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サンフラワーへようこそ同じアパートに住む大学生たちのお話
[完結][大学生][季節柄][コメディ]
EP.11 一節を終わらす木枯らし(4/4)
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抱かれる彼 | 「ユー・・・や?」
時系列は戻り、ユーヤに抱かれるヒナ。
「ちょっと本気で大丈夫?やっぱりまだ具合悪いの?」
突然のことで、彼も最初はよく分かっていなかった。 心配そうに掛ける声は優しく、不調な体調を気にかけてばかり。
「・・・・・・。」
周囲に散乱した衣類やタオル。 拾ってあげたいのに、これでは拾うことが出来ない。
「ユーヤ・・・っ、タオル。拾いたいから、拾うから一回離して。」
「・・・・・・。」
「ゆ、ユーヤ・・・ッ!」
そう言って離れようとしたが、その途端にユーヤの力が増して絶対に離そうとしなかった。
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聞いてほしいこと | 好きな人には好きな人がいる。 この気持ちは、もう迷惑にしかならないこと。 いっぱい後悔して、いっぱいなかったことにしたくて、いっぱい背を向けていた。
「ヒナ・・・。聞いてほしいこと、あるんだ。」
『いい子』と『悪い子』の天秤に狂わされた彼だった。 でも好きになった理由は、笑った笑顔だったから。 その笑顔を自分の想いなんかで奪う度胸がなかった。 何よりも壊したくなかったから。 だからユーヤは、
「オレ、ヒナのこと好きー・・・。」
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ずっとずっと | 「レイと付き合ってからも。オレ、ずっとヒナのこと好きだったよ。」
終わりを告白した。 ユーヤは終わらせることを選んだのだ。
「・・・ずっと、ずっとずっと好きでした。」
「ユーヤ・・・。」
全てを過去形に変えて。
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終わりを終わらせる終わりの言葉 | 終わりを求めたユーヤに必要なのは、終わりだけ。
「本当にありがとう、ユーヤ。気づきもしてなくて、本当にごめん。」
終わりがなければ、いつまでたっても始めれない。
「・・・ごめんなさい。」
傷付ける言葉に優しさなんて要らない。 分かっていても言わなくちゃいけない。
「僕、付き合ってる人いるから。・・・その人以外と付き合う気ない、から。」
彼女をつくらない主義の彼は、無残に終わりを終わらせたのでした。
「だからごめんなさい。ユーヤとは付き合えない。」
サンフラワーのアパートから見える大きな大きな一本の木。 赤や黄色に色づいた紅葉が、またひらひらと落ちた頃に・・・。
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「サンフラワーへようこそ!」の第11話を お読みいただきましてありがとうございました。
寒さが増してきました今日この頃 天候不順の折、皆様おそろいでご壮健にて 長い冬にお備えくださいませ
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