もしもnotヒーロー志望が勝己のこともモブ扱いしてたら






(♀夢/英雄学/爆豪勝己/notヒーロー志望/)


※もしもnotヒーロー志望が勝己のことを兄妹だと思わなかったらif


【前提】
子供の時は変わりない。勝己が◎を外に連れ出さなくなってからどんどん疎遠になり、◎は素で「爆豪くん」呼び。自分でご飯作るから爆豪家に行く習慣もない世界線。◎から一線置かれている状態に勝己は不満。
こいつは俺のもので、こいつの方が俺のことを好きなはずなんだって焦燥の心理を持っている。子供の時のようにキラキラした目で自分を見てほしいと思っているまま中学生になった。
勝己は自分が◎に執着していることは認めていない。あくまで◎が自分を好きなはずだと思っている。二人の交流はほとんどなくただの幼馴染。会えばたまに話す程度の間柄。

【補足話】
両家両親自在時、子供だけを残すのが心配だからと光己が◎を爆豪家に呼ぶ。その時に勝己は無理矢理キスしてる。
嫌いな食べ物

↑ ◎は食べ物の好き嫌いがほぼないですが、ifの世界線なので相違点を出す為に人参が嫌いと設定を変えています。


【補足話の後日】




「…何」
警戒してやがる。そりゃそうだわな。
「…別に何もしねえわ」
「それはよかったわ。でも少し離れて」
「何もしねえっつってんだろ!」
「こないだのこと忘れたわけじゃないの。素直に聞くほど無神経でもないわ。…少し離れて」
「…チッ」

こいつが警戒するようなことした自覚はある。キスして嫌いなもん口移しされりゃ、誰だって警戒する。んなことわかってるわ。わかってんのにやっちまった。
間に余裕で一人入れそうな空間を開けると、◎はやっと警戒の目を俺から逸らした。クソ。
「…何か用」

「…いたから声かけただけだわ」
「そう」
沈黙。話題なんか思いつかねえ。こないだのことばっかり反芻する。
「爆豪くん、誰にでもあんなことするの」
「あ?」
「嫌いなもの、口移しで」
「ああ!?なワケねえだろ!」
「じゃあ私のこと嫌いなの」
「は」
「それとも好きなの」

こっち見ねえまま、淡々とした口調で訊いてきやがった。んなもん答えようねえだろ。
ツラ合わせてから一回も笑わねえ。こんなんになりたくてあんなことしたわけじゃねえのに。
「…」
「答えたくないならいいけど。私、自分でご飯作れるし、いつも一人暮らしみたいなものだから、心配しなくても

大丈夫よ。光己ちゃんにそう伝えておいてくれる?」
また。
なんでババアは光己ちゃんで、俺は爆豪くんなんだよ。
「…他の奴の名前出してんじゃねえよ」
「…」
「いまてめえが話してんの、俺だろが」
◎が俺を見た。俺の方が◎を見れなかった。
「爆豪くん、私のこと好きなのね」

「違ぇわ!!自惚れんなカス!お前がっ…!」
お前が先に、俺のこと好きだったはずだろうが。興味ねえ目で俺を見るんじゃねえ。
「そう、私の勘違いなの。好きじゃないなら話しかけないで。私のことどう思ってるかわからないけど、たぶん爆豪くんが思ってるほど優しい人じゃないわ。私」

「…好きだっつったら許すんかよ」
「許さないわ。ファーストキスが人参の口移しなんて、

最悪の思い出だもの。嫌いな人に嫌がらせするために話しかけられるなんて不毛だから関わりたくないの。爆豪くんが私を好きなのは勘違いなんでしょう。好きでなければ嫌いでしかないと思うわ。どうでもいい人に、あんなことしないでしょ」
「うっせぇ!勝手に決めてんじゃねえ!!」

こいつこんなに喋る奴だったんかよ。ムカつくことずらずら並べやがって。わけわかんねえことやってんのは俺だってわかってんだよクソが。
こいつのファーストキスが俺だったとか変なとこで優越感抱いたり、この状況にムカついてたり、なんて言やぁこいつが前みてぇになんのか考えたりでイラついた。

自分の思考が鬱陶しかった。◎が無表情で喋ってんのは、こいつも俺にムカついてっからだってわかってる。クソ…クソが。なんで。
「何か間違ったこと言ってるなら教えて。聞く耳ならまだあるわ」
「っ…違え、全部違えんだよ、わかれや!!」
「言わないならいい。私は推測するつもりないわ」

好きとか嫌いとか、嫌がらせとか、不毛とか関わりたくねえとか、全部違え。そんなこと思ってもねえし伝えたつもりもねえのに、なんでこんなに一個もうまく伝わんねえんだよ。なんでこいつはわかんねえんだよ。
なんて言やぁいいんだよ。俺はお前に。
視界がぼやけて立ち止まった。

そのまま先に進もうとする◎の腕を掴んだ。手の中の腕はビクッと跳ねて、俺を振り返る。何か言おうと息を吸う気配がしたが、無音に吸い込まれたように◎は止まった。ムカつく。情けねぇ。
「…何泣いてるの」
「…っせえ」
慰めてほしくて止めたわけじゃねえ。泣くとか、マジでクソだ。

だけどこのまま、こいつが何もわかってねえまま離れていきやがったら、二度と修復できねえ気がした。
「…行くな」
そこから一歩も動くなっつー意味で言った。短い言葉じゃねえと声が震えちまいそうだった。クソが。ダセェ。
こんな情けねえツラぜってえ見せなくたくてずっと俯いてた、

「………来て」
小さく呟いて手を引かれる。ガキ扱いされてるみてえなのが嫌で手を離した。
途中の自販機で飲みモン買って、無言で歩いてるうちに涙は乾いた。あのまま離れんのは嫌だったが、今更話すことなんざねえ。小っ恥ずかしい姿見られた記憶を全部こいつから消したかった。

「爆豪くん、繊細なのね」
「ああ!?誰捕まえて言ってんだ!」
「さっきの姿見たら」
「忘れろ!!」
「誰にも言わないわ」
公園のブランコに座って◎は缶を開けた。距離開けて、ブランコを囲む柵に軽く腰掛けて俺もコーラを開けた。クソ、これこそ嫌がらせだろが。

「悪かったわ。私も冷静じゃなかった。水に流すつもりはないけど、何か私に言いたいことがあるなら聞くわ」
「…ンなもん」
ねえ、と言いたかった。だけど言いてえことは山ほどあった。どれもうまい言葉を見つけらんなくて、なんか言ったらまた違え取られ方しそうに思えた。


(以降断片)
「仲良かったわね、昔は」
「、昔かよ」
「え?」

「…私と仲良くなりたかったの?」

「ふふ」
「笑うな!!」
「だって、意外で」





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