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ミツキと知り合ったのは職場で、彼女は僕の患者だった。
定期的に入退院を繰り返していて、その大きな原因はストレスだった。
何にストレスを感じているのか、僕はずっと知らなかった。
ミツキはとても美人で、細い体は繊細だった。
何度も僕の前で泣いていて、その姿はとても綺麗だった。
見れば見るほど、話せば話すほどにミツキの魅力は増し、僕はふつふつと沸き上がった患者に抱いてはいけない感情に、気付かないように努めた。
しかしミツキは愛を注がれる事に慣れているらしく、目を見れば相手が自分をどうしたいかがわかるらしい。
僕の想いは意図も簡単にバレてしまった。
「担当医を変えて貰います、僕もすぐ忘れるように努めます」
「いいのよ、先生」
「そんなわけにはいきません…診断に私情を挟む事があってしまっては、続けられないです」
「わかったわ、それでも構わない。…その代わりに私との関係はもう医者と患者じゃないわ」
だから私の家に来て、とミツキは言ってニコリと笑った。その笑顔も美しかった。
そして僕はミツキの家に来てしまった。
様々な葛藤があった。
何せミツキが結婚している事は知っていたからだ。
しかしミツキと精神的なストレスについて話している時、「夫は働かないし、自分との関係はただの戸籍上の話だ」と言っていた。
その事がストレスの大きな原因かと思っていたが、ミツキは否定していた。
他にもっと酷い物がいて、それが嫌なのだと。
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▽ Dog-ear ??
SCHNEEWITTCHEN