血族の石 前編


 その瞳はキラキラと血のように紅く輝いていた。 
 
 一族の血は尊く深く、神聖なる石で象徴される。
 
 その名はGARNET。

 真実の石。



「っあ!!ぐぅ・・・うう・・・」
 引き攣れる痛みと圧迫感。
 二つを同時に感じながら、遊馬はきつく目を閉じ、歯を噛み締めた。
 身体の奥の奥。
 たった一人にしか許したことのない場所を、よく知りもしない男に蹂躙されながら、遊馬は己のうかつさを後悔するしかなかった。
 遊馬はただ、大切な人が、『復讐』のために堕ちていくのを、とめたかっただけなのだ。
 彼が、『大切な人』のために・・・
 心が苦しくないと言えば嘘になる。
 常に一番大切な人でいたいなどと言えるほど、凌牙ただ一人を見ているのかと言えばそうでもない。相変わらず両親は大切だし家族もそうだ。幼馴染二人も大切だし、アストラルだって大切だ。
 その誰のためでも命をかけられるだろう。
 だけど、凌牙が遊馬以上に誰かを大切に思っているのだろうかと思うと、胸が苦しくて痛くて、どうしていいかわからなくなってしまうのだ。
 身勝手だとは思う。
 自分は『一番』を確約できないくせに、凌牙の一番が自分でないかもしれないと知ると、どうしようもなく心が乱れた。
「目を開けろ。」
 そう、命じられて、遊馬は涙のにじむ目をゆるゆると開く。
 視界は、にじんで不鮮明だったが、相手は納得したようだった。
「ああ、お前の目は血のような色をしているな。」
 熱に酔うような呟きに、狂気を感じ、遊馬の背をゾクリと這い上がるものがあった。
 逸らそうとする顔を彼の手が掴むと、そのために支えを一つ失った体が沈みこみ、手首がギリギリと締め上げられた。
 痛くて苦しくて、けれど十分に時間をかけて愛撫を受けた身体は、苦痛以上の快楽を得ていた。


 ここは、何を作っていたのか遊馬には想像もできない廃工場。
 Wに凌牙の名を出され呼び出された遊馬の頭の中には、なんとかして凌牙を止めたいという思いしかなかった。謝罪でもなんでもいい、Wから凌牙へ何か誠意ある対応があれば、凌牙も強硬な手段に出ずにすむと思ったのだ。
 だが、遊馬は指定された場所を見るだけで、Wにそんな意志などないのだと、察するべきだったのだ。
 あまり人に聞かれたくない話をする程度で、声の限り叫んでも誰にも届かないような場所を選ぶ必要はないのだ。
 話をしようとした矢先に、あっさりと拘束され、両腕を縛られて吊るされた。
 壁に背を押し付けるようにして、下着まで取り払われた足を大きく開かされた。
 嫌だと叫び暴れる遊馬を押さえながら、丁寧に後ろをほぐすその行為の意味が遊馬には理解できなかった。
 強姦だというのなら、無理やりに犯せばいい。
 苦痛を望むわけではないが、今の状況よりは数段ましだと思う。
 ゆっくりと丁寧に高められた熱は遊馬の身体をとろけさせ、肥大した男の物を飲み込んだばかりだというのに、痛みと痺れはすでにジンジンと身体をさいなむ快楽の欠片に変わっていた。
「イヤ・・・だ・・・りょうがぁ・・・」
 ただ一人の人。
 この身体に触れて、快感を分け合い、共に昇りつめた人の名を呼べば、それが呼び水であるかのように、瞳から雫がしたたる。
「嫌じゃないだろう?」
 からかうように、Wはささやくと、二人の身体の間で震えながら存在を主張する遊馬のものを軽く擦りあげた。
「あっ!・・・うぅ、ぅぅう!」
 遊馬の口から、嬌声が上がり、続く声は噛み殺された。
 痛みだけ感じたほうがどれだけましだっただろう。
 快感が苦痛になるなど、遊馬は思いもしなかった。
 遊馬の顎を捕らえていた手が放されると、両足を抱えあげられ、大きく開いた身体を抱き寄せるようにして、Wの物が深く遊馬を穿った。
「っひ!あぁああ!!」
 背筋を貫くような電流が目の前に光を散らす。
 遊馬はもう、こうして身体を貫かれて得る快楽が、どう自分の理性を剥ぎ取り乱れさせていくのか知っていた。
 知っているからこそ苦しい。
 そんな姿を見せるのは、深い海色の瞳を持つ彼に対してだけだと思っていたから。
「凌牙・・・凌牙、りょう、がっ」
 こんなこと望んでいないのに、凌牙を裏切っているように思えてしまう。
「そんなに、アイツがいいなら、呼ぼうか?」
「なっ?!」
 何を、という言葉は続かなかった。
 Wが取り出したものが何か知ると、何をしようとしているのか鈍い遊馬にも理解できてしまったからだ。
「いっ!嫌だ!ヤダヤダヤダ!やめろぉ!!!」
 Wが取り出したのは遊馬のDゲイザー、携帯電話としても利用できるそれは、相互の画像送信機能ももつ。この姿を誰よりも見せたくない彼に、Wは通話しようとしている。
 Wの片手が離された事で自由になった足をばたつかせ、身をよじり遊馬は暴れた。
「まったく、面倒な子供だ。」
 呆れた口調で、Wはそう呟くと、遊馬の足を抱えなおし、一度抜けるほどの引き抜いてから、遊馬の身体を再度えぐった。
「あっ!あっ!っうぁあ!」
 繰り返す律動に、押し出されるように声が上がり、しばらく揺さぶると抵抗する気すら無いように、遊馬の身体は弛緩していった。
「ずいぶんと教育されたものだ。」
 Wは口の端を歪め、愉しげに笑った。
 遊馬、という名のこの子供は、快楽に弱い。
 他に男を知っているとも思えないのに、後ろを抉られて得る快楽に、この身体は慣れすぎていた。
 それはつまり、唯一の相手である凌牙との情交の深さを表す。
 どれほど深く愛したのか、深ければ深いほどに、Wの楽しみは増す。
 凌牙のナンバーは通信履歴を見るだけですぐに見つかった。
 凌牙の通称である「シャーク」と登録されたナンバー。


 これから告白する想い人にかけるかのように


 高鳴る鼓動を感じながらWは通話ボタンを押した

後編



ツイッター発生の凌遊前提W遊です。
強姦です。今後遊馬君が辱められます。


ものすごく楽しいです。
(111103)





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