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仮面優等生の歪いた愛欲

この瞬間だけでも、俺を愛して・・・。
完結][既婚者教師×仮面優等生(主人公)][略奪愛]


EP.7「・・・さようなら」(1/6)
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「・・・う。」

途絶えた意識から目を覚ます。
騒々しかった周りが静かになっていて、視界に映ってきたのは大瀬だった。

「大丈夫か?浬。」

「大・・・瀬・・・?」

どうやら意識を失っていたのは、ほんの一瞬。
大瀬に倒れた体を支えれて保健室のベットで寝ていたようだ。
嗚呼。ただ具合悪くして倒れただけだというのに、あんなにも野次売って、下らない注目浴びるなんて・・・。

(本当、恥晒しもいいとこだ。)

「ほら、浬。これで熱測れ。30秒ぐらいで鳴るやつだから、すぐ終わる。」

「・・・・・・。」

その間も不機嫌のまま。
無理もない。
あんなにも恥を掻いたのだ。
さすがに仮面を被っていても、この機嫌は隠せられない。
だから大瀬に何を言われても何をされても、無言のまま何も返さないでいた。

(・・・・・・。)

30秒ほど時間が経ち、体温計がピピピと鳴る。
表示された数字を見ると、高熱な今の体温を示していた。

(・・・こんなにもあったのか。)

「これは寝てるしかないな。」

それはもちろん大瀬にも確認された。
使った体温計を俺の代わりに元の位置へと戻す。

「担任来たら、親に迎え来てもらえるよう言っておかないとな。」

「来ないよ。」

「・・・え?」

「親ならどっちも来れない。どっちも今が仕事の山場だって言ってたから。」

そう自分の家庭のこと、大瀬にを軽く話した俺。

「そう、か。」

自分の熱を知ってしまうと、余計に具合が悪くなる感じがするのはなんでだろう。
体は熱く、重く、しんどい。
吐き気はないものの、本当に少し横になっていた方がよさそうだ。





それから数分後。
閉じていたカーテンが静かに開く。

「!」

するとそこにはなんと俺の担任の先生と、神崎先生の二人がいたのだった。
担任はともかく、なぜ彼までそこに・・・!?

「んじゃ後のことは先生に任せるから、俺は教室に戻るな。」

「錦くんを看ていてありがとう大瀬くん。もう授業は始まってるから静かに戻ってね。」

「はいはい。んじゃあ浬、お大事に〜。」

大瀬は二人の先生を見ると、そう俺のことを二人に任せて保健室から出て行った。

「錦くん。具合は大丈夫かな?」

担任とは以前のこともあり、神崎先生といるだけで妙な空気を感じた。
けれど担任は何事もなかったかのように。
こんな空気をさっさと流そして、俺の容体を伺う。

「保健室くる前、家の人に電話したんだけど連絡付かなくて。」

「どちらも今仕事が山場で忙しいので、きっと出られないんだと思います。」

「うん。でもこのまま保健室で休んでても、きちんと体を休められないと思うから、今日はこのまま早退しようか。」

「え。」

「とはいえ先生も授業があるから、ちょうど神崎先生が時間空いてるとのことで来てもらって・・・。」

そして担任は、どうして神崎先生を一緒に連れてきた訳を話す。
なるほど、そういうことか。
別にこのまま一人で帰ってもよかったのに。
理事長の孫として。
この学校の生徒として。
どうやら、そういうわけにはいかなかったようだ。

「・・・ということで、錦くんのこと。あとはよろしくお願いします神崎先生。」

「分かりました。こちらこそよろしくお願い致します。」

担任は俺のことを神崎先生に任せ、教室へと戻って行く。
神崎先生と二人きり。
ただそれだけでこんなにも静まり返る。
その空気はとても張り詰めていて、この心さえも緊張にさせた。

「神崎先生。どうしてここに・・・?」

けれど神崎先生は、

「そんなことより。」

たったその一言で全てを片づけてしまう。
こんな俺の思いすらも。



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