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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.23 天然サド和風ハーフの話(1/2)
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束の間の平日

ゴールデンウィークの前半が終わり、後半の連休が始まる前に訪れた束の間の平日。
なので今日は普通に学校がある日だから、クロスカルテットもリライトもレッスン・取材等がお休み、オフのようだ。
そしてその日の授業が終わった放課後、

「いらっしゃいデス〜♪お待ちしておりました。」

合宿中に約束した通り、アズがキィと一緒にリライトの片割れ・イブの家へと訪れていたのだった。
保護者として志摩も道連れて・・・。

「えへへ。さっそく来ちゃった。」

「おぉー!ここがイブん家なんだ!」

「YES!祖父の家でお世話になってマース。」

ちなみにイブん家は、和テイストな平屋の一軒家。
上ではなく横に広いお屋敷で、一目見ただけで『コイツんち金持ち』っていうのが伝わるほどの高級感。

(大丈夫だよね?これ。入っていきなり怖い人たちが待ち構えてるとか、そんなドッキリあったりしないよね?これ。)

そこから色んな意味を込めた偏見が恐怖心まで誘うのも無理ないだろう・・・。
キィを洋で例えるなら、イブは完全に和だった。



天然サド

遊びに来たアズ、キィ、志摩を出迎えるイブ。
それは私服なのか、なんなのか。ハーフの彼の魅力も惹き立てるほどの素敵な着物姿をしており、長い髪も一つに束ねていてお洒落な格好をしていた。

「シマチャンもいらっしゃいデ〜ス。」

「ごめんね、突然お邪魔しちゃって。真昼さんも今日休みだから代わりに俺が二人の送り迎え頼まれて。」

「No、problem。シマチャンも一緒にお茶イタシマショ。」

日本人より日本人をしたがるハーフのイブは口調が所々、カタコトで発音に違和感が生じるけど、言葉はそのまま日本語で通じているので会話に問題はない。

「シマチャン、お仕事よっぽどヒマなんデスね。」

「う・・・っ!」

だけど冷徹なユウとは違い、こちらは天然モノ。
笑顔で容赦ない棘発言は悪気がない分、タチ悪い・・・。



カッコーン

そうしてさっそく屋敷内に招かれた三人。
奥へ奥へと進んでいき、真新しい畳の匂いがこもる和室へとやって来た。

「準備しますので、少し待っててクダサーイ。」

そう言って、どこかへ行ってしまったイブ。
残された三人はその部屋で彼の帰りを待つことに。

「「「・・・・・・・・・。」」」

カッコーンと何処かから聞こえる鹿威しの音と鳥が囀る鳴き声。それ以外の音は全くって言っていいほど何もなく、静かすぎるこの空間。
おかげでお眠なアズの欠伸は止まり、元気すぎるキィも大人しくしており、明らかにいつもと様子が違っていた。
志摩も無意識に背筋をピーンッと伸ばして正座していたが、この状況に戸惑いが隠せなかった。

(え?え?え???)



遊びに来た目的

(ちょぉ!?カッコーンじゃないよカッコーンじゃ!!)

今日はアズから事前に『いっちゃんのお家でお茶して遊ぶの』と聞いたのに、何?この緊張感。
もっと気楽で気軽なモノだと思っていたのに、自然と肩に力が入り全然リラックスが出来ない緊迫感。

「お待たせデスよ〜♪」

数分後、ようやく戻ってきたイブ。
お茶席に必要な用具を一式を運んできたおかげで、ここはただの和室ではなく茶室だったことに気付かされる。

(待って待って、待て待て待てー!お茶ってそっち!?)

こうして志摩が心の声で一人焦っている中、イブのお茶会が開かれた。



隣の部屋で

イブがお点前として三人の前に座り一人で準備していた中だったが、アズとキィの二人を見てうーんっと考え、ピンッと何かを閃く。

「アズ・キィ、Heyカモ〜ン。こっちいらっしゃい。」

「え?なになに?」

するとそのまま一緒に隣の部屋へ移動して、バタンッと襖を閉める。
そこで何をし始めたのか。

「あッ、だめだめ!そっちはや〜ん!」

「何でいきなり脱がすのー!?」

「YES!YES!YES!その反応、グットデ〜ス!!」

アズとキィとイブがドッタンバッタンと激しく暴れる音と声で、その間だけとても賑やかになる。
志摩は三人がそこで何をしてるのかすごく気になったが、茶席の作法が不安だった為、今のうちのスマホで調べてカンニング。
いくら補佐、保護者、自分はついでだったとしてもこのメンバーの中では彼が一番年上。色んな意味で失敗が許されない・・・。



戻って来た一人と二人

「お待たせデスよ〜♪」

その時間は長かったような短かったような。あっという間に向こうの部屋からイブが帰って来た。
そして彼に続いてアズとキィも戻って来たが、

「もー、着替えて欲しかったならそう言ってよ。流石に着付けぐらい僕一人でも出来るよ。」

「ね。いっちゃんいきなり脱がすんだもん。びっくりしちゃった。」

二人ともお茶席らしい着物姿になっていて、さっきと服装が変わっていたのだ。
それもイブの自前の着物なのか。柄のチョイスがピッタリ似合い過ぎていて、そんな二人を見た志摩は、

(ふおおおおおおおおッッッ!?!?!?)

テンションがハイに急上昇!
熱くなった興奮に踊らされて、せっかく即席で覚えた作法も見事なまでにぶっ飛び、瞬く間に忘れてしまったアホの子になっていた。

(ナイスイブ!グッジョブイブ!めちゃくちゃ撮りたいいいいい!!)



イブのお茶会

そういうわけでこれにて準備が整い完了。
皆が元の位置に戻ったところで、イブのお茶会が開かれる。

「あれ、アズこっち側じゃなくていいの?この並びじゃ僕が正客の位置になるんだけど。」

「ボクこういうの初めてだから・・・。きぃちゃんの見てたくて。」

「そっか。なら僕のを見ててよ。」

「うん。」

こうしてお・も・て・な・しの心で、イブにもてなされる三人。果たして手順通りの作法でお茶を楽しむことが出来るかな?

(どうしよう、どうしよう。せっかく覚えた(カンニングした)作法が思い出せない。これはマズイって!)

約1名が緊張感と緊迫感と忘れてしまった焦りに負けてドキマギとしているが、事は無情に進んでいく。



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