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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#31 猪突猛進な火属性編入生(3/4)
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やっと休憩時間が長くなったので

「いいから!オレと!ヤり合え!」

「もー・・・、しつこいー・・・。」

昼休み。まだまだ恭がB組の教室にやってくる。
いつまで経っても比路が相手にしないせいで、それにいい加減、痺れを切らしたようだ。

「そっちがこねえなら、こっちからいくぞ!ウルァッ!」

「ちょっと!?こんな狭い場所で暴れないでよ!」

ついに恭から拳が飛んできたので、ひらりと躱す比路。
けど教室内だと避けるのにも限界はあるし、クラスメイトに飛び石を向かわせない為、彼を誘導しながら廊下まで移動する。
ようやく再び開幕となった比路vs恭。
朝よりはるかに減っていたギャラリーも、また多く集まり始め二人に注目した。

「オラオラオラオラッ!」

左にきたら右、右にきたら左。
ほぼ互角に見えるが、全方向からくる拳を全て躱す比路のが若干、上手?

「ちょこまか避けんなー!!」

「避けるよバカ!」



乱闘開幕

そんな二人を司、朋也、稚空、梅ちゃんたちも観戦していた。

「あぁぁ・・・、大丈夫ですか!?比路くん助けなくて!」

「今、下手に入ったらキョウの拳に巻き込まれるだけだって。心配しなくてもヒロなら大丈夫だよ。」

「でもちょっとマズくない?ひろピーずっと避けっぱじゃん。昼休み終了まで体力持つ? 」

他に見にきてるギャラリーも二人に声援を送っている。
比路を応援する声、恭を応援する声。
共に五分五分といった感じだが、所詮は他人事のように楽しんでいる。

「先生を呼んできた方が早くないですか?」

「う〜ん・・・。」

恭の攻撃に対し、一向に避け続ける比路。
その状況をどうしていいか。
このまま時間になるまで見続ける?二人の間に入って止める?先生を呼びに行く?それとも・・・。

「どう思う?朋也。」

「俺ならもう反撃してるな。あそこまで一方的なら十分、正当防衛の範囲だろ?」

「やっぱり?」



比路vs恭

二人の動きをよく観察して追う朋也。
気を高ぶらせているのか、他の人とは違う色に目を変わっていた。

「ともぴょん喧嘩慣れしてるから血の気多そうな感想だね〜。」

「・・・だから、ともぴょんは止めてくれ。」

そんな朋也の意見を参考にして、比路に向かって助言する。

「ヒロー!正当防衛に入るって朋也が言ってるから、やっちゃいなよ!」

「そんなこと・・・、言われたって!」

けど比路はあまり参照にしておらず、避け続けることを止めない。
だけど今までサボっていた分の成果として、疲労の色が徐ろに見え始めた。

「オラオラー!正当防衛でも何でもいいから、さっさとかかってこい!」



比路vs恭 2

「喧嘩に武道を使うなって。こんな風に使うなって恭の師匠も言ってたでしょ!」

「確かに言われているがオレは敢えて使う。んでもって正々堂々、峰岸比路に勝ったことを手土産に師匠へ報告して、いっぱいいっぱい褒めてもらうんだ!」

それが比路を追ってまで編入してきた理由なのだろうか。
そんな個人的な訳で勝手に巻き込まれても、当然巻き込まれた側は納得出来ない。出来るはずがない。

「そんなことで褒められるか!って、うわぁ!?」

「くっそ。あともうちょいで当たったのに!」

けど恭の意思は固く、攻める勢いは止まらない。
ついにその拳を比路に掠れさす。
その瞬間、

「・・・・・・・・・。」

ついさっきまで皆と同じように、軽い目で観戦していたはずの司が目の色を変える。
ほとんどの人が比路と恭に夢中だったので気付かなかったが、気を高めていた朋也が隣りで感じたその変化に気付く。

「森?」

「・・・・・・・・・。」



比路vs恭 3

開幕された比路vs恭も、そろそろ最盛期を迎えたか。

「峰岸比路。いい加減、避け続けるのも限界だろ?いいからかかってこいよ。」

「人が黙ってれば、好き勝手に・・・っ!」

二人してお互いに上がった息を整えていた。
そして恭は次の攻撃に備え始めたが、比路は荒い呼吸を繰り返すだけ。

「まだこねえって言うなら次は容赦しない。あの日から365日毎日鍛錬してきたオレの成果見せてやる!」

「だから恭と会ってから、まだ一年も経ってないってば!」

「んじゃ、いっくぜー!」

かと思いきや、ふーッっと長めの息を吐くと、ようやく避け続けるのを止めて動きを変える。

「・・・また怪我したって知らないからね。」



比路vs恭 4

何かを覚悟して動きが変えた比路。

「森。もしアレなら俺が止めに入るが。」

「いや、大丈夫。もう勝負あったから。」

一線上に向かってくる恭の拳を、受け止めるかのように真っ正面で待ち、バシッと掴んだのだ。

「ぅお!?」

「・・・っ。」

それと共に勢いのまま背負い、向こうへ恭を投げ飛ばす。

「とわッ!」

「あれ?僕・・・、あれ???」

するとその時、また何かをあったのか。
比路は自分の両手を見つめ、グッパグッパと握っては離して握っては離してを幾度か繰り返して、その何かを確かめる。
飛ばされた恭もナイス受け身。ゴロンと上手に転がって最小の最小限にダメージを抑えた。

「そーこなくっちゃ♪」



比路vs恭 5

やっと始まった比路の反撃?に、周りの声援も熱くなってくる。
恭もまだまだ余裕を残しており、正々堂々やり合えるようになったことに喜びを感じ、楽しそうな顔を浮かべた。

「よっしゃ!もういっちょいっくぜー!」

そしてもう一度、恭が勢いよく向かって襲いかかる。
が、

「・・・・・・・・・。」

「っと!?とっと。」

また比路に、ひらりと躱される。だけどその時に足を引っ掛けられて、勢いのままにコケてゴロゴロ転がりながら受け身をとった。

「くっ、やるじゃねえか。やっとその気になったか。」

「やっぱりだ・・・。」

けどいくら恭でも、そんなにやられっぱなしでは黙ってはいられない。
なので次はもっと速く、勢いよく向かって襲いかかった。

「今度こそオレのターン!いっくぜー!!」



勝者が決まった瞬間

その時、だった。

「!!」

何かを確信した比路が、勢いよく向かってくる恭の懐に入り、

「ヤァッ!!」

ドコォッと彼を天に蹴り上げたのだ。
そして宙に浮かせた恭にもう一打。さらに追撃して、落ちてくるタイミングに合わせて、司がいる方向に蹴り飛ばす。

「うわぁ!?」

「グハッ!!」

「こらー!ヒロすけ、こっちにキョウを飛ばしてくるなー!」

それは正に瞬き禁止な一瞬の出来事。
比路vs恭の乱闘が決着が着き、比路が見事勝利を勝ち取ったのでした。

「ふー・・・っ。やっぱり僕、少しだけ克復出来たのかな?加減もちゃんと出来てたし、やったやった♪」



乱闘閉幕

「あとで克也にも報告しておこう。あ、でも怒られるかな。この間、説教されたばかりだったのに。」

比路は勝った報酬として、自分の成長ぐあいを改めて把握出来き、ワーイワーイっと凄く喜んでいた。
一方、負けた恭はというと、

「くっそ!手加減なんかしやがって・・・!」

負けたことよりも、手加減されたことに悔しがる。
正々堂々を語る彼には、やっぱりそれは快くなかったようだ。

「大丈夫か?キョウ。」

そして蹴り飛ばされた恭を抱えていた司が話し掛けてきた。

「ん!?お前は、森司!何でこんなところに!?」

「さっきからずっといたけど、やっぱり気付いてなかったんだな。」

「久しぶりじゃねえか。オレ、師匠から司も青ノ葉にいるって聞いて、会うの楽しみにしてたんだぜ!」

「ああ、久しぶりだなキョウ。」

こうしてようやく司と恭も数ヶ月ぶりに再開を果たす。



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