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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.15 志摩とエヴァの二人の話(1/3)
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何事?

この物語の主人公は俺、真島 志摩。
上からでも下からでも『ましましま』。
兄の真島 徹夜と同じ職場“芸能プロダクション チェリーストーン”で働いていたある日のことだった。

「ただいま戻りましー・・・。」

お客様を待ち合わせる席のソファーに向かい合って座る二人。

「あ、お疲れ。志摩くん。」

二人のうち一人は兄貴の徹夜。

「・・・お疲れ様、です。」

そしてもう一人はエヴァ。

「・・・・・・。」

今日は普通に平日。
夕方からいつものレッスンスタジオで稽古があるのに、この時間から一人で事務所に訪れるなんて珍しい。
外回りから事務所に帰って来て早々そんな二人と出くわした俺は、なんだか居た堪れない異様な空気に呑まれてしまう。



何事!?

でもそれは気のせいなんかじゃなかった。
兄貴は俺の顔を見た途端に席を立つ。

「それじゃあ僕は、もう行かないとだから。」

「待って下さい!徹夜さん、まだ話が・・・!」

「ごめんねエヴァ。アリカの仕事で急がないといけないから。・・・話はまた今度聞くから、皆によろしくね。」

エヴァも兄貴と何を話していたのだろう。
珍しく声を強く出して兄貴を呼び止めたのに、アッサリとフラれてしまう。
そして、

「志摩。エヴァのことよろしくね。」

「え。」

兄貴は振り向きもせず背中越しで、そう俺に言葉を残して、そのまま出掛けてしまうのでした。



シークレットサイン

(え!?)

兄貴が俺を呼び捨てた!?
いつだって弟をふざけた呼び方で呼ぶくせに、何でこんな時に限って?

「・・・・・・。」

普段は信頼も信用も出来ないクソ兄貴なのに、この時ばかりは弟ならではの直感が働く。

(まさかエヴァに何か?)

それは気のせいなんかじゃない。
気のせいなんかにしちゃいけない。



エヴァからの差し入れ

とは言え、アズとの仲の件が絡むせいで、俺はきっとクロスカルテットの四人の中で多分いや絶対的に、エヴァと仲良く出来ていない・・・と思う。
大概、俺が一方的にジェラシーを抱くだけ。
エヴァ自身に被害を負わせてるわけじゃないが、このままはやっぱり嫌だ。
兄貴の補佐としても、俺個人的にも仲良くなっていきたい。
エヴァだって悪い子じゃないんだから。

「あの志摩さん。レッスン前なんですけど、志摩さんに差し入れがありまして・・・。」

「ん?え、なに?差し入れ?俺に???」

「はい。よければ夜にでも食べて頂けたらと思いまして。」

エヴァがそう言ってランチクーラーバッグから取り出したのは、可愛らしいお弁当箱。
パカッと蓋を開けると、おにぎりやら玉子焼きやら筑前煮やらが入っていた。

「・・・今、これ食べていい?」

「どうぞ。志摩さんの口に合えばいいんですけど。」

(やばい。エヴァめっちゃいい子すぎて涙出てきた・・・。)



エヴァのお弁当

「なんで主人公なのに脇役にされるんだろうって、すごく思うよ・・・。」

「た、大変ですね。」

グチグチグチグチ。
エヴァから俺ではなく。俺からエヴァに愚痴を聞いてもらう。
この気持ち。切ないのか哀しいのか分からない。
けど誰かに吐かずにはいられなかった。
まあ、そんなことはさておき。
エヴァが作ってくれたお弁当を玉子焼きから食す。

「ん!んまいっ!」

「・・・甘すぎたりしてないですか?」

「いや、そんなことないよ。俺、玉子焼き甘い方が好きだし。」

ちょうどいい甘さ加減にダシがしっかりきいていて、自分が一番好きな味にベストマッチ。
次々に箸が進んでいき、おにぎりも筑前煮も漬物も全てが優しい味付けだった。



エヴァのお弁当 2

エーチからエヴァの料理は美味いと聞いていたが、確かにこれは凄く美味い!
こんな機会だけど、エヴァの料理を食べさせてもらえて、なんだか得した気分。

「・・・よかった。」

「ん?」

そんな俺の反応を見て、安心する息を吐いたエヴァ。

「前に俺、志摩さんに苦手な食べ物知らないで出してしまったので。」

「あー、そういえば。・・・って、あれはあれでビックリするぐらい美味しく食べれたから、そこまで気にすることじゃないよ?」

「でも今日はそのお詫びも兼ねていたので。今度こそ志摩さんに美味しく食べてもらえたようで本当によかったです。」

「・・・ッ!」

このお弁当に、まさかそこまでの思いが込められていたなんて・・・。
それを気付いた頃に胸がキュンと鳴り、自分がエヴァに抱いたジェラシーな思いを大いに反省する俺だった。

(やばい。エヴァがめちゃくちゃいい子すぎて涙出てきた・・・!)



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