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青ノ葉 恋文乱

一通の手紙から始まった4月最初の出来事
完結][青ノ葉外伝][恋愛]


EP.2 待ち合わす渡り廊下にて(2/6)
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「・・・・・・。」

え〜〜〜っと、えっと。何これ?何だこれ!?
これはもしかしてでもなく、ひょっとしてでもなく、ラブレターの差出人は鬼頭じゃなかったってオチ?
はははははっ。
なんだ。それならそうだって早く言ってよー、もう!
あのタイミングで来たから早とちって勘違いしちゃったじゃん!
そうだよな〜。
俺と鬼頭じゃやっぱ、そんなこと起きないよな。あるわけがないよな。うん、うん。
あそこで登場したのもきっと彼の詳細紹介その他コメントの2行目のせいだ。うん、うん。そうに違いない。
よかったよかった、鬼頭じゃなくて。
はははははっ。はははははっ。
ははははははははははーっ。

(って、何にもよくねえよ!何だこれ!?ここのサイトの主人公はホント、ロクな目に合わないな!!)

ラブレターの差出人が鬼頭じゃなかったってことは、それは他にいるということ。
そして俺は今、差出人が待つ渡り廊下で改めて1人っきりに。

(ああああああああッ!こんな1人でいるところを付け狙われたらどうしよう!!)

そんなところに1人残されて、せっかく勇気出た心があっという間に窮地へと追い込まれる。

(空を返して!俺の空(ボディーガード)を返して〜!)

その時、だった。

「よっ!鳴。こんなところで何しー・・・「ぎゃああアアアア!!」

突然、背後からポンッと叩かれた俺の肩。
途端に絶体絶命度が100%超えに急上昇。
そのあまりの恐怖に最大限の。出せるだけ出せた声で大きな悲鳴を響かせる。

「うっせーな!バカ鳴!バカがバカでかい声だすなバカ!」

「・・・って、あれ?陸、哉?」

すると自分の後ろから、とっても聞き覚えのある怒声と罵声が。
振り向くとそこには真柴 陸哉(ましば りくや)がいて、両耳を抑えていた。

「ご、ごめん、つい・・・。まさか陸哉だと思ってなかったからついつい。」

「どんなついだ?どんだけのついだ?オレの鼓膜がやぶれたらどう責任とつもりだ?あぁ!?」

「ごめんなさいごめんなさい!ホントにごめんなさいでした!謝るから許して!!」

「ごめんで済んだら警察なんて要らねえだろうが!訴訟起こして賠償求めて借金地獄の一生送らせてやろうか!?」

「キャー!ホントにごめんなさい!ごめんなさいってば!」

陸哉も俺たちと一緒の青ノ葉2年。
野球部に所属しており、寮では俺と同じ部屋を使うルームメートな関係。
空とも仲良くて、よく俺をからかってくるが、基本はいい奴。でも怒ると罵声止まらなくて、ちょっと面倒臭いとこがある。
でもそれは今ちょっと置いといて。
何故、陸哉もこのタイミングで出てきた?

(はッ!もしやー・・・!)

「陸哉じゃないよな?俺にラブレター出した差出人。」

「はい?何、頭沸いたこと言ってんの?」

このタイミングだったから思わずルームメートを疑ったが、差出人=陸哉の説はないな。
コイツがあんな文章書けるわけがない。あったとしても嫌だ。
コイツの場合、それは100%悪戯が目的だ。
そんでもって俺は、なんてことを彼の前で口を滑らせたのだろう。

「それに『俺にラブレター出した差出人』って、何の話?」

(しまった・・・!)

現在進行形でめっちゃ悩んでいることを、陸哉のからかい材料にさせてしまう。

「何のことかな〜?鳴海くん?」

「うっ、うるさいな!陸哉には関係ないだろ!」

「まあ確かに。オレには関係ないことだけど・・・、さっ!」

「うわ!?」

「関係あるのは、このお手紙さんのことかにゃ〜?」

そしてこっちの隙を突かれ、ズボンのポケットからこんにちはしていたラブレターを簡単にバッと奪われた。

「ほうほうほう。へぇ〜?鳴にラブレター、ねえ。とんだ物好きが青ノ葉にいたもんだ。」

「返せ!読むな!」

「いいじゃん。減るもんじゃあるまいし。」

ああああああああ・・・、最悪だ!
俺へのラブレターを陸哉に読まれるなんて最悪だ!
最悪以外の言葉が出ないぐらいすっごく最悪だ!!

「は〜。へ〜。ふーん。ほぉ〜。なるほどね。それで鳴はこんなところにいたわけか。」

「すごくどうでもいいが今、『はひふへほ』言わなかった?」

「『ひ』は言ってませんが?」

差出人にも申し訳ない。
俺の不注意とは言え、こんな奴に読まさせてしまっただなんて。

「で?返事どうすんの?これ。」

「陸哉には関係ないっつたろ。」

「いいじゃん、教えろよ。オレと鳴の仲だろ?」

「いーやーだ!どーせそれで俺をからかってくるんだから。」

「んなことしないって。なんならご相談にのって差し上げましょうか?」

「結構っ!」

陸哉も陸哉で面白半分に関わってこようとしたが、そんなものもちろん阻止!

「それに朝、明人先輩に既に相談したあとだから。陸哉の出番はねえよ。」

「なんだよ、それ。鈴木先輩は信用出来て、オレは信用出来ないってか?」

「普段から俺をからかいまくるのは、どこの誰でしたか?」

「ここのオレ♪」

残念ながら相談相手なら、もう間に合ってるんだ。
明人先輩の次は空。空の次が陸哉となったら、それは二番煎じどころか三番煎じになる。
だから陸哉の出番はもう要らない。



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