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美歌は散々舞良にセクハラしながら整え、舞良の仮面代わりであるメイクを目元にし始めた。
「仮面じゃないの?」
「マイロには素顔が仮面代わりになるくらいだもの、いらないわ。でも仮面は必須にしたの私だし、目の周り黒くするだけだから」
美歌はセクハラしている時と、うって変わって真剣な顔で繊細な模様を舞良の目元に書いた。
響もごわごわだった髪に美容液を与えてスタイリング剤でまとめ、長かった前髪を後ろに流して固めた。
響は最後に箱から腕時計を取り出して舞良の手首に付けた。
「嘘でしょう、もっと緩くなってる」
多少の緩みだった時計のバンドは緩み度を増して、するすると手首でずれる様になっていた。
「また痩せたかな、やっぱり」
舞良が自嘲気味に言うと、響は苦い顔をした。
舞良が全てを身に付け終わり、響は美歌の隣に立った。
店に来てから20分が経っていた。
完成した舞良を立たせて響と美歌は笑顔でじろじろと見た。
「完璧…この子欲しい」
「素敵よマイロ、さあ鏡を見てみて」
手を引かれて舞良は鏡の前に立って自分を見た。
感想から言えば、なかなかだった。
似合うのか?と思ったスーツもかなり合っていたし、こんな自分は見た事が無かった。
綺麗に整えられた自分を見て、舞良が笑えなかったのには訳があった。
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CINDERELLA STORY