「沢山買いましたねぇ……」
「そう?まだ私、このペットボトルのお茶しか買ってないけど」
「いえ。アデレードさん御自身のものという意味ではなくて。皆さんに色々買ってあげたじゃあないですか。ギアッチョとペッシにはスニーカー買ってあげて、メローネさんとホルマジオさんにはお財布でしたっけ。リゾットさんとイルーゾォさんには高いスーツあげてたし……あんな高いスーツ、何処に着ていくつもりなんだ……」
「あら、普段から着るのよ。イタリアーノですもの」
「普段からてろてろのTシャツ姿しか見てないのですが。そう言えばプロシュートさんには何を買ったんです?」
「何も。女から何か受け取るような男じゃあないもの」
「……同じ人の事を話してます?」
「フフフ、お酒くらいしか受け取らないって言いたいのね」
「実際アデレードさんからもらえるのなら嬉しいと思いますけどねぇ」
「ああ、そうなのね。そう言うこと」
「何です?」
「何が欲しいのか言ってごらんなさい、Cara」
「は、いや、違いますって!催促とかじゃあないんですよ!」
「遠慮しないで。ほらあそこのワンピースなんてどう?ああいうの何て言ったかしら?ロリータ?可愛いわ!」
「ひぇ……」
「オイ、そんな所で休憩してねぇでカフェに入れよ。目立ってんぞ」
「ギアッチョ!ねぇ!あのお店のワンピース、ナナミに似合うと思わない?お人形さんみたいになると思うのよ!ホルマジオに小さくしてもらって持って帰りたいわ!」
「サラッと怖いこと言わないでください……」
「オメーも大変だな……」
「止めてくださいよ!」
「無茶言うなよ」
「あなた、お店の人?あのマネキンが着ている物を彼女に試着させてくださる?」
「わっ!勝手に!あわわわわ違います何でもないです!アデレードさん!私、明日の朝のパンが欲しいです!パン屋に行きましょう!」
「そう?パン屋は何処?」
「こっちです!」
「ちょッ待てよ!」
「キムタク……?」
「誰?」
「日本の有名なタレントですよ。……えーっと、この人です」
「あら、素敵ね」
「ああ?誰がベッロだって?ジャッポーネの男より俺の方がベッロだろーが」
「本当にすぐに現れますね、プロシュートさん」
「ねぇ、プロシュート。荷物いっぱいで邪魔だからナナミの車で先帰りなさいよ。私たちは電車で帰るから」
「えっ!?」
「オイオイオイ、マジで言ってんのかよ!?」
「Si.ホルマジオとイルーゾォがいればみんな一緒に帰れるわね?」
「ちょッ待てよッ!」
「ショッピング、楽しかったわ。また会いましょう、プロシュート」
「……すぐ帰ってこいよ」
「ほっぺにキスされただけなのに……惚れた弱味って事ですか?」
「ウルセー!とっとと鍵寄越せ!アデレードから絶対目を離すなよ!寄り道せずに帰ってこいよ!歌舞伎町とか行くんじゃあねぇからな!?」
「分かってますってば!」
「──じゃあナナミ。パンは後ででも良いかしら?どうせ口実だったんでしょう?」
「えーっと……」
「フフフ、構わないわ。それよりも行きたいところがあるの。案内してくれる?」
「いいですよ、何処ですか?」
「シンジュクよ。前にこのお店に是非来てほしいって言われたの」
「何ですかこのキラキラ名刺……。もしかしなくてもホストクラブじゃあないですか……。こんなのいつ貰ったんですか?」
「日本へ来た日にナナミのアパートへ行く前、どこかの駅でもらったのを忘れてたわ。ここから遠くないでしょう?」
「遠くはないですがプロシュートさんに叱られますよ……私が」
「でもシンジュクにいるゴジラを見たいの」
「歌舞伎町ど真ん中じゃあないですか……。そんなにゴジラ好きなんですか?意外……」
「特別好きじゃないけど面白そうだと思って。そろそろお酒も飲みたくなってきたし」
「……あ〜それなら居酒屋とか行きますか?歌舞伎町方面へ行かなければ……」
「Bene!行きましょう!ヤキトリって言うのを食べたいわ!」
ショッピングとベッリーナB
アニキにバレませんように