あんなに荒れてた外が、風だけを残し、大降りだった雨が止んでいく。 すると月の光が部屋に差し込み、ユーヤの強行も止まった。
「・・・オレ、悪い子なんだよ。昔も今も、そしてこの瞬間も。」
ヒナの顔に落ちた一滴の滴が反射して、光り輝く。
「ヒナにもレイにもヒドイことして。それを絶好だなんて企んでた悪い子なんだよ。」
いきなりどうしたことだろう。 笑い上戸の彼に何が起きたのか。
「今日だって、それなりに覚悟してたんだよ。・・・なのに。」
気づいた頃には、いっぱいの涙が頬を濡らしていた。
「全然いい子なんかじゃないのに・・・、あんなこと言うから。オレ、躊躇っちゃったじゃん・・・ッ!」
慣れてないお酒をたくさん飲んで、この時ばかりは酔いすぎてしまったようだ。 結局、何も奪えなくて。 結局、そんな度胸がなくて・・・。 幸せを願う彼には何も出来ずに、たくさんたくさん涙で頬を濡らしたのでした。
そして電気が復旧したのは、それから一時間後だった。
|