≪ top ≪ main

仮面優等生の歪いた愛欲

この瞬間だけでも、俺を愛して・・・。
完結][既婚者教師×仮面優等生(主人公)][略奪愛]


EP.6「こいつ借りてくぞ」(4/5)
]  [目次へ]  [


そのとき、

「!」

「ん?」

バイブレーター音がブーブー鳴り響く。
自分のもう一つのスマホが、メールを着信したようだ。
あぁ・・・。こっちのアドレスは校内ではあの人しか知らないので、誰からなのか見ないでも分かる。

「メール?見なくていいの?」

「あ、うん・・・。あとでいちお確認しておくよ。」

その相手と内容が予想でき、顔が青く染まってしまう。
さっきがさっきだったからな。
あまり体調がよくならないから、ぜひともお手柔らかにしていただきたいモノだ。

「・・・・・ん。」

そんな中、今ごろモソモソと体を起こした大瀬。
やっと起きた彼は寝ぼけた目をしていて、ボリボリと頭を掻いている。
どうやらあれだけ人を巻き込んでおきながら、ガチで寝ていたようだ。

「そうだ、保健室。」

そしてゆっくり、のっそり立ち上がり。
そのまま後ろから前の席で座っている俺を、腕一本で捕獲。

「及川、こいつ借りてくぞ。」

「は?」

「へっ!?」

いきなり捕まえられて。
いきなりそんなこと言われて。
突然の話に俺はもちろん、及川でさえついていけれてない。

「ほら。保健室行くぞ。」

「わわ!?ち、ちょっと・・・!」

それでも大瀬は気に構わず、腕一本で俺を捕まえたまま。
ズルズルと人を引きずり教室の外へと連れ去って行く。
何が何だか分からず、俺はただなすがまま拉致られらのであった。





及川を教室に置き去りにしたまま、どこかへと連れて行く大瀬。
やっと大瀬の腕一本から解放された俺は、廊下を歩きながら事情を聴く。

「お前、本当に大丈夫か?」

「え?」

「さっき触れて分かったんだが、熱出てないか?」

「・・・え?」

人に言われて、やっと気付く自分の体調。
顔色は血が引いているように青白い。
けれど体は異様に熱くて、呼吸もなんだかいつもより早く繰り返しており、目の前がグラグラと歪んでいて、そしてー・・。

「!!」

気づいた途端に体の力が一気に抜け、その場に倒れ込んでしまう。

「浬!?」

ドサッと倒れた音に周りにいた人たちも気づく。
周囲は一気に騒がしくなり、人が集まってきた。

「しっかりしろ!浬!」

「・・・ッ・・・!」

「え、なに?錦くんどうしたの?」

大瀬に支えられ、倒れた体を起こされる。
呼吸するだけで苦しくて、何度も何度も早く繰り返しては吐く。
体が熱い。
気管が苦しい・・・!
自分でも何が起きているのか分からない。

「バ・・・ッ!?バッカじゃねぇの!?浬すごい熱出てるじゃねぇか!」

触れられた額で熱を測られる。
ああ。そうか。
俺、風邪引いていたのか。
どおりで朝から調子が上げられず、ずっと悪寒を感じっぱなしだったのか。
そりゃ、そうだよな。
雨がザーザー降っていた中、あんなにもびしょ濡れていたわけだし。
そのあと神崎先生に長時間、素っ裸でいさせられたのだから。
そりゃぁ、風邪引くよね。

「待ってろ、今すぐ保健室に運んでやっから・・・!!」

あの時のスマホに着信したメールの内容。
それはもちろん神崎先生だったけれど、その内容は昼休みに呼び出される用ではなかった。

『今すぐ保健室に向かって、学校を早退して、ゆっくり家で休んでください。お大事に。』

神崎先生も、あんな授業の中でも俺の体調不良に気付いてくれていたようだ。
けれど俺はそんなことにも気付かず、確認を後回しにしてしまった。
朦朧とする視界。
周りの声がだんだんと遠くなっていく。
そして途絶えていく意識が俺を暗闇の夢へと引きずり堕とす・・。



]  [目次へ]  [
しおりを挟む


BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -