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玄関は開けっ放しにしておいたので、そのまま入って中から鍵をかけた。
自室に戻ってから、舞良は深呼吸をした。
自分の部屋だ。
監禁されたりと、嫌な事もあるが、この部屋だけがこの世で唯一の舞良の空間なので、帰って来ると落ち着いた。
コンタクトを外し、仮面を落として、シャワーで整髪料を洗い流すと、舞良はいつものみすぼらしい舞良に戻った。
みすぼらしいスウェットを着て、みすぼらしいベッド代わりのバスタブに潜り込んだが、頭の中は華やかな記憶でいっぱいだった。
今日の記憶のほとんどは朱里で、はにかむ顔、ケーキ選びに真剣な顔、華やかなドレス、開きすぎな胸元は思い出さなかった事にして、舞良は朱里の記憶に微笑んだ。
そして、ついに好きだったと言えた事を思い出した。
恥ずかしくて奇声を上げそうになったが、それと同じくらい言えた事が嬉しいと思えた。
舞良は思い返せば思い返す程、いい夢が見れそうだなと思ったが、興奮で中々眠る事が出来なかった。
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CINDERELLA STORY