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仮面優等生の歪いた愛欲

この瞬間だけでも、俺を愛して・・・。
完結][既婚者教師×仮面優等生(主人公)][略奪愛]


EP.7「・・・さようなら」(6/6)
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律儀なことに破壊していった犯人は、お金を置いていったようだ。
壊した弁償代のつもりなのか。
束になったお札が茶封筒の中にあり、洗面器の隣に置かれていた。

「・・・・・・・・・・・・。」

もう犯人は誰なのか分かっている。
目星がついているから。
それは一人しかない。
さっきまでここにいた人に違いない。
残念な人。
本当、残念な・・・人。

「・・・ゴホゴホ。」

俺はフラつく体のまま、クローゼットをガチャと開けた。
そのクローゼット内の棚に置いてある小さなケースを手に取り、中から一枚のSDカードとUSBメモリを取り出す。
外部保存をきちんとしていれば、パソコンやスマホからデータが消えてしまっても、すぐにバックアップが可能。
ここには消されてしまったあの写真も保存されていて、それは不死鳥のように、これでいくらでも蘇らせることができる。
それをあの人に見せれば、後は思いのまま。
脅して。
縛り付けて。
思い知らせてやるんだ。
俺から逃げられないということを。
俺から逃がされないということを。
思い知らせてやるんだ。
本当・・・、残念な人。
せっかくここまで俺を、お得意の優しさで騙せられていたのに、ね。
だから言ったのに・・・。
けどー・・、

「これで・・・、おしまい。」

けど俺は最後の切り札を。
壊されたスマホと同じように、水が入った洗面器へと沈ませた。
最後は自らの手で、それを壊したのだ。

「・・・・・・ッ。」

あの時答えなかったのは、こういうことだから。
これが神崎先生の答えなのだと、思い知らされたから。

「神崎、先生・・・。」

こんなこと、分かっていた結末なのに・・・。
どうして涙が零れるのだろう。
どうして胸が張り裂けそうなぐらい痛いのだろう。
この少しの数日間、俺はどうかしていたんだ。
どんなことをされても『本当はもしかして』という勘違いに踊らされていたんだ・・・。




神崎先生は優しい人でした。
最初に惹かれたのも、その優しさでした。
微笑んでくれる笑顔も優しくて、そんな神崎先生を見ているだけで最初はよかったのです。
最初は見ているだけで、本当にそれだけでよかったのです。
なのに、どうして?
それをどこで間違えてしまったのだろう。
それをどこで歪ませてしまったのだろう。
そのままでいれば、こんな思いはせずにいられたのに。
そのままでいれば、ただの先生と生徒のままの関係でいられたのに。

「・・・・・・さようなら。」

これでもう神崎先生を縛り付ける術はなくなった。
時間はこれまでのことが何事もなかったかのように、進んでいくのだろう。
一人の先生として。
一人の生徒として。
何事もなかったかのように戻されていく関係。
それから俺は風邪を悪化させ、三日間ほど寝込んだのでした。




つづく





仮面優等生の歪いた愛欲 第7話を
お読みいただきありがとうございます

今年も仮面優等生の歪いた愛欲に
お付き合いいただきありがとうございます
お知らせしたとおり、今回はまだもう少し続きます
もうちょっとだけお付き合いくださいませ

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