも、自分が相手を愛していて相手が自分を愛しているという事実が存在していればそれだけでいいのだ。

肉欲性欲に愛という感情を繋げ、体を繋ぎ合わせることも愛の表現として正しい方法の一つだろう。
だがそんなものはどうでもいい。
愛されている事実を感じられれば、どうでもいいのだ。
だって俺は愛されて、愛したいだけなのだから。

愛される分だけ愛したい。愛した分だけ愛されたい。
異常な思考ではないだろう。
俺はただ平等に、差分なく愛し合いたいだけなのだから。

だが、今までの恋人達はこんな俺を重いと、時には狂っていると罵倒した。
告白してきたのは全て相手からだったというのに。
愛されたから愛した。
これの何が悪かったというのか理解に困る。




先日別れ話を持ちかけてきた元恋人の奇行を思い出しては息を漏らした。
食堂内の人の群れをかきわけ、空席を探す。
しかし昼時である今、望む空席はそうそう見つからない。
お盆に乗せた昼食を手に舌打ちをつき、ふと、二人席を一人で占領する男に目がいった。
午後の講義の時間を考えれば、そろそろ妥協も必要だろう。

「相席、大丈夫ですか?」

なるべく人当たり良く見せようと愛想笑いを貼り付ける。

「片思いさせてくれるならどうぞ」

yesでもnoでもなく投げかけられた返答は、俺に向けられていたがどこか俺を反映していないように感じた。
一瞬、頭に空白が過ぎる。
言葉を発した相手は、何故か慌てていた。
失言だ。忘れろ。取り消してくれ。
訴えを無視し、俺は席についた。

「構いませんよ」





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