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美しさなどとはかけ離れた場所で生まれ、育ち、愛された。だから、いつも憧れていた、美しい物。手に入れたいなんて、贅沢言わないわ。せめて私に優しくあって欲しかった。私が美しくなりたいから。
その為の媚びがこんなに汚いなんて、誰も教えてくれなかったのよ。



―――――――――――



「ずるい」

リツカか柔らかく赤い唇を尖らせて、もう何度目かわからない文句を口にした。

「私も行きたい」
「お土産を買ってきてあげるから、何がいい?」
「…アップルタルト」
「わかったわ」

私が笑っても、リツカは笑い返してはくれなかった。コートを着てサングラスをかける私を、恨めしげに見ていた。

「リッちゃん顔怖いよー?どーかした?」

一緒に買い出しに行くブブが、マフラーを巻きながらリツカの方に乗り出した。

「私も買い物に行きたい」
「お医者さんがそれは駄目だって言ってたよー」
「どうしてルシファは私の外出を許さないの?」

リツカは再び私を見て言った。

「あなたを護りたいのよ」
「…違うと思うけど」
「先生は優しい方だから、きっとそうよ」
「みんなにはそうだろうけど」

私は違う、とリツカは呟いてから、座っていたダイニングテーブルを離れて、ソファーに座っているサタンの横に収まった。来たばかりの頃、喧嘩ばかりしていたのに、最近はいがみ合いながらも二人は仲が良くなっていた。リツカの態度に刺々しく返していたサタンが、ある日を境に全く丸くなってしまったのだ。


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Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN






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