「シュリンプカクテルですか」
「あら海老苦手だったかしら、リカ」
バーカウンターの上に置かれたカクテルグラス。
手付かずのそれに入っているのはアルコールではなく海老であり、彼女の言うとおりオードブル料理のひとつだ。
「いえ。ただこう……海老が溺死させられているようだな、と……」
「……少し仕事しすぎじゃあないかしら」
「いえ。現場に出ているアデレードさんに比べたら私は」
店の奥から激しい物音と怒鳴り声が聞こえてきて、彼女たちは一瞬ちらりと見た。
同チームのメンバーが彼らの礼儀に則ってけじめをつけさせている間はアデレードもリカも仕事はなく会話を再開させる。
「今の言葉、十分ギャングっぽかったわよ」
「ギャングっぽい、というのは些か理解しかねます。っぽいも何もこう見えて正真正銘ギャングです」
「あなたのそういうところ、本当にそっくりね」
「そっくりとは。誰とですか?」
「解っているくせに。今更鈍い真似をしても駄目よ」
シュリンプカクテル
BGMは男の叫び声