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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.30 Re Light 新曲披露の話(3/4)
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キィの家族構成

それからリライトが帰ってくるのを休憩しながら、ただ待つばかりの3人。
アズは席を離れてトイレに。
キィは楽屋に用意されていたお菓子をつまんで、志摩と2人でお喋りをする。

「えっ!じゃあキィちゃんって末っ子なんだ?」

「うん、そうだよ。兄様が二人いて僕は一番下なんだ〜。」

そんな会話の中で知ったキィの家族構成。
父親に母親にお兄さんが2人いて、自分は末っ子だと教えてもらう。
クロスカルテット内では最長年の彼が、家庭だと最年少。
それはちょっと不思議な感覚を覚えるフレーズで、凄く新鮮。

「兄貴から聞いたけど、確かキィちゃんのお母さんってエステ務めてるんだっけ?」

「うん、そうそう。一番上の兄様がその後を継ぐから修行も兼ねて兄様にマッサージしてもらってるんだ。兄様の指使い気持ちよくて僕大好きなんだよね。」

そして家族の話をするキィの目は凄くキラキラしていて、その表情から両親も兄弟も大好きなことが凄く伝わってきた。



キィがリーダーじゃない理由

クロスカルテットでは最長年のキィ。
その時、ふと疑問を抱いた志摩。

「あのさ、キィちゃん。こういうこと訊くのアレかもしれないんだけど、さ。」

「ん?」

「キィちゃんってリーダーやりたかった節ある?」

どのグループも大抵、一番年上がリーダーを務めている印象があるが、クロスカルテットはそうじゃない。
キィはリーダーではなく、エーチがリーダー。
そのことが志摩の中でも気になっていて、キィの口からアッサリとした答えが返ってくる。

「ないよ。全然ない。」

「あ、ないんだ?」

「うん。最初の最初はそう言う話あったけど僕が嫌がったから。だから次の年長者のエッチがリーダーになったんだよ。」

「へぇ、なるほどねー。」

そして一緒に語ってくれたクロスカルテットの浅い歴史。
リーダーがキィじゃなくてエーチなのには、そういう理由があったと教えてもらった。

「僕、かたっくるしいのあんまり好きじゃなくて。そういうの向いてないんだよね。」

「な、なるほど。」



ほんの少しの出来事

一方その頃、トイレに向かっていたアズ。
トイレぐらい1人で大丈夫なので志摩の付き添いを断り、その言葉通りに1人でいた。

「ふう・・・。」

それはほんの少しの時間。
けどそのほんの少しがいつだって色んな事を引き起こす。
用を済ませたアズがキィたちの元へ戻ろうと、廊下の曲がり角を通ったその時、

「わっ!?」

「おっ・・・と!?」

ちょうど向こうからやって来ていた誰かと鉢合わせ。
アズも相手も互いに気づいた時にはもう遅くて、そのままぶつかってお互いその場に転げてしまう。



ぶつかった2人

「いたたたた。」

「痛・・・っ!どこ見て歩いてんだよ!このスタジオの廊下、狭いんだから気をつけろよな。」

アズとぶつかった相手と言うのは、見知らない男の子。
チェリーストーンの事務所内でも会ったことがなく、全くもって初対面。
2人がぶつかったのは互いの注意不足だというのに、その男の子はぶつかって得た痛みさえアズのせいに押し付ける。

「ご、ごめんなさい・・・っ!」

その時、だった。

「ん!?お前ひょっとして『あずさ』?『にしの あずさ』か?」

初対面のはずのその男の子は、アズのことを知っていたのか。
アズの顔を見た途端、ハッとした表情でアズの本名をズバリと当てた。
けれどアズ当人は彼が誰なのか分からない。
なので、

「え、だれ???」

率直に素直に、そう返してしまった。



ぶつかった2人+1

彼はアズを知っているようだけれど、アズは知らないその男の子。

「ふぅーん。お前・・・、オレのこと覚えてないんだ。」

アズが放った言葉でその事実が分かった途端、彼は機嫌を悪くしたのか。
明らかに不機嫌そうな色に顔を染める。

「まあいっか。なんでお前がここにいるのか知らないけど、オレもお前には眼中ないし興味もない。『Black Radish』にオレがいる以上、お前のことなんてオレには関係ないし!」

「ぶらっく・・・らでぃっしゅ???」

するとまたその時、

「『ナギ』、どうかしたの?」

「あ!敦(あつし)さん!」

2人がぶつかった現場に、もう1人の男性がやってきた。
その人はアズやぶつかった男の子よりも、はるかに年上で大人の男。人柄も声色も凄く落ち着いていて、シックでダンディな魅力の雰囲気を醸し出す。

「聞いてよ敦さん!コイツがオレにぶつかってきたんだ。叱ってよ、コイツのこと!」

「え!?そ、それはなんて言うかー・・・、キミも大丈夫かい?ごめんよ、ナギがよそ見してたせいでぶつけられちゃって。」

そしてその男の人は男の子に言われた言葉を全部鵜呑みせず、その一言によって状況を把握し、叱る代わりに頭を下げて謝った。



ナギと敦さん

「よいしょっと。良かった、キミもナギも怪我ないみたいで。」

「ありがとうございます・・・。」

「まったく。敦さんは優しすぎるんだよ。コイツにまで手を貸す必要ないじゃん。」

「まあまあ。」

男の人『敦さん』に手を貸させられて、ようやく立ち上がった2人。
『ナギ』という男の子は、その『敦さん』がアズにも優しくするから余計に不機嫌に。
でも彼の優しさを全否定しているわけでもないようだ。

「だってこの子、さっきリライトの後ろで踊ってた子の1人だし。他所の事務所の子に迷惑なんてかけられないよ。ナギじゃなくて僕らの事務所に迷惑かけちゃうから。」

「え、リライトの?ふーーーん、なんだコイツ。リライトと一緒にいたってことは、チェリーストーンの奴だったのか。ふーん、ふーん、ふーーーん。」

『敦さん』の発言により、アズのことを改めて知った『ナギ』という男の子。
興味をあるのかないのか。どちらなのか分からない反応を示す。

「まあ弱小事務所に入ったのが運のツキだな。その事務所、売れないと裏に飛ばされるって有名だから。せいぜい裏デビューしないよう頑張ってくれたまえ。」

「ナギの言うことなんて気にしなくていいから。本当、ごめんね。気を悪くさせちゃったらごめんね?」

「いえ・・・。」



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