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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#89 昼下がりの目撃者(3/6)
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誤る書き順

しかし瑛が朋也に教わる勉強会は、成績とはあまり関係のない問題が発生。

「今のとこ・・・。漢字の書き順違う。」

「ん?こうじゃなかったか?」

「全然違う。あとこことそこと、今書いたばかりのヤツも。」

「・・・・・・。」

なんと瑛は悉く漢字の書き順を誤ってしまっており、朋也から指摘受けたのだ。
けどその回数が重なれば重なるほど、しつこく感じたのか。

「別にいいだろ、これぐらい。それで点数下がったことないし。」

彼は指摘されるほどの問題ではないと主張。
でも朋也が個人的にやってる勉強法。特に文系は暗記中心なので、このままでは朋也自身にも何らかの影響が生じてしまいそう。

「・・・なら、勉強もここまでってことで。」

「悪かった!俺が悪かったから!ちゃんと書き順直すから!こんなことで匙投げないでくれ!」

その為、いくらタダでは済まされなかった話だとしても、これはこれ。それはそれ。
漢字の書き順を正したりして、成績とはあまり関係ない方向の勉強が謎に捗った。



日曜日の昼下がり

「空先輩の返信遅いな・・・。既読すらつかねえってことは、まだ気付いてないっぽいな。」

しかし日曜日の昼下がり。
赤点は絶対レベルで免れたいものの、テスト勉強はやっぱりつまらないせいか。
瑛の集中力がどんどん低下していき、眠たくなってきてしまう。

「大丈夫か?」

「んー・・・。後藤のベッドって、上と下どっち?」

「え?上?」

こんな状態で勉強続けていても、効率はいまいち。
なので少し休むことにしたのだが。
その場所は、なんと2段ベッドの朋也が使ってる側の上段ベッド。

「・・・OK。んじゃ、ちょっと借りるな。」

「そこで寝るのか!?」

「さすがに相沢側のベッドで、勝手に寝るわけにはいかないだろ。」

「俺もまだ許可してないんだが・・・。」

きっと自分の部屋に戻る手間を省きたかったのだろう。
ちょっと強引だったがそのまま押し切った瑛は、「30分ぐらいしたら起こしてくれ」と朋也に頼んで、あっという間にスヤスヤと眠りに付いた。



30分後に起こしてくれ

その一方で、一方的に『起こしてくれ』と頼まれたことに戸惑う朋也。

「起こ・・・す・・・?」

何せ、今の今まで。そんなこと誰かにやったことがないからだ。
どうしよう。
・・・どうしよう。
念のために入れたタイマーの音で起きてくれるのを願ったが、

「・・・・・・・・・。」

瞬く間に30分が経ったことを知らせるアラーム音。
暫く鳴らしっぱなしにしたが、起きる気配がない瑛。
なので頼まれた通りに、彼を起こさないといけないのだが、どうしよう。
どうやって瑛を起こそう。

「・・・・・・・・・。」



人を起こす方法

人を起こすことは時に難しいもの。
さらに眠りが深ければ深いほど難易度が高くなってくる。
朋也は自分のスマホで人を起こす方法を検索した結果、4つの方法が候補として上がった。
まず1つ目は『驚くような嘘を付く』。

「・・・・・・・・・。」

『1億円当たった!』とか。
目が覚めるような嘘を付いて衝撃を与えれば、瑛がビックリして飛び起きてくれるかもしれない。
でもそんな感じの嘘は直ぐに思い浮かばず、瞬く間に候補から断念。
次の2つ目は『冷たいモノを顔に当てる』。

「・・・・・・・・・。」

これは寮内の自販機から、何かしら冷たい飲み物を買ってこれば実行出来そうだ。
しかし起こせと言われた30分は、既に過ぎている。
なのに今から自販機まで買いに行ったら、もっと時間を所要することになってしまい、今直ぐには出来そうにないので断念。
時間迎える前に買ってきれば良かったと、少しだけ後悔した。

「・・・・・・・・・。」



人を起こす方法 2

残された3つ目、4つ目の候補は『目覚ましを耳元で鳴らす』と『鼻を摘む』。
さっき念のために入れたタイマーの音では起きなかったが、また耳元で鳴らせば違った結果が出て来るかもしれない。
そこに加えて鼻も摘んでやれば、ダブルの効果で起きてくれるかもしれない。

(よし・・・っ、これだな。)

そうと決まれば、さっそく行動に移した朋也は速やかに。
サッと音を立てずに2段ベッドの梯子を登る。
そして(すまない・・・)と心の声で謝り、3+4の候補で起きそうと瑛の上に跨がろうとした、その時ー・・・。

「お・・・、オイ。人を起こすってだけで、俺に何しようとしてんだ・・・っ!」

「!」

彼は既に起きていたのか。
パチっと目を開けてくれたが、その朋也の行動が予想外すぎたようで、何故か身構えていた。



気になっていた起こされ方法

そんな瑛は実は、朋也が念のために入れたタイマーの音で目を覚ましていた。
けど『起こしてくれ』と先に頼んだのもあってか、どんな風に自分を起こしてくれるのか。
少し興味があったので、起こしてくれるまで寝たフリをしていた。が、

「・・・・・・・・・。」

タイマー鳴ってから、朋也が行動起こすまで、時間が掛かりすぎ。
今までいったい何してたんだと突っ込んでやりたかったが、それどころではない事態が発生。

「!?」

やっとこっちに来た朋也が自分の上に跨ろうとしたのが、まさかすぎて予想外。
思わず身構えるほどビックリして、起こされる前に起きたのだった。

「・・・失敗したか。」

「何が!?お前、俺を起こすってだけでホント何やらかそろうとしてたんだ!?」

朋也は朋也で3+4の候補も結局、出来なくて残念そうにしていたが、瑛は瑛で。朋也が自分の上で何をやろうとしていたのか分からず、残念がって退く彼に思わず動揺を隠せなかった。



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