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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#14 司と比路の休日日和(1/3)
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突然の告白

ある日の日曜日のことでした。
朝、寮の休日清掃が終わった頃。

「ヒロお願いッ!俺と付き合って!」

「えッ!?」

司から比路へ、突然でいきなりの告白。
両手を合わせてまで伝えてきた言動は必死そのもの。
そんな彼を見て驚き、戸惑う比路だったが、

「えっと司?それって???」

「だから一緒に街の方まで買い物付き合ってってば。こっちの街って俺らのとこより盛んでるから、一人で行くのちょい不安でさ。」

「なんだ買い物か、ビックリした。いいよ。僕も街の方にまで行ってみたかったから司に付き合うよ。」

『買い物』という主語を聞いて心の中でホッと一安心。二つ返事で了承し、司との買い物に付き合うことにした。

「ん?なんでビックリしてんの?」

「あまりにも真剣に言うから何事かと思っただけだよ。」

案の定な約束オチでごめんなさい。



ファーストサンデーランチ

「本当はアッキーや梅ちゃんも誘いたかったんだけど、二人して家に帰っちゃったからさ。」

「梅ちゃんはともかく。アッキーはゲーム持ってくるためだけの帰省だけどね。」

そんなわけで司と比路。
青ノ葉に入学し学生寮に入寮してから初めて訪れた日曜日、街の方まで買い物に行くことにした二人。

「ところで司。買い物って何買いに行くの?」

「眼鏡。」

「あー・・・、そういえば黒板見えないって言ってたもんね。」

「うむ。それを母さんにメールで伝えたら『お金振り込んだから買ってらっしゃい』って返事があってさ。だから郵便局行ってからの眼鏡屋でいい?」

「はいはい。今日はどこまでも司に付き合うよ。他にやること特にないし。」

食堂にてお昼ごはん食べたら、さぁ出発!

「眼鏡を掛けたら絶対に『クイ』はやりたいよね!こうクイってさ!この気持ち、この浪漫。分かる?ヒロ。」

「ごめん、全然分かんない。」



行ってきます

「っというわけで。俺とヒロの外出届けの受理お願いします、日暮寮長!」

「森、様な様。様付けて呼べって。」

・・・の前に。
寮の規則により校外へ外出するときや帰省で外泊する際は、必ず日暮寮長までに届け出を提出しないといけない決まりがある。
司はその規則通りに従い、自分の分は自分で。比路の分は比路に書かせて日暮寮長に提出した。

「ふーん、街まで行くのか。学校近くからバス出てっからそいつでも行けっけど、自転車まだ余ってるから使うか?」

「自転車なんてあるんですか?」

「10台ぐらしかねぇけど寮でレンタルしてんだ。今のお前らみたいに街まで行く奴らゴロゴロいっから。」

「どうする?司。」

するとそこで日暮寮長から自転車を寮で貸し出されてることを知る二人。

「とりあえず今日はバスで大丈夫。街までの道のり覚えたいし。」

でも今回は見送り。このままバスで街まで出かけることにしたのでした。

「んじゃ、気を付けて行って来い。ちゃんと門限までには帰ってこいよ。」

「はーい!行ってきまーす!」



商店街

最寄りのバス停から商店街方面へ向かうバスに乗り込み、30分ほどでご到着。

「着いたーっ!そんなに時間かかんなくてよかった〜。」

「こっちのが都会って感じするね。」

地元の商店街より賑やかな街並み。
一歩踏み込んだだけで、このドキドキと緊張感。
それは初めて知らない街に訪れた時のみ味わえるもの。

「うっひゃー。ヒロヒロ行くよー!レッツゴー!」

「え!?やだ、ちょっと待って司!いきなり置いてかないで。」

「早く来いよー!俺より速いくせに遅いーっ!」

「だから先に行かないでって!ちゃんと前も見てよ、また人にぶつかっちゃうってば。」

テンションだってそりゃグーンッと右肩のみに上がって、ワクワクし放題。

「へへへ。冗談、冗談。ちゃんと待ってるから、置いてったりしないから。一緒に行こうヒロ。」

「うんっ。」



眼鏡屋さんへ

司の携帯電話にある地図アプリを頼りに目的地を確認。
予告通りの予定通りに、郵便局でお金をおろしてから眼鏡屋へ向かう二人。
けどそこに用があるのは司だけなので、カウセリングを受けるのも視力検査を受けるのも当然、司のみ。比路は展示されている眼鏡を暇そうに眺めながら付き添う。

「んー。コッチにしようかな?あ。これもいいなぁ。」

そして眼鏡のフレームを選んでるときのこと。
司にとってそれが一生に一度の初眼鏡になるので真剣な表情で厳密に選抜。
気に入ったフレームの中から、より気に入った一つを選ぶのに随分と時間をかける。

「ん、このデザインは学プリの眼鏡王子にソックリ!でもこれにしたら眼鏡王子とお揃いになるわけだから、俺、浮気にならないかな?確かにCGもルートシナリオも良かったけど俺の本命、眼鏡じゃないし。」

そんな彼に比路が一言二言三言以上に物申す。

「下らない葛藤してないでさっさと決めたら?二次元相手に浮気も何もないでしょ。」

「あるよ!失礼な!好きな子いるのに他の子に手を出すなんて三次元で例えたら最悪だろ!?」

「それを言ったら恋愛ゲームにおける全ての主人公、最悪にならない?手出したい放題に選びたい放題だよね?主人公。」

「それは主人公だからいいの!決められたレールだけしかあるけないから合法!分岐後はそのキャラは主人公の本命になって一筋にもなってるからいいの!」



眼鏡屋さんで

そういうわけでなかなか決まらない司の眼鏡のフレーム。
最終的に銀か青か緑。その三つに候補が絞られる。

「ヒロだったらどれにする?」

「僕が決めていいの?」

「うんうん。」

自分だけでは埒があかなかったので、比路の意見も参照にして最終候補を決めることに。

「色で言えば青、かな。」

「えーッ!」

「無難にシルバーもいいよね。学校で使うわけだし。」

「えーッ!」

「・・・緑でいいんじゃない?緑で。」

「えーッ!」

でも悪ふざけは、ほどほどに・・・。

「司、ぶん殴られたいの?」

「ごめんなさいでしたごめんなさいでした!!主人公バカにした仕返しにふざけてごめんなさいでした!!お願いだから店内でヒロスペシャルぶっ放そうとしないでーっ!!」



司の眼鏡

「まったく。ふざけるのもいい加減にしてよね。もう帰るよ僕。」

比路の意見も参照にして、やっと最終候補に選ばれたフレーム。
それは、

「よっし、青のにしよう!眼鏡とも被んないし。」

青縁だった。
青と言っても暗めの色で紺に近い色だから、シンプルだけどお洒落感も忘れてなさそうな品物。

「いいの?あんなに悩んでたのにお揃いにしなくて。」

「ヒロさんが最初に選んだ色だから、せっかくだしこれにするよ。ヒロ、青好きだもんね。」

やっとのことでフレームが決まれば次はレンズ選び。
それを終わると最終的な調整が入り、微調整も繰り返しながら出来上がりの完成へと近づいていく。

「ちなみに司の、その、一番のお気に入りが眼鏡キャラだったらどうしてたの?」

「ん?そんなの簡単!ブランドから何から何まで一から調べて全てにおいてソックリじゃなくて同じにするに決まってんじゃん。」

「・・・鼻眼鏡でも?」

「鼻眼鏡でも。って何?そのチョイス。」



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