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舞良は熱い顔を手の甲で冷やしながら席に座り直し、奢ってもらったサンドイッチにようやく手をつけて食べ始めた。
響は相変わらずニヤニヤしているが、お互いに無言を貫いた。
舞良は食べつつも横に置いた携帯を何度もチラ見して、その様子を響は盗み見て楽しんだ。
朱里から返事が来たのはウェイターが食後のコーヒーと響のデザートを持って来た時だった。
ブブブと震える携帯を二人して見つめ、取る気配がない事にウェイターは不審そうな顔をして立ち去った。
「…見ないのなら私が開けるわよ」
「駄目」
舞良は緊張から震える手を携帯に伸ばして開き、“受信一件 赤羽朱里”と表示されている画面に言い様のない高揚感を覚えた。
《こんにちは。きっと初めましてじゃないんだろうな、誰なのかまだ聞いてないけれど。ナリちゃんには聞いちゃ駄目って言われたの。どうしても内緒?》
響にも見せて内容を教えると、早く返信して!と楽しそうに言われた。
「でも“どうしても内緒”だからね」
「わかってるってば」
《いつかちゃんと教えるけど、今はまだ言えないんだ…ごめんね》
最初のメールに比べれば神業的に早く打てたメールを送ると、朱里からもすぐに返って来て舞良は知らぬ間に微笑みながらメールを見た。
《ううん、謎めいていて楽しいよ^^
謎解きは得意なの、誰なのか当ててみせるね》
「むちゃくちゃ可愛い…」
「一人で萌えてないで私にも見せてよ」
昼食を終えて響とは別々のタクシーに乗ったが、響の言い付けでお弁当用に渡されていたカードでの支払いだった。
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CINDERELLA STORY