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サンフラワーへようこそ同じアパートに住む大学生たちのお話
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EP.3 ユーキとユーヤの梅雨季節(1/3)
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雨が続く季節 | 雨が続く雨の季節。
「あぁ・・・。雨降ってきちゃった。」
せっかく少し時間ができた日曜日だっていうのに、雨天の天気にユーキはガクッと肩を落とす。
「え。なに?どったの?」
「あ、いえ。買い物に行こうって思っていたら雨が・・・。」
「ユーキ、雨苦手なの?」
一緒にいたユーヤがピンと勘を鋭くさせて、その理由をどんぴしゃりと当てる。
「車が跳ねた泥水を、頭から被ったことがあるからとか?」
「なんでわかったんですか!?」
「なんとなく。」
「もうそれだけは本当に二度と遭いたくないんですよ!それだけは本当に凄く最悪で!」
そんなわけで雨のお出かけに気が進まないのでした。
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課題専念中の生活 | 「ちなみにドコに出掛けようとしてたの?」
「100円ショップです。部屋の鍵に鈴が付いたキーホルダー的な物をいい加減、付けておきたくて。」
「ほぅ?」
親の仕送り頼りで生活するユーキにとって、不必要な出費は最低限の最低限内で抑えたい。 だから雑貨屋や小物屋の専門店ではなく、100円ショップに出掛けようとしていた。
「ならちょうどいいのあるから、よかったら使ってよ。」
「え?」
「鈴的なもの持ってくるから、ちょっと待ってて。」
のだが、まさかのユーヤからお恵みが。 その話を聞いて何かを思い出し、自分の部屋へと一度戻り、再びユーキの部屋に戻ってくる。
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ボロボロの鈴 | 「ユーキの鍵貸して貸して。付けてあげるから貸して。」
そう言ってユーキの鍵に紐で結んで付けられた鈴。 それはユーキご希望通りのチリンチリンと鳴る鈴のキーホルダー的な何かになったが、
「よし。出来た♪」
「・・・・・・え?」
新品とはお世辞にも言えないユーヤが持ってきた鈴。 金属が錆びてて汚らしく、どっからどう見てもボ〜ロボロ。 それを付けたユーヤは満足そうにしていたけれど、付けられたユーキは微妙な気持ちが心に生まれる。 貰い物とはいえ、これはヒドイ・・・。
「な、なんですか?この鈴。」
「ん?オレの宝物だよ。」
でもそれは彼にとって宝物の鈴だった。
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一人と一匹の話 | 「オレね。実家で猫、飼ってたんだ。」
ユーヤはユーキの鍵につけた鈴をチリンチリンと指先で鳴らし、自分の話を聞かせる。
「シクロって名前で、白と黒のぶち色したオス猫なんだよ。」
「見た目のままの名前ですか?」
「うん。オレ名前付けるセンスなかったから。見た目まんまの名前にした。」
サンフラワーに越す前に。少し前に起きた出来事。 それはユーヤにとって少し苦い思い出だった・・・。
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