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仮面優等生の歪いた愛欲

この瞬間だけでも、俺を愛して・・・。
完結][既婚者教師×仮面優等生(主人公)][略奪愛]


EP.3「お前が必要なんだ!!」(2/7)
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自分のクラスの教室に着くと三人は各自、自分らの席へと着席。
さっそく学生カバンから今日の授業で使う教科書類や昨日の課題などを取り出して、机の中にしまう。
するとまず一人の女子生徒が「おはよー、錦くん」と声を掛けてきて。
次にまた別の女子生徒が昨日の課題のことを尋ねてきて。
そのまた次に別の女子生徒が次々とやってきて・・・。
瞬く間に俺の席の周辺は女子生徒の群れに囲まれてしまった。
ここまで来たら俺も普段通りの調子を戻してるから、それと共に問答無用で彼女らも普段通りの調子に戻るのだろう。

(今日もいつも通り。平和で何よりってことか。)

なので俺もいつも通りに彼女たちと話を交わし、いつも通りの時間を過ごす。
けれど今日は、そのいつもの時間になんと及川が加わってきたのだ。
相変わらず頼んでもないフォローしてきて、そこからモテるコツの講座を独学で学ぼうとしているのだろう。

「あ。もう本鈴鳴っちゃった。」

本鈴が鳴ると女子生徒の軍団は各自、自分の席やクラスへと戻っていく。
それから数分もしないうちに担任の先生が教室に姿を見せ、朝のホームルームが始まり、そのまま一限目の授業、国語が始まる。

(・・・ん?)

その授業の最中、大瀬方向の席から妙な視線を感じた。
案の定、そっちを見ると大瀬と目があったが、ふいっと一瞬して逸らされる。
視線が合う回数が重なるうちに、それは気のせいではなくなっていた。

(なんなんだ、いったい?)

大瀬もきっといつもの調子に戻ったのだろう。
そしてまた後で彼の彼女絡みのことで、突っ掛ってくるつもりなのだろうか。

(はぁ・・・。)

そんな今後に起きる出来事を予想しながら心の中で疲れた溜息を吐き、今は授業に集中することにした。





それから二限目の現社。
三限目は英語と授業は続く。
授業と授業の合間に10分程度の休憩時間に大瀬が絡んでくると思いきや、そうでもなく。
その間もオールバック野郎は自分の席で大人しくしていた。
けれど彼からの視線は、どの授業でも感じさせられ、非常に居心地つかない時間を過ごした。





次の授業は数学。
神崎先生の授業だ。
今日も後でメールでも送って、昼休みにでも呼び出してみようかな。
どうせまた嫌そうな顔されちゃうだろうけど。
まぁ、仕方ないよね。
奥さんいるのに、あんな脅しなんかに負けて、こんな俺なんかを抱かなきゃならないのだから・・・。

「はーい。皆さん、席に着いて下さい。授業始めますよ。」

この教室に神崎先生が訪れると共に、数学の授業が始まった。

「そしてこの式の解き方はー・・。」

「・・・・・・。」

何故だろう。
今日の神崎先生は、いつもにまして少しご機嫌の様子。
それは彼の声色から分かり、それに気づいた周りの生徒も『何かいいことでもあったのだろう』とクスクス笑う。

「ではこの問いを。」

(・・・・・・。)

「・・・及川くん。前に出て解いて頂きましょうか。」

「えぇっ!?僕ぅぅぅううう!!?もう神崎先生サイテー、いじわる〜!今日は僕、ウルトラハッピーなぐらい朝の占いで絶好調って言われたのに〜!!」

そんな中、また神崎先生と目が合ったけれど。
この間とは偉く違い、変わった反応を一瞬たりとも見せず、いつも通りの神崎先生がそこにいた。
どうしてだろう。
普通ならご機嫌な神崎先生に対して周りの子と同じように、なんだかちょっとおかしくて笑うはずなのに。

「・・・・・・ッ。」

そんな神崎先生から感じたくもないオーラ。
それが非常に気に入らなくて、手に力が入りすぎてしまい。
今、使っていたシャープペンシルのシンを意図的にバキッと折った。
そして先ほど考えた企みをより悪い方向に考え、昼休みの予定を変更させたのだった。





暫くして校内中に授業終了のチャイムが鳴り響く。
それと共に数学の授業も終わり、これから1時間ほどの昼休みに入る。
俺はまだこの教室に残っている神崎先生を予定通りに呼び出そうと、優等生の錦 浬のスマホではなく、自分の本来のスマホを胸ポケットから取り出そうとした。
その時、

「錦。」

「!」

ドンッと目の前に突如現れた、一人の男子生徒。
見上げると、そこには大瀬の姿があり。
不機嫌そうな表情で、まだ席に着いていた俺を見下している。

「大瀬・・・くん・・・?」

胸ポケットから取り出そうとしたスマホを手から離し、そのまま元の位置に戻す。
いつか来るだろうと覚悟していた分、それほど驚きはしなかった。
俺の席の前にいる大瀬は、まだ教室にいる神崎先生や周りの生徒のことすら気にしていない様子。

「二人で話したいことがある。・・・ちょっといいか。」

「え?」

なんだなんだ?
それはいつもの大瀬にしては、かなり大胆なお誘い。
まさか大瀬の彼女のことで、そろそろ俺と決着でもつけようとしているのだろうか。

「ここじゃ駄目かな?」

そう予想がついてしまうほど、彼の戦意は単純で分かりやすい。
争い事にも面倒事にも、巻き込まれるのを避けたかった俺。
だから彼の意志とは正反対に、冷静かつ落ち着いた態度で対応し、大瀬の機嫌を宥める。

「ーーー・・・ッ。」

けれどそれが火種になってしまったのか。

「いいから来い!!」

「!?」

怒鳴るような声を上げた大瀬に、驚いたのは俺だけじゃない。
神崎先生や同じクラスメイトまでもが大瀬に驚いて、教室中が静まり返る。
その様子に気づいた彼は、チッと舌打ち。

「うわっ!?」

強引に俺の腕を掴んで、そのまま教室の外へと無理矢理、連れ出して行った。

(な、なんなんだ?いったい!?)



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