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間違いなく響はこのままクラスの人気者になるに違いなかった。
転校生として持て囃されているわけではなく、響は人に好かれる才能があった。
その響が放課後に集まって来た人間の誰でもなく、自分と一緒に帰ると言ってくれた事が嬉しくなった。
舞良はテーブルに落としていた視線を上げて、響を見た。
視線に気付いた響はカップを口にまで持っていっていた手を止め、にっこり笑って何?と言った。
素直に可愛かったが、なんとなく自分が惨めに思える笑顔だった。
「俺…帰るよ、そろそろ夕飯作らないと」
「あ、送るよ」
「いいよ、家結構近いし。だからここにしてくれたんでしょ」
「…わかったわ、また明日ね」
「うん、じゃあね」
家に帰って、冷蔵庫に残っている食材で夕飯を作る事にした。
三人共家で食べるかわからないので、少しやる気が出なかった。
愛や清子ならともかく、恋すら食べないなら作る意味がない。
朝ごはんにも使えるさらっとした物を作る事にした。
作っていると、玄関が開く音がした。
時計を見ると七時を指していて、舞良はしまったと思った。
まだ夕飯が完成してない。
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CINDERELLA STORY