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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#9 部活動勧誘会(後編)(1/3)
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生徒会の彼

「さて。俺はそろそろ戻らないと。」

「克也先輩、部活やりに来たんじゃ?」

「見回りついでに自分の部活を見に来ただけだよ。委員会の仕事もまだあるし、会長に全部任せておくわけにもいかないから。」

道場に訪れてから数分も経たない内に、ここから去ろうとする久野。
彼が所属してる委員会。もしやその腕に付けてる腕章と関係あるのでは?

「久野先輩は生徒会の方、なのですか?」

それをずっと見ていた梅ちゃんは気になっていたのか。
それを口にして、久野に問う。

「うん、そうだよ。」

すると彼は頷いて答え、自分が生徒会役員であることを明かした。

「おー!さすが克也先輩!」

「さすがってほどでもないよ司。今日みたいな日は特に自分の部活を疎かにさせちゃうから。」

柔道に関しては今も現役な久野。
優しくて頼りがいもあるそんな完璧な彼だからこそ、きっと生徒会の役員に選ばれたんだろう。



前方注意!

四人もキリのいいところで道場を後にし、寮へと戻って行った。

「ヒロヒロ。また夕飯前に対戦しない?ルールは昨日と同じでいいからさ。」

「いいけど。司・・・、やけに張り切ってない?」

「うっし!そうと決まれば部屋に直行!」

昨日やってたゲームのリベンジ戦に気合を入れて意気込んだ司は、勢いに任せて走り出し、一人先に行ってしまう。
その時、

「司!ちょっと前!」

「わッ!?」

偶然にもタイミングよく寮長室のドアがカチャと開き、中から出てきた人物と司が鉢合わせ。

「・・・っと。危ねぇな。」

けどぶつかる寸前で、その人が司をナイスキャッチ。
見事に衝突を回避した。



寮長室から出てきた日暮寮長

司をキャッチしてくれたその人物とは日暮寮長のこと。

「怪我でもしたら危ないだろ。お互い痛いだけなんだから気を付けろよ。」

「・・・すみません、でした。」

彼のおかげで司の安否は無事。怪我一つ負わなかった。

「お前、一年か?」

「はい。えっと、掴まえて下さってありがとうございました。日暮寮長。」

「様な、様。様付けて呼べって。」

キャッチされていた間、司は驚きのあまりか。
そのままのまま。彼の腕に捕まったまま非常におとなしくしていた。



梅ちゃん以外は、顔見知った程度

「大丈夫?司。」

「な、なんとか〜。」

三人が追いつくと共に、日暮寮長の腕からゆっくり解放された司は比路の傍に。

「ん?あぁ、誰かと思えば梅谷、お前もいたのか。」

「あ・・・、日暮寮長さん!先ほどは、どうもありがとうございました。」

そんな中、日暮寮長は梅ちゃんに気づき、梅ちゃんは日暮寮長に気づく。
三人より先に知り合っていた二人は、仲好さそうに話し合う。

「さっそく友達連れてたのか。よかったな、梅谷。」

「はいっ!稚空くんも司くんも比路くんも。皆さん優しくて、とてもいい人たちなんですよ♪」



梅ちゃんからのご紹介

「えっと今、寮長さんとぶつかりかけたのがー・・・。」

「梅谷。さんじゃねぇ、様な様。」

そしてほんわかな笑顔を見せながら梅ちゃんは、日暮寮長に三人を紹介。

「えぇー?えっと、その子が森 司くん。」

「ど、どうも。」

「前髪を赤いゴムで結ってる子が鈴木 稚空くん。」

「初めまして・・・。」

「そして司くんの傍にいる子が峰岸 比路くん。」

「・・・・・・。」

ここでようやく日暮寮長と名を交わした三人だった。



寮長様

「とにかく、だ。この俺を呼ぶときは寮長様、様な様。ちゃんと様付けて呼ぶように。」

「な、なんで?」

「当たり前だろ?こっちはお前らの世話の処理を毎日してやってんだ。」

様付けで呼ばなくちゃいけない訳をドヤッと偉そうに話す日暮寮長。
ちなみに世話の処理というのは、やらしい言葉の意味ではない。
食堂の献立だったり、制服やベッドのシーツなどのクリーニングだったり。その他諸々、寮生活を送るあらゆる面は全て日暮寮長が責任を持って面倒みてくれている。

「本来なら跪かせてやりたいどころだ・が。特別に呼ぶだけで許してやってんだ。心して有り難く思って呼べよ。」

「「「「・・・・・・。」」」」

でもだからと言って、こんな人を様付けてまで呼びたくない生徒一同。
いい歳した大人が何を偉そうに言っているのだろう・・・。



注意事項?いいえ注意事故

「そうそう。部屋の壁、薄いからさ。万が一でもー・・・、ヤんなら気を付けろよ?」

「「はァッ!?」」

寮に関して詳しい日暮寮長は余計なことまでも四人に注意。
それは自分らの趣味に関わる内容でもあったため、何に対して言われたのか真っ先に理解できた腐男子二人。
それをすごく自然にナチュラルに言われたものだから、思わず自分たちの耳を疑う。

「個人同士の問題だから止めはしねぇけど通報受け次第、どっちに対してもそれなりに厳しい処罰させっから。肝に銘じてそのつもりで覚悟しろよ。」

なので、

「・・・あの。ヤるって何を?何をヤったら処罰されるんですか?」

「梅ちゃんストーーーーーーップ!!!」

「そんな質問、こんな人に訊いちゃダメーーーーッ!!!」

「え?え?え???」

理解できずに質問を返す梅ちゃんを、全身全霊全力全快で必死に止めに入ったのでした。



戻ってきた自分たちの部屋

仕事に戻った日暮寮長と別れ、それから一年の階に着き『一旦、自分たちの部屋に戻る』と言ってきた稚空と梅ちゃんの二人とも解散。
そして残った司と比路は、そのまま423号室へ。自分たちの部屋へ戻ってくる。

「たっだいま〜・・・っと。」

「・・・・・・。」

明るく話題を振る司。

「はぁー。さすがにちょいと疲れたな。」

「・・・・・・。」

さっきから何の反応も見せないまま無言でいる比路。

「日暮寮長にぶつかりかけた時もそうだったけど、注意された時もビックリして冷や汗掻いたよ。アッキーは内心、悦んでそうだったけど俺は二次元だけでいいしさ、そういうの。」

いきなり二人に何が起きたのか。

「ん・・・?」

二人が部屋に戻った途端ー・・・。



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