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お互いに視線をそらしたまま沈黙が流れた。
「…それで…今日は何があったの?」
沈黙を破ったのは朱里だった。
舞良は、このもやし野郎!と自分を罵った。
「メールしても返って来なかったから、凄く心配になったよ」
「携帯は壊れたんだ、連絡出来なくて本当にごめんね」
「そうだったんだ。…何があったの?」
携帯は二つにされて監禁されていたとは言えない。
「道に迷ったんだ、もの凄く。ナリが来てくれないと来れなかったなあ」
無理がある。まず棒読みが怪しい。
それにタクシーで来れば迷わないし、携帯が壊れているのに響とどうやって合流出来ると言うのだ。
瞬時に自分の言い訳に、矛盾が浮かんだが、明らかに見え見えの嘘を朱里は追及しなかった。
ただ、朱里は別の事に疑問が沸いたようだった。
「ナリって呼んでるの?」
「あ、…うん、まあ」
「仲良しなんだね」
「…そうかな?」
「そうだよ」
確かに今舞良の仲良しと言えば響以上の人はいないな、と舞良は朱里が言いたかった事とは大いに間違っている納得をした。
朱里は微笑んだままだったが、舞良とは目線をずらして舞良の持つケーキのお皿を取り返した。
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CINDERELLA STORY