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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#75 気になる2人の親しい関係(3/4)
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0歩、50歩、100歩

そんな田邊の案に、梅ちゃんは、

「寮長さんがお父さんで、チロ先生がお母さんですか。ボクはいいと思いますよ。よくボクの面倒を見て頂いてますから異論はないです。」

日暮寮長がお父さん、チロ先生がお母さん。
この言葉の意味をそのまま純粋に捉え、ニッコリ笑顔で賛成に頷く。

「うーん・・・。まあ、そういう風に見たい人多いなら別にいいんじゃない?」

司は意味を把握して、理解も追いついてる模様。
個人的にはちょっと微妙な反応だけど、周りに合わせる形で賛成の模様。

「大賛成!やっぱ攻めが寮長で受けがチロ先生ですよね。その2人をそう捉えるなら。」

稚空は裏の意味まで読めたのか。
大いに賛成して公認化を望む。
3人の捉え方は0歩、50歩、100歩と。それぞれ違っていても、賛成一色であることには変わりない。
しかしその色に染まらなかった比路は、

「・・・なんだろう。チロ先生が大変そうにしか思えない。」

理解しているのも怪しいところだが、賛成に頷かなかった。



割と話す仲だから

「峰岸は空気が読めない奴だな。KYは重罪だぞ。」

「そう言われても・・・。僕は自分の意見を素直に言ったまでですから。それになんでそこに僕が必要なのが全然分からない。」

「それはこれから説明するところだって。ハヤトチリ〜。」

彼の案を聞いた上でも、比路が協力する理由はどこにあるのか。
田邊はケロっとした顔で述べる。

「峰岸って、寮長と割と話してる仲じゃん。」

「え。」

「密室で2人きりになったりさ。朝、みんながまだ起きてない時間帯に、よく食堂で喋ってたりしてるじゃん。」

解釈された変換によって妙な言い方されたが、比路と寮長が密室で2人きりになったというのは、保管庫に閉じ込められただけ(#29参照)。
それに朝だって、朝練がある日は久野と食堂で待ち合わせてるから。
その際、たまに寮長と食堂で会うことがあるが「おはようございます」等の挨拶程度しかしてない。

「・・・どっちもその場で田邊先輩を見かけたことないんですけど。」

「言っただろ?この青ノ葉内の、特に人間関係に関しては詳しいって。オレの情報力、ナメんなよ?」

割と話してる仲だと言われても、距離感は他と大きな差はない。



ロビーで見かけた2人

それにそれをいうなら自分よりも適した人物が1人。
昨夜ロビーで見かけた時もそうだったけど、久野の方が寮長と親しい仲であることを比路は思い当てる。

「僕よりも克也のが寮長とよく話してるから、克也に協力求めた方が・・・。」

「克也はダメだ。年下のクセして融通利かねえし、隙見せねえし。」

しかし田邊の中では、久野は駄目なようだ。
ボソッと「上手く利用出来ねえし・・・」と呟いたが、小声すぎて誰の耳にも届かなかった。

「もう直接、寮長本人に訊けば早いんじゃ・・・。」

「それが出来たら苦労しないっつーの。既に門前払いで拳骨落とされた後だから、こうして近そうな人間から協力を頼んでんだろ。」



比路知りたい情報

田邊の理由を聞いても、比路が協力する必要性は全く持って感じられない。
だけど気になった点は、そんな中でもあった模様。

「田邊先輩は、本当に・・・。この青ノ葉の生徒に関して詳しいの?」

「さっきも言っただろ、オレの情報力をナメんなって。」

「・・・それって、ここを卒業していった卒業生のことも?」

それは協力したことによって得られる田邊が持つ情報。
比路にも何かしら知りたいことがあるようだ。

「そこは峰岸の協力次第。峰岸がオレに協力してくれたら、その卒業生に関しての情報、なんでもひとつ。礼としてくれてやるよ。」

すると田邊はニヤリと笑い、それを交渉成立の条件とする。
もちろんそれは一緒にいる3人も聞いていた。
「卒業生がどうかしたの?」と稚空や梅ちゃんから質問受けたが、比路はやんわり躱して、それ以上を答えない。
司も司で、

「・・・・・・・・・。」

飲んでいた牛乳のパックを、その一瞬だけベコッと強くヘコませたのだった。



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