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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#84 青ノ葉 林間録(前編)(2/4)
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頼もしい労働力

さて、これにて昼食時間はおしまい。
しおりに書かれた日程予定通りに、最初は施設内や施設周辺の清掃から。

「先日までの雨続きによって、山道は地面が泥濘んでる箇所もあるから、足元には十分気をつけるように。」

学年主任に注意事項や指示を受けたら、決められた班ごとに分かれて、必要な用具を持って皆んなで大移動。
寝具類は前もって整えてくれているので宿泊となる2階部屋の室内は問題ないが、そことキッチン内以外は全部清掃箇所として指定されている。
ちなみに本日の晩ご飯も林間学校バージョン。
焼肉や海鮮、野菜や締めの焼きそばまで、たーーーっぷりあるバーベキュー。
だから男子は皆んな、美味い晩メシが食いたいばかりに。

「よっしゃー!皆んなでテキパキ掃除すっぞー!肉じゃ肉ー!」

「何が海鮮じゃコルルァア!まとめてかかってきやがれ!」

「焼きそばも最後の一麺まで残さず、いただいてやっぞー!」

「ちゃんと野菜も食えよ・・・。」

いっぱい掃除して、いっぱい動いて、いっぱい働いて、めちゃくちゃ腹を空かせようとする野郎が勢揃い。
人柱要員は労働力としても、なんとも頼もしい人材ばかり。
今年も単純な子が多くて大助かりな教員・関係者たちだった。
曇っていても雨が降らなければ野外で出来るから、雨さえ降らないことを祈ろう。



不在のチロ先生

でも怪我だけはしないように。
何せ保健医であるチロ先生は不在。
人数比はお留守番してる1・3年生の方が圧倒的に多いので、林間学校の引率者には含まれていないのだ。

「あー、よかった。これでこっちにチロ先生いたら、きっと寮長のことだから。1年vs3年で何か、またおっ始めそうだからさー。」

「あれ?でも運動部vs文系部って、去年もこのぐらいでやらなかったか?」

「いくらなんでも2年ハブけする真似はしないっしょ。」

だから日暮寮長が妙なことを企んでる確率も低め。
チロ先生がいると怒られるから、やりたくてウズウズしてても出来ないで終わるだろう。

「その辺どうなの?久野くん。分かる?」

「んー、うん。でもその前に、もう1つあったよね。前の学寮戦ほどの箝口令はないけど、今の1年生が知らないイベント。それがもうすぐだから、蓮さん今そっちで忙しくしてるよ。」

「あれ?何あったっけ?去年。」

その辺りの情報は、久野が1番知ってる位置にいるから。
彼に心当たりなければ、留守番してる先輩後輩たちも、きっと何事もない日常を送ってるに違いない。

「それよりもホントに、怪我だけはしないように気をつけていてね。チロ先生いないし、夏の大会だってもうすぐなんだから。」



妙な噂話

点検場所となる各箇所は、主に教員たちが担当。
清掃場所となる各箇所は、主に生徒たちが担当。
施設内は先ほどいたホールやダイニングルーム以外にも外部テラス。
トイレや洗面所、脱衣所や浴室に洗濯室。
もちろん1階と自販機前の廊下や、2階の各部屋前の廊下等まで。
施設外は主に草取りやゴミ拾いがメインだけど外周全部。
小さめの体育館やコートまであるので、中も外もどっちも範囲が広かった。
でもそんな中、妙な疑問を抱く生徒がいた。

「ここって結局、元は何の施設だったんだろうね?」

「さあ?どっかの金持ちが寄付したっていう噂があったような気がしたが、実際のところどうなんだろう。」

「夏時期にしか使わないって言うのも、何か変じゃない?」

けど自分たちだけで気にしたって仕方がないことなので、直ぐにこの会話は消えていく。
しかしそれを立ち聞いていた矢口は、浮かない表情を更に難しくさせる。

「・・・・・・・・・。」

そして何を思ったのか。
皆んなから逸れて、その何かを探索しようとした。



どこへ行くつもり?

その途端、

「純平。」

「!」

「どこ行く気だよ。俺らの班、そっち方向には用ないだろ。」

そんな彼の足を、風雅が呼び止める。

「・・・・・・・・・。」

「お前、ホントどうした?ここに来てから、ずっとそんな顔して。」

さっきは茶化して濁したが、矢口の様子がどうにも気になっていたようだ。
だから皆んなから逸れたはずの彼を見逃がさなかった。
そして矢口も、風雅まで己の目的に巻き込むつもりはないのか。

「・・・なんでもない。」

「・・・・・・・・・。」

そう言って、今は逸れた皆んなの元へ、大人しく戻って行く。



見張り役でもあるクラス委員長

けどこの様子を彼も見ていたようで、

「アイツのことなら、大丈夫だって。佑先生がそこまで気にしんくても。」

「・・・陸哉か。」

陸哉がポンと、風雅の肩に手を置いて話掛けてくる。
どうやら彼までも、矢口を気に掛けていた模様。

「オレも一応、奴の同行を見張ってなきゃいけない立ち場なんで。」

でもそれは自分がクラス委員だからという理由。

「アイツがまた悪さにでも走られたら、オレもクラス委員として怒られるしな。」

「大変だな、クラス委員も。」

「そ。大変なんだよ、色々と。まあそれでもC組よりはマシだけどな。あっちはアイツらを見限ってるっぽいし。」

矢口は更生したとは言え、まだ日にちは浅いから信憑性も薄い。
厳重注意のマークだって未だ簡単に外せられないのは、それだけ彼が悪さをしてきた証。
だからさっきから起こしてる行動が不可解で、それで陸哉までも矢口を気にしていたのだ。



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